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査定4 なぜウグイスは鳴かなかったのか【問題編】
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そこには日記――というべきか、飯山真琴という人物の書いた備忘録のようなものが入っていた。まだ色々とデータは入っているようだが、千早が真っ先に開いたファイルは、実に物騒な形で締めくくられていた。飯山が下宿先の大家を殺した罪で、警察に逮捕されてしまう……との内容だった。もし、これが今から20年以上前に書かれたものだとすれば、助けを求められても困るのであるが。
この段階で、千早は依頼主である竹藤にメールを打った。実際に事件はどのように収束したのかを知りたかったのだ。しばらくするとメールの返信があり、どうやら飯山は捕まってしまったようだ。そして、服役中に亡くなってしまったらしい。ならば、もう事件は解決しているのではないか――と改めてメールをしたのだが、竹藤はそうは思っていなかったようだ。
――あいつが人を殺すはずがない。
ただの文字列であるのに、それは実に力強く感じられた。それだけ竹藤が飯山のことを信用しているということか。メールを開いた千早がモノクルを取り出して現在にいたる。
これはどうやら班目に事実確認をしたほうが良さそうだ。一応、旧式のパソコンを用立てしてもらう際に、今回のことは軽くであるが話してある。どこまで調べてもらえるか分からないが、事情を話して動いてもらうことにしよう。そう考えた千早は、立ち上がるとカウンターを離れる。店内ではなく母屋のほうへと向かった。
千早は祖母との2人暮らし。しかし、実は祖母は数年前から体調を崩しており、病院への入退院を繰り返していた。だから実質のところ独り暮らしのようなものだ。金銭面に関しては当面の心配はしていないのだが、この家は千早にとっていささか広すぎた。両親を亡くしたのは随分と前のことだし、もうすっかり慣れたつもりでいたのに――。
冷蔵庫の前までやってくると、冷凍室からアイスを取り出す。これこそ、夏の風物詩。夏だからこそ許される千早の贅沢である。これでもかとばかりに小豆をふんだんに使い、下手をすれば歯が折れてしまうのではないかと思うほどに固いそれは、口にくわえるとほのかに甘く、小豆の香りが口一杯に広がる。それを時間をじっくりかけて味わうのが、千早にとって夏の醍醐味であった。
珍しく鼻歌交じりで店に戻る。ちなみに、夏休みではあるため、店に出るのも普段着で出ている。一応、接客業であるし、野暮ったい格好もできない。以前は潔く休日でもセーラー服を着ていたのであるが、今年はちょっと愛に相談をして、店に立つ時の格好を見繕ってもらったのだ。
この段階で、千早は依頼主である竹藤にメールを打った。実際に事件はどのように収束したのかを知りたかったのだ。しばらくするとメールの返信があり、どうやら飯山は捕まってしまったようだ。そして、服役中に亡くなってしまったらしい。ならば、もう事件は解決しているのではないか――と改めてメールをしたのだが、竹藤はそうは思っていなかったようだ。
――あいつが人を殺すはずがない。
ただの文字列であるのに、それは実に力強く感じられた。それだけ竹藤が飯山のことを信用しているということか。メールを開いた千早がモノクルを取り出して現在にいたる。
これはどうやら班目に事実確認をしたほうが良さそうだ。一応、旧式のパソコンを用立てしてもらう際に、今回のことは軽くであるが話してある。どこまで調べてもらえるか分からないが、事情を話して動いてもらうことにしよう。そう考えた千早は、立ち上がるとカウンターを離れる。店内ではなく母屋のほうへと向かった。
千早は祖母との2人暮らし。しかし、実は祖母は数年前から体調を崩しており、病院への入退院を繰り返していた。だから実質のところ独り暮らしのようなものだ。金銭面に関しては当面の心配はしていないのだが、この家は千早にとっていささか広すぎた。両親を亡くしたのは随分と前のことだし、もうすっかり慣れたつもりでいたのに――。
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珍しく鼻歌交じりで店に戻る。ちなみに、夏休みではあるため、店に出るのも普段着で出ている。一応、接客業であるし、野暮ったい格好もできない。以前は潔く休日でもセーラー服を着ていたのであるが、今年はちょっと愛に相談をして、店に立つ時の格好を見繕ってもらったのだ。
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