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査定3 おばけマンションの人喰いエレベーター【解答編】
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これには一里之と愛も度肝を抜かれたようだった。まぁ、人のことは言えない。班目もまた、その可能性をしっかりと見落としてしまっていた。捜査の方針としても、まずはラクレスの話を聞かないことには――という方向性が強く、お恥ずかしいことに警察内部でも見落とされていることであろう。それとも、班目がろくに捜査会議を聞いていなかっただけで、もしかすると、そんな話が出ていたのかもしれない。いや、警察の威信のためにも、そういうことにしておこう。
「私がカメラマンの存在に気づいた理由はいたって単純です。実はラクレス5人組が挨拶をする場面でおかしな点を見つけたのです」
それを聞いた一里之が、またしても一番乗りで動画を再生する。どうにも若者との間に見えない壁がある――なんてことを考えながら、班目は自分のスマートフォンで動画を再生した。両サイドから愛と千早が一里之のスマートフォンを覗き込む。孤独まぎれに言わせてもらおう。班目の隣、空いてますよ。
「注目して欲しいのは、ラクレスが挨拶をした後、人喰いエレベーターを呼ぶ場面です」
動画内では挨拶が終わった後、人喰いエレベーターの内装が特殊であるとのことで、博士がエレベーターの呼び出しボタンを押す。すると、カメラは階数表示へとアップで寄り、ランプが徐々に1階へと降りてくる様を映し出す。そこまで見て、班目は自身でも意識せずに「あっ!」と声を上げ、そして続けた。
「挨拶の撮影だけなら固定したカメラでも可能でしょうが、途中から階数表示をアップにして映すのは――確かにカメラマンが必要ですね。そのままアップするわけでなく、しっかり寄ってからアップになってますし」
冒頭のラクレスの挨拶シーン。それに限り、カネモトでも博士でもない、またジュンヤでもキー坊でもマソンヌでもない誰かがカメラを回しているのだ。班目の言葉に満足げに頷くと千早は続ける。
「班目様のおっしゃる通りです。あの現場にいたのは5人ではなく、カメラマンを含む6人だった。そう考えると、アンバランスだった人員配置にも納得できます」
千早が言うと、まだ事実を飲み込めずにいるのだろう。一里之がやや声を上ずらせる。
「アンバランスだった人員配置?」
疑問に疑問を重ねるようなことをしても、なおさらに混乱するだけなのだから、もう少し落ち着いてから問いかければいいものを――なんて思っている班目もまた、もしかすると落ち着いてはいなかったのかもしれない。
「私がカメラマンの存在に気づいた理由はいたって単純です。実はラクレス5人組が挨拶をする場面でおかしな点を見つけたのです」
それを聞いた一里之が、またしても一番乗りで動画を再生する。どうにも若者との間に見えない壁がある――なんてことを考えながら、班目は自分のスマートフォンで動画を再生した。両サイドから愛と千早が一里之のスマートフォンを覗き込む。孤独まぎれに言わせてもらおう。班目の隣、空いてますよ。
「注目して欲しいのは、ラクレスが挨拶をした後、人喰いエレベーターを呼ぶ場面です」
動画内では挨拶が終わった後、人喰いエレベーターの内装が特殊であるとのことで、博士がエレベーターの呼び出しボタンを押す。すると、カメラは階数表示へとアップで寄り、ランプが徐々に1階へと降りてくる様を映し出す。そこまで見て、班目は自身でも意識せずに「あっ!」と声を上げ、そして続けた。
「挨拶の撮影だけなら固定したカメラでも可能でしょうが、途中から階数表示をアップにして映すのは――確かにカメラマンが必要ですね。そのままアップするわけでなく、しっかり寄ってからアップになってますし」
冒頭のラクレスの挨拶シーン。それに限り、カネモトでも博士でもない、またジュンヤでもキー坊でもマソンヌでもない誰かがカメラを回しているのだ。班目の言葉に満足げに頷くと千早は続ける。
「班目様のおっしゃる通りです。あの現場にいたのは5人ではなく、カメラマンを含む6人だった。そう考えると、アンバランスだった人員配置にも納得できます」
千早が言うと、まだ事実を飲み込めずにいるのだろう。一里之がやや声を上ずらせる。
「アンバランスだった人員配置?」
疑問に疑問を重ねるようなことをしても、なおさらに混乱するだけなのだから、もう少し落ち着いてから問いかければいいものを――なんて思っている班目もまた、もしかすると落ち着いてはいなかったのかもしれない。
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