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頑固親父と全く笑えない冗談【午後2時〜午後3時】
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「嬢ちゃん、ガソリンがどうして燃えるのか――その仕組みを知ってるかい?」
晴美を抱えたまま、いまだに点火されっぱなしのバーナーを見上げる西宮。降ろして欲しいのだが、降りればそこはガソリンの海であるため、とりあえず西宮に抱えられたままでいる晴美。
「そんなの、ガソリンに着火点を近づければいいだけなんじゃないの?」
晴美の答えに西宮は首を横に振った。
「半分は正解だが、正確にはガソリンそのものは燃えないんだ。ガソリンってのは常に揮発――蒸発してる物資でな。その揮発したガスが可燃性ガスになる。でも、それだけじゃまだ燃えない。揮発した可燃性のガスが一定の割合で空気と混ざり合った時に、ようやく燃えるんだよ」
晴美は普段からセルフスタンドで車にガソリンを入れるが、さすがにガソリンの性質までは知らない。単純にガソリンに火を近づければ燃えるとばかり思っていたが、どうやらそれは違うらしい。
「その一定の割合ってのが、燃焼範囲――1.4パーセント~7.6パーセントなんだ。つまり、空気中の酸素やらなんやらに1.4パーセント~7.6パーセントの質量で可燃性のガスが混合した時に限り、それはようやく発火する。たまたま消防団やってた時に危険物の試験を受けてな。そん時のことが、まさかこんなところで役に立つなんて思いも寄らなかった」
「それと、私が蓋を閉めなければならなかったことと、どう関係するわけ?」
晴美は予備知識を持っていないというのに、勝手に話を進めてしまう西宮。置いてきぼりにされているような気がした晴美は、やや不機嫌になって突っ込んだ。
「――その説明をする前に、比重の話をしようか。ガソリンが揮発したガスってのは、空気よりも重たい。ガソリンスタンドとかで、ゲストルームの入り口が必ず一段高くなっているのも、可燃性ガスの侵入を防ぐためだったりする」
ガソリンから発生した可燃性ガスは空気よりも重い。重要そうなところだけを抜き出して把握し、頷くことで西宮に続きの言葉を促す晴美。
「最初、ここには空気しか存在しなかった。しかしながら、退路を断たれてガソリンが流し込まれたせいで、空気に可燃性のガスが混ざり始めたんだ。ガソリンのほうが比重が重くなるわけだから、最初からここにあったはずの空気と混合をしながら、少しずつ可燃性ガスの比率が増えていった。恐らく、5分でこの中の空気が燃焼範囲に入るように計算されていたんだと思う。だったら、その計算を狂わせてやればいいと考えたんだ」
「それこそが蓋を閉めることだった――と?」
晴美を抱えたまま、いまだに点火されっぱなしのバーナーを見上げる西宮。降ろして欲しいのだが、降りればそこはガソリンの海であるため、とりあえず西宮に抱えられたままでいる晴美。
「そんなの、ガソリンに着火点を近づければいいだけなんじゃないの?」
晴美の答えに西宮は首を横に振った。
「半分は正解だが、正確にはガソリンそのものは燃えないんだ。ガソリンってのは常に揮発――蒸発してる物資でな。その揮発したガスが可燃性ガスになる。でも、それだけじゃまだ燃えない。揮発した可燃性のガスが一定の割合で空気と混ざり合った時に、ようやく燃えるんだよ」
晴美は普段からセルフスタンドで車にガソリンを入れるが、さすがにガソリンの性質までは知らない。単純にガソリンに火を近づければ燃えるとばかり思っていたが、どうやらそれは違うらしい。
「その一定の割合ってのが、燃焼範囲――1.4パーセント~7.6パーセントなんだ。つまり、空気中の酸素やらなんやらに1.4パーセント~7.6パーセントの質量で可燃性のガスが混合した時に限り、それはようやく発火する。たまたま消防団やってた時に危険物の試験を受けてな。そん時のことが、まさかこんなところで役に立つなんて思いも寄らなかった」
「それと、私が蓋を閉めなければならなかったことと、どう関係するわけ?」
晴美は予備知識を持っていないというのに、勝手に話を進めてしまう西宮。置いてきぼりにされているような気がした晴美は、やや不機嫌になって突っ込んだ。
「――その説明をする前に、比重の話をしようか。ガソリンが揮発したガスってのは、空気よりも重たい。ガソリンスタンドとかで、ゲストルームの入り口が必ず一段高くなっているのも、可燃性ガスの侵入を防ぐためだったりする」
ガソリンから発生した可燃性ガスは空気よりも重い。重要そうなところだけを抜き出して把握し、頷くことで西宮に続きの言葉を促す晴美。
「最初、ここには空気しか存在しなかった。しかしながら、退路を断たれてガソリンが流し込まれたせいで、空気に可燃性のガスが混ざり始めたんだ。ガソリンのほうが比重が重くなるわけだから、最初からここにあったはずの空気と混合をしながら、少しずつ可燃性ガスの比率が増えていった。恐らく、5分でこの中の空気が燃焼範囲に入るように計算されていたんだと思う。だったら、その計算を狂わせてやればいいと考えたんだ」
「それこそが蓋を閉めることだった――と?」
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