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査定2 惨殺アイちゃん参上【問題編】

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「次はまた警備員の詰所だね。ちょっと時間が厳しくなってきたかもしれないから急ごう」

 愛はそう言うと、図書室から下へと向かう階段を、急に一個飛ばしで下り始める。スカートの最大振れ幅に気を遣って歩く千早にとって、階段の一個飛ばしなんて高難度である。

「あ、赤祖父様っ! ちょ、ちょっと待ってください!」

 テンポ良く階段を下り、踊り場の向こう側へと消えた愛の姿を追って、千早も慌てて階段を下り始める。もう仕方がないから、スカートの裾を両手で押さえつけての強行手段だ。なぜ、他校の見知らぬ階段で、無駄に面白い動きをしなければならないのか。そんなことを考えつつも、必死に愛の後を追った。

「あ、猫屋敷さーん! 中に入ってだってー!」

 警備員の詰所に到着した頃には、やや息が上がってしまっていた。愛は警備員の詰所へと続く扉を手に、千早を手招きする。千早は呼吸を整えつつ、愛の元へと向かった。

「やぁ、お帰り」

 扉の向こうにいたのは、ここに初めて来た時に名簿を出してくれた警備員――河合だった。その時、詰所の中にいたのは彼だけだったが、今回は別の警備員の姿があった。その警備員はまだ若く、千早の姿を見るなり笑みを浮かべる。

「俺に話を聞きたいんだって? まぁさ、立ち話もなんだから、中でお茶でも――って話になってたとこなんだよ。あ、俺は河合秋人っていうんだ。今は彼女なし、当然ながら独身!」

 警備員の制服を着ているものの、どこか幼げな雰囲気のある彼は、きっとそこまで歳も離れていないのであろう。

「秋人、生徒に手は出すんじゃねぇぞ。規定で決まってるし、そんなことしたら一発で首だからな」

 愛と千早を詰所に招き入れた彼――秋人は大きく溜め息を漏らす。

「あのですね、あさお先輩。もうあさお先輩くらいご年配になればですね、女子高生というブランドにも興味がないでしょう。でもね、俺の年代からすれば、女子高生なんてハイブランドはドストライクなんですよ。ですから、今ならば女子高生のために仕事を失っても後悔しないです」

 あさおというのは、河合の下の名前なのであろう。ここにいる二人の名札には、どちらも【河合】との表記がある。苗字が同じであるため、下の名前で呼び分けているのかもしれない。ならばそれに準じて、こちらも秋人とあさおで区別したほうがいいのかもしれない。

「馬鹿者。格好つけていう台詞か? それ」

 決まった――とはがりのドヤ顔をしていた秋人の頭に、日誌かなにかの角が直撃。秋人は頭を抱え込み、一撃を見舞ったあさおは小さく溜め息を漏らす。
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