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第一章 異世界に来ちゃいました

第24話

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 先陣に反応したぴょんたは3基のようです。
 至近で直撃を受けたと思しきオークは15匹くらい。
 え?なんでくらいかって?

 …だって砕け散ってるからわかんないんだもん。

 ぴょんたの爆心地の近くには、オークであった事さえ確認が難しそうな程バラバラになった身体のパーツや血肉が飛び散っています。
 そこから少し離れたところには、身体中に石弾を食い込ませ全身から血を流して倒れているオークがこちらは12匹います。
 やや後方に位置していた剣を持った指揮オークも、それなりに被弾したのかあちこちから血を流し地に片膝を突いていました。

「ブヒィェアァァ!」

 傷つきながらもヤツは戦意旺盛な様で、再度立ち上がり剣を振り下ろすと、それに呼応した後続のオークが森から湧き出てきました。その数は20匹。先陣同様の武装をしています。
 ぴょんたの効果に動揺は見て取れるものの、仲間の血肉を踏み越えてこちらへと駆けてきます。

 先頭がちょうど5番基の土塁に近づいた時、唸り声を上げながらその首に牙を立て引きずり倒す銀の姿が見えました。
 銀はそのまま大きく被りを振ると、その鋭い牙でオークの喉を噛みちぎります。その一撃で絶命したのか、一度大きく身体を痙攣らせた後グッタリと弛緩させました。
 銀にはすぐに槍を持った別のオークが突きを入れてきます。しかし、しなやかにその槍を躱すと、槍を引き戻す時間さえ与えず、またしても一撃でその命を刈り取っていました。
 銀すげぇな。

 場所は変わって4番基では、牙・爪・耳の3人も近づくオークを素早い連携で翻弄しつつ、確実にダメージを与えていきます。
 オークが膝を突くとすかさず喉に牙を立て、こちらも危なげなく戦果をあげていけるようで一安心。

 「よし!僕も出る!ネルの指示期待してるから!」

 「わかったわ!任せて!気をつけるのよ!」

 「ありがと!行ってくる!」

 ネルの言葉を背に受けて、僕は砦から打って出ました。
 目指すは銀の隣の6番基。

 いくら銀が優秀だと言っても一度に対処できるのは一匹のみだから、ふとしたキッカケで囲まれてしまう事だって絶対にないとは言えないはず。
 だからこそ銀にソロでの迎撃を指示した時には、僕が支援もするつもりだったんだ。
 予想以上に銀が優秀で、今の今までピンチな場面はなかったんだけどね!

 6番基に向けて走りながら魔力を集めて岩弾を精製します。
 銀は3匹目を倒し、4匹目に向かいかけているところだったけど、その背後に5匹目が接近しているのが見えました。
 すかさず足を止めると、5匹目の頭部目掛けて岩弾を射出。狙いは違わずそいつの頭は弾け飛びます。

 僕は再度走りながら周りを確認します。
 左翼側にいるオークはわずか4匹。走る勢いのまま6番基の土塁の上にかけあがると、立て続けに4発の岩弾を射出。3発はヘッドショットに成功し、その頭部を破壊したものの、逸れた1発はオークの右肩から先を吹き飛ばしただけでした。

 「ユーマ!3番から5匹の集団!牙達の背後を狙ってるかも!」

 ネルからの指示が飛んできます。
 僕は6番基を後にすると4番基後方に向けて、全力移動を始めます。
 すぐに5匹の集団が視界に入ってきたんだけど、5匹同時に撃破出来るようには思えませんでした。
 仕方なく、集中した魔力で今度は炎弾を精製します。火弾の様な貫通力は無いものの、まとわりつく様な炎で対象を焼き尽くすタイプ。
 それを集団の先頭に立つオークに放つと、着弾と同時に全身が炎に包まれ、パニック状態で仲間にまでその炎を移して回ってくれました。そいつの動きで集団は混乱し、なんとか足止めに成功する事が出来たようです。

 僕は再度態勢を整えると、今度は小さめの石弾を大量に精製し、それを集団に向け射出しました。
 炎にまかれ混乱状態のオーク集団にかなりのダメージを負わせる事が出来たみたいだね。
 トドメは牙達に任せますか。

 「ユーマ!でかいオークと普通のが2匹、5番に接近中!」

 5番に目をやると、6匹目を処理している銀に向かって、2匹が同時に攻撃を加えようと向かっているところでした。

 くっ!間に合わない!
 そう思った瞬間、片方のオークの顔に風羽花が飛びつき、それに動揺したオークの足が止まります。

 「風羽花!ナイスアシスト!すぐ離脱して!」

 『はいなのです!』

 すかさず岩弾をそいつ目掛けて射出します。ヒット!頭を爆散させたそいつは2、3歩フラついた後倒れ伏しました。

 そのやりとりの間に銀がもう一匹を仕留めています。

 「でかいのが走り込んでくるわ!」

 ネルの叫び声に被せる様に、指揮オークは絶叫をあげました。

 「ブヒィィエァオォォ!!!」

 仲間の壊滅を目の当たりにし、怒り狂っているとしか思えない程の凄まじい叫び声です。
 その声には僕達も、さすがに一瞬動揺してしまいました。

 その動揺を見逃す事なく、指揮オークは剣を振り上げ突撃してきます。

 …ぴょいーん…ズダァァァン!!!


 爆風を受けて前のめりに倒れ込む指揮オーク…
 衝撃で持っていた剣は銀の足元に転がり、本人は僕の足元に顔面スライディング。

 …うえぇぇぇぇぇ!?

 締まらん…

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