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ダイニング イン ザ ダイ【午後8時〜午後9時】
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例えナタを持った女を迎撃するにしても、視界の悪いここより、校舎内で迎撃した方が安全だ。突然のことばかりで後のことを考える暇はなかったが、それだけは間違いなかった。
「水落! 片岡! 一旦、退くぞっ! 対策は戻ってから考える!」
春日は一緒にグラウンドを飛び出したはずの水落と片岡に声をかける。
「あぁ! そうしよう!」
しかし、返ってきたのは水落の声だけで、なぜか片岡の声が返ってこない。辺りをぐるりと見回したが、水落の姿を確認できただけだった。
――もう一度辺りを見回して、ようやく片岡を見つけた。どういうわけだかナタを持った女のほうに向かって、ゆっくりと忍び寄る片岡。
「片岡っ! 何をしているんだ! 早くこっちに戻れ!」
春日は片岡に指示を出すが、食酢に苦しむナタ女が、きっと弱々しく見えてしまっていたのだろう。春日の言葉を無視して、それを無視してさらに歩みを進める片岡。
「戻れっ! 戻るんだ!」
「でも、今の内に武器を奪っておかないと、この人はまた僕達を襲いますよ! 僕だってみんなの役に立ちたいんです――僕だって!」
二度目の呼びかけに、片岡の切羽詰まったような声が返って来る。何か思い詰めているようにも見えた片岡の姿は、とうとうナタを持った女の近くまで到達。いまだに女は食酢に苦しんでいる様子。
しかし、その時のことだった。これまで奇声を発しながら悶え苦しんでいた女が、急にピタリと動きを止めた。すでに片岡と女の距離は目と鼻の先。彼女の持つナタのリーチ範囲内だった。
「片岡っ!」
急に胸騒ぎを覚えた春日は、力任せに地面を蹴った。
「大女優、ここに降臨しましたぁぁぁぁぁぁ!」
辺りに響いた不気味な声。
苦しんでいるように見えたのは、どうやら途中から演技だったらしい。彼女は片岡が近付いていることに気づき、すでに回復していたにも関わらず、苦しむふりをしていたのである。では、どうしてそんなことを彼女したのか。こちらの数のほうが圧倒的に多く、一人対多人数では分が悪い。だからこそ、演技をしておびき寄せたのだ。
「えっ?」
片岡の驚いたような声と共に、風を切り裂く音が聞こえた。
わずか一瞬の出来事だった。もう少し春日の判断が早ければ、結果は大きく変わっていたのかもしれない。春日が片岡に向かって伸ばした右手は――彼の腕をがっしりと掴んだ。片岡を引き寄せようと腕を引いた春日は、そのまま後ろへとすっ転んでしまった。
「水落! 片岡! 一旦、退くぞっ! 対策は戻ってから考える!」
春日は一緒にグラウンドを飛び出したはずの水落と片岡に声をかける。
「あぁ! そうしよう!」
しかし、返ってきたのは水落の声だけで、なぜか片岡の声が返ってこない。辺りをぐるりと見回したが、水落の姿を確認できただけだった。
――もう一度辺りを見回して、ようやく片岡を見つけた。どういうわけだかナタを持った女のほうに向かって、ゆっくりと忍び寄る片岡。
「片岡っ! 何をしているんだ! 早くこっちに戻れ!」
春日は片岡に指示を出すが、食酢に苦しむナタ女が、きっと弱々しく見えてしまっていたのだろう。春日の言葉を無視して、それを無視してさらに歩みを進める片岡。
「戻れっ! 戻るんだ!」
「でも、今の内に武器を奪っておかないと、この人はまた僕達を襲いますよ! 僕だってみんなの役に立ちたいんです――僕だって!」
二度目の呼びかけに、片岡の切羽詰まったような声が返って来る。何か思い詰めているようにも見えた片岡の姿は、とうとうナタを持った女の近くまで到達。いまだに女は食酢に苦しんでいる様子。
しかし、その時のことだった。これまで奇声を発しながら悶え苦しんでいた女が、急にピタリと動きを止めた。すでに片岡と女の距離は目と鼻の先。彼女の持つナタのリーチ範囲内だった。
「片岡っ!」
急に胸騒ぎを覚えた春日は、力任せに地面を蹴った。
「大女優、ここに降臨しましたぁぁぁぁぁぁ!」
辺りに響いた不気味な声。
苦しんでいるように見えたのは、どうやら途中から演技だったらしい。彼女は片岡が近付いていることに気づき、すでに回復していたにも関わらず、苦しむふりをしていたのである。では、どうしてそんなことを彼女したのか。こちらの数のほうが圧倒的に多く、一人対多人数では分が悪い。だからこそ、演技をしておびき寄せたのだ。
「えっ?」
片岡の驚いたような声と共に、風を切り裂く音が聞こえた。
わずか一瞬の出来事だった。もう少し春日の判断が早ければ、結果は大きく変わっていたのかもしれない。春日が片岡に向かって伸ばした右手は――彼の腕をがっしりと掴んだ。片岡を引き寄せようと腕を引いた春日は、そのまま後ろへとすっ転んでしまった。
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