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査定2 惨殺アイちゃん参上【問題編】

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「あの、その猫屋敷さんの古物商店ってどこにあります?」

 都市伝説レベルの話をたどってみたら、同じ学校のクラスメイトに行き着いた。もちろん、いわくを買い取るとか、そのいわくの背景を紐解くために、それにまつわる事件を解決してしまうだとか、その辺りのことはまだ真偽は定かではない。ただ、その噂の元となった古物商店が実在し、そこの店主が同級生であるという偶然は、なんというか偶然で済まないような気がした。

「道路を挟んだあっちのほうに集落があるでしょう? 集落に入ってしばらく行くと郵便局があって、そこからもう少し行くとお店が見えるから」

 実にあっさりと都市伝説レベルの場所を見つけることができてしまった。ネットが当たり前になった時代、きっと検索しても出てこないし、電話番号なども分からず、かといって近くにあると噂されている、この道の駅まで実際に向かってみようという人が少ないのであろう。だからこそ都市伝説となっているような気がする。不可解で実在するかどうか分からないものも、よくよく確かめてみたらそんなに大したものではなかったりするということか。

「ありがとうごさいます。あ、もうひとつコーヒーもらっていいですか?」

 話を聞くだけ聞いて手ぶらでその場を去るわけにはいかないと考えたのであろう。まだ愛はコーヒーカップを持っているわけだが、まだ飲む気なのだろうか。純平の心の中を読んだかのごとく、愛が口を開く。

「純平も飲んでみなよ。ここのコーヒー、すごく美味しいから」

 どうやら一里之の分も頼んでくれたらしい。実はあまりコーヒーは得意ではないのだが、なんとなく格好悪いような気がして、たまに大人ぶって愛の前でコーヒーをブラックで飲むことがあった。あんな苦いだけの飲み物のどこが美味しいのだろうか。

「ありがとう。じゃあ、今から豆を挽くからちょっと待っててね」

 おばあさんはそういうと一里之達に背を向けてなにやら準備を始める。

「豆を挽くところから? 道の駅のコーヒーなのに?」

 豆を挽き始めたおばあさんの背中に職人の魂らしきものが見えたのは気のせいなのか。このおばあさん、ただものではないのかもしれない。一里之の言葉さえ耳に届いていないようで、黙々とコーヒーを淹れるおばあさん。待つことしばらく、ようやくカウンターにコーヒーカップが置かれる。これだけやっておきながら、中身が山菜汁だったらさすがに笑う。

「はい、どうぞ――」

 代金をトレーの上に置き、コーヒーを手に取ると「色々とありがとうございました」と頭を下げる愛。コーヒーカップを愛から受け取ると、愛にならって頭を下げ、一里之は売店を後にする。
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