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狂気には凶器を【午後4時〜午後5時】

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 お手柄だと褒められた片岡本人は、何がなんだか分からないといった具合でキョトンとし、浜野の死んだような瞳には、ほんのわずかであるが希望の光が灯る。

「春日さん。それって、どんな方法なんだ?」

 この9グラムクッキー問題。運の要素に頼らず、確実でロジカルな答えを出すのは難しいように思える。少なくとも水落の頭の中では難問だった。それが解けたというのであれば、その手段を聞かない手はない。

「クッキーを袋から取り出すという発想そのものは悪くなかったんだ。そこに、ちょっとした工夫をしてやれば、9グラムクッキーの袋がどれなのか、確実に分かるだろう」

 そう言いつつ片岡のほうに視線を移す春日。片岡はなんだか少し恥ずかしそうに笑みを浮かべた。

「まず、5つの袋にそれぞれアルファベットを振る。単純に【A】【B】【C】【D】【E】とね――。これは袋を識別するためのものだから、アルファベットじゃなくてもいい。とりあえず、分かりやすくアルファベットを振っただけだと思ってもらっていいだろう」

 片岡の発想を飛躍させた先に、春日のたどり着いた答えがあるようだが、果たしてここからどんな答えを春日は導き出してくれるのだろうか。今のところは袋にアルファベットを割り振っただけであるが。

「さて、袋からクッキーを取り出すわけだが、この取り出し方が重要だ。まず【A】の袋からは1枚のクッキーを取り出す。続いて【B】の袋からは2枚のクッキーを、そして【C】からは3枚のクッキーを取り出すんだ。そのまま同様の法則で【D】からは4枚のクッキーを取り出す。最後の【E】からは5枚のクッキーを取り出すんだ。これで取り出したクッキーは全部で15枚だ。水落、もしこれが全部10グラムクッキーだとしたら、その総重量は何グラムになる?」

 そんなものは小学生にだって分かる。10グラムのクッキーが15枚であれば、その総重量は150グラムだ。

「そりゃ150グラムだろうけど――あっ」

 春日にそう答えつつ、水落は気づいてしまった。春日のたどり着いた答えは、9グラムクッキーが他のクッキーより1グラム軽いという事実を利用したものなのだと。

「どうやら気づいたようだな」

 春日はそう言って笑みを浮かべるが、まだ片岡は理解できていないらしい。浜野も同様のようで、春日と水落のやり取りに首を傾げる。その様子を察したのか、春日は解説を続ける。
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