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査定2 惨殺アイちゃん参上【問題編】

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 確信を持ちつつ、カウンターのほうへと歩みを進める一里之。カウンターの向こう側にいる人物が振り返る。目が合って、互いに「あっ!」と声を上げた。一里之はなかば分かっていたから、それが正解であったことに対して上げた声だが、あちらのほうはやってきたお客が誰か分かって、驚きの声を上げたのであろう。

「やっぱり猫屋敷じゃん!」

 目を丸くしたまま固まるポニーテールの小柄なセーラー服。その顔は紛れもなく、クラスメイトの猫屋敷千早であった。驚いた様子の彼女の口元には、なんなのか分からないが、白い粉のようなものがついている。

「い、一里之君……ですよね? 同じクラスの」

 お互いの名前は知っていても、こうして言葉を交わすのは、もしかして初めてなのかもしれない。そりゃ、授業を一緒に受けるわけだから、声くらい聞いたことはあるのだが、改めて対面して聞く千早の声は、随分と澄んでいて透き通っているように聞こえた。

「やっぱり純平のクラスメイトなの? だったら話が早くて助かるわ」

 一里之と千早がクラスメイトだと判明するや否や、挨拶なんてそっちのけといった具合で口を開く愛。アクティブなのは結構だが、そのアクティブさが人を振り回すことがあることを、そろそろ理解して欲しい。

「あの、私は純平の彼女の赤祖父愛って言います。制服を見てもらえば分かると思うけど、雛撫高校の3年生。ここでいわくつきのものを査定してもらえるって聞いて来たんですけど――」

 寝耳に水というか、いきなりクラスメイトが訪ねてきて、その彼女だと名乗る女性が、完全に自分のペースでベラベラと話し始める。一里之が店に来店したことだけでも随分と驚いている様子の彼女には、展開が早すぎてわけが分からないであろう。事実、千早からは助けを求めるような視線が送られていた。

「まぁ、愛。落ち着けって。そんなにグイグイ行ったら猫屋敷も困るだろうし。それにまだ、本当に噂通りのことをしてくれるとも限らないんだからよ。とりあえず、愛は落ち着け。それで、猫屋敷は口元の粉みたいなやつを拭いたほうがいい」

 一里之からすれば、クールダウンする時間を作ってやったつもりだった。だからあえて、千早の口元の粉を指摘したのであるが、千早は口元を撫でて粉がついていることに気づいたのか、あからさまに顔を真っ赤にする。カウンターの下からウエットティッシュらしきものを取り出すと、一里之達に背を向けた。

「す、すいません! さっきまで、ままままままっ! 豆大福を食べていたもので!」
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