猫屋敷古物商店の事件台帳

査定３ おばけマンションの人喰いエレベーター【問題編】

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「他になにかラクレスに関する情報があったりしませんか？」

　千早は動画サイトに疎いだけあって、この事件が起きるまでラクレスというグループの存在を知らなかったし、そのグループが芸能人のように事務所と契約しているという事実も、つい今しがたまで知らなかった。ゆえに、ここは全くの手つかず。なにか新たな情報があればいいのだが。

「後は――ラクレスメンバーの簡単なプロフィールくらいか。このままだと、このページもいずれは削除されそうだけど」

　事件後、姿をくらませているラクレスは、事務所にとってマイナスでしかない。このまま姿をくらませ続けるようであれば、事務所としても契約打ち切りという流れになることだろう。今や一般人の顔写真でさえ、検索すれば出てきてしまう時代だ。ネットの力をないがしろにはできず、それなりの対応が要求されるのが常識となりつつある。

「ちょっと見せてください」

　一里之が開いたページは、所属している人間を紹介する一覧ページだった。もちろん、所属しているのはラクレスだけではなく、他にも多くの名前やグループ名らしきものが列挙されていた。千早はソファー越しに身を乗り出すような形でパソコンに手を伸ばし、迷うことなくラクレスのページを開く。

　画面は実にシンプルなもので、白の下地に顔写真と簡単なプロフィールが記されているだけ。ページをスクロールさせると、それが５人分掲載されていた。ラクレスのメンバーは５人なのだから当然だ。あらためてページのトップまで戻ると、順番にプロフィールを確認する。

　ページのトップには赤髪の男の写真が貼られている。プロフィールを確認するまでもなく、名前はカネモト。身長178センチ。体重71キロ。趣味、ボルダリング。

　次は金髪の男。名前は博士。身長172センチ。体重68キロ。趣味、マッドサイエンティスト――は、果たして趣味と呼べるのか。

　続いて銀髪の男の写真。動画でも素人っぽさが拭えなかった男だ。名前は当然ながらジュンヤ。身長180センチ。体重74キロ。趣味、ナンパ。なんだか、ここでもキャラクター作りに失敗しているような気がする。

　青色の髪の男は、動画でも存在感が大きかった。単純に巨漢というだけなのだろうが、存在感と圧迫感は間違いなく大きかった。キー坊。身長165センチ。体重126キロ。思った以上に重たいらしい。

　最後は緑髪で、現状においては唯一の疑いがかけられている人物、マソンヌ。身長156センチ。体重55キロ。やはり、かなり小柄のようだ。