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査定3 おばけマンションの人喰いエレベーター【問題編】

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「そんなこと言って、俺にドッキリを仕掛けようとしたって――」

「ドッキリじゃねぇよ! 本当にカネモトが死んでんだよ!」

 ジュンヤの言葉を遮って叫ぶ博士。その声はきっと、上のほうまで届いたのであろう。地を揺らすような足音と共に、青髪の巨体が姿を現した。キー坊と呼ばれていた男だ。

「どうした? 何かあったの?」

 やや不安げな表情を見せるキー坊に、博士が乱暴に指示を出す。実際に遺体を見てしまった博士だからこそ、ここまで取り乱しているのだろう。

「キー坊、マソンヌのやつを呼んできてくれ! やばいことになった!」

 一体何が起きたのか――肝心のところを聞きたげな表情を浮かべたキー坊であったが、博士の「早く!」との一言で、降りてきた階段を再び引き返した。騒ぎが最上階まで聞こえていたかは分からないが、キー坊がマソンヌを連れて戻ってくるのに時間はかからなかった。

「一体、何が起きたわけ? 随分と取り乱しちゃって」

 カメラが回っているからなのか、マソンヌというキャラクターの体裁を保つ緑髪。しかし、その場の雰囲気で、どうやら尋常ではないことが起きていることを察したのであろう。マソンヌは真顔になって「いや、マジで何があったの?」とカメラに向かって問う。

「カネモトが死んだ――。しかも、あれは明らかに誰かに殺られてる。はっきりとは言えないけど、何かで殴られたんだと思う」

 博士の言葉に一同は静まり返る。重たい空気の中、博士が「嘘だと思うなら実際に見てこいよ」と付け足した。誰も見に行こうとはしなかった。

「だ、誰かって――誰?」

 キー坊の言葉に、それぞれが顔を見合わせてしまった。入居者が極端に少ないおばけマンション。エレベーターに乗ったはずの男が、わずかな時間の間に殺害された。そして、全ての階ではないものの、エレベーターホールにはラクレスのメンバーが配置されていた。この状況でカネモトの殺害が可能だったのは――ラクレスのメンバー以外に考えられないだろう。

「お、俺は殺ってないからな。ずっとエレベーターホールでカネモトのことを待ってたんだから。証拠がビデオに映像として残っている」

 一階でカネモトを送り出し、そして帰ってくるのを待っていた博士。その様子はライブ配信された映像にも残されていた。彼はアリバイを証明できると考えていいだろう。

「そんなこと言ったら、俺だってエレベーターホールでずっと待機してたよ!」

 ジュンヤが言うと「そうだそうだ」と、キー坊も続く。彼らが配置されていたのは5階と7階だったはず。
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