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査定2 惨殺アイちゃん参上【解答編】

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「ポイントとなったのは――警備員の詰所にあったタイムカードです」

 千早が言うと、相変わらず部屋の明かりに対して逆光気味の男が鼻で笑ったように見えた。警備員の詰所とやらにタイムカードがあるらしい。千早に同行していない一里之は、分からない点を想像で埋めなければならないから大変だ。

「タイムカード? あれに書いてあったかい? 【惨殺アイちゃん】の正体が――」

「正体は書いてありませんでしたが、あなたの名前に【アイ】が含まれていることは、しっかりと示唆されていましたよ」

 まるで男がどのように返してくるのか、あらかじて知っているかのごとく言葉を並べていく千早。反論意見が出る前に、それに対する見解をぶつけるような早足の展開だ。

「詰所のタイムカードはホルダーに4枚ありました。これは、その時に話を伺った河合秋人さんから丁寧に教えていただいたのですが、上から順番に【今井芳樹】さん、その次に【河合あさお】さん、続いて【河合秋人】さん、最後に【万丈目鯖虎】さんと続きます」

 タイムカードがポイントらしいが、何がどのような形で事件に関与するのだろうか。それにしても万丈目鯖虎とは凄い名前である。

「さて、この4枚のタイムカード。実はある序列に従って上から順番に並べられています。では、果たして何の序列に従って並べられているでしょうか? あなたなら答えられますよね?」

 問題形式で犯人へと問いを投げかける千早。さっきまでは勝ち誇ったような態度を見せていた男だが、その質問には表情を強張らせたかのように見えた。男は答えない。千早の問いかけには答えない。妙な沈黙に耐えられなくなったのか、愛が首を傾げつつ口を開いた。

「入社順とか――偉い順番じゃないよね? 新人だって言ってた河合秋人さんのタイムカードは、一番下じゃないし。で、万丈目って人はかなりのベテランだって話だったし」

「はい、そのような序列で並んでいるわけではありません。もっと一般的で単純な序列で並んでいます」

 一般的で単純……真っ先に思いつくのは、これしかなかった。パッと警備員の名前を聞いた時点で、むしろこれしかないように思えた。

「いや、あれじゃね? あいうえお順っていうか、五十音順なんじゃね?」

「その通りです。一里之君」

 千早がこくりと頷くが、しかし愛が即座に割り込んでくる。なんというか、犯人はまるで置いてきぼりである。

「待って。確かにそれっぽい並びになってるけど、正確には五十音になってなくない?」
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