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闇の中からの強行突破【午後6時〜午後7時】
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「モールス信号って――トントンツーみたいなノリのやつですよね?」
片岡が言うと、陸士長は唇に人差し指を当てる。その表情は真剣そのものであり、鋭い眼光は今も明滅を繰り返す教室を凝視していた。
「悪いが気が散る。しばらく集中させてくれ」
いくらモールス信号を解読できるとしても、それをリアルタイムに読み解くのは難しいだろう。英語を聴いてから、後で日本語に翻訳するのではなく、英語を聴いているそばから同時通訳するような感覚だと思われる。
「私――達、女、2人」
明滅を繰り返す教室から発せられるメッセージは、陸士長という変換機を介して水落達へと通訳されていく。
「学校、刃物、男、異常、注意。身動き取れず。SOS――SOS」
陸士長の口から紡ぎ出されるメッセージに、誰かが固唾を飲んだ。どう考えても、教室にいる女性達はよろしくない状況にいるらしい。
「グラウンド、勝手口、安全。正面玄関、危険。助けを待つ」
そこで電気の明滅はぴたりと止まった。ずっと同時通訳をしていたような状態だった陸士長は、やっとお役御免かとばかりに、大きく溜め息を漏らした。
「――どうやら、想定される中で最悪のケースが起きているらしい」
想定される最悪のケース。春日の言葉に、嫌でも身構えてしまう。ここに放り込まれてしまった参加者――プレイヤー全てが協力的だとは限らない。ルールの解釈によっては、強行手段も許容されている。その強行手段に打って出ようとしている人間が、きっと学校の中に潜んでいるのだ。
「だったら、一刻も早く助けに行ってやらないと」
この状況に、ある種のショックを受けたというか、少しばかり混乱していたのかもしれない。とにもかくにも彼女達を助けに向かうことを提案する水落。
「――では、どうやって助ける? もう日は落ちてしまって視界も悪い。相手が刃物を持っている以上、何も考えずに助けに向かうのは危険だ」
あっさりと提案は弾かれる。頭の中では春日の言っていることが正しいと分かっているはずのことなのに、しかし春日に反論する水落。
「学校に電気が通っているなら、電気を点けながら助けに向かえばいい」
「それをすると、危険な相手に自分達の位置を知らせることになるかもしれないぞ。しかも、私達の物資の中でせいぜい武器になりそうなのは浜野のハサミくらいだ。陸士長のライフルのレプリカも、どこまで通用するか分からない。もう少し具体的で納得できるようなプランが出るまで、迂闊に助けに向かうべきではない」
片岡が言うと、陸士長は唇に人差し指を当てる。その表情は真剣そのものであり、鋭い眼光は今も明滅を繰り返す教室を凝視していた。
「悪いが気が散る。しばらく集中させてくれ」
いくらモールス信号を解読できるとしても、それをリアルタイムに読み解くのは難しいだろう。英語を聴いてから、後で日本語に翻訳するのではなく、英語を聴いているそばから同時通訳するような感覚だと思われる。
「私――達、女、2人」
明滅を繰り返す教室から発せられるメッセージは、陸士長という変換機を介して水落達へと通訳されていく。
「学校、刃物、男、異常、注意。身動き取れず。SOS――SOS」
陸士長の口から紡ぎ出されるメッセージに、誰かが固唾を飲んだ。どう考えても、教室にいる女性達はよろしくない状況にいるらしい。
「グラウンド、勝手口、安全。正面玄関、危険。助けを待つ」
そこで電気の明滅はぴたりと止まった。ずっと同時通訳をしていたような状態だった陸士長は、やっとお役御免かとばかりに、大きく溜め息を漏らした。
「――どうやら、想定される中で最悪のケースが起きているらしい」
想定される最悪のケース。春日の言葉に、嫌でも身構えてしまう。ここに放り込まれてしまった参加者――プレイヤー全てが協力的だとは限らない。ルールの解釈によっては、強行手段も許容されている。その強行手段に打って出ようとしている人間が、きっと学校の中に潜んでいるのだ。
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「――では、どうやって助ける? もう日は落ちてしまって視界も悪い。相手が刃物を持っている以上、何も考えずに助けに向かうのは危険だ」
あっさりと提案は弾かれる。頭の中では春日の言っていることが正しいと分かっているはずのことなのに、しかし春日に反論する水落。
「学校に電気が通っているなら、電気を点けながら助けに向かえばいい」
「それをすると、危険な相手に自分達の位置を知らせることになるかもしれないぞ。しかも、私達の物資の中でせいぜい武器になりそうなのは浜野のハサミくらいだ。陸士長のライフルのレプリカも、どこまで通用するか分からない。もう少し具体的で納得できるようなプランが出るまで、迂闊に助けに向かうべきではない」
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