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第三 覚醒
最終話
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「生徒共、お前等にチャンスをやろう。そこのクズ教師共を始末しろ!」
「テメェ一体、何を言っている。始末されるのは、お前らだ」
男は振り返るが、誰もいなかった。
「誰だ、姿を見せろ」
その時、太腿に熱さを感じ、男は足を見ると所持していたナイフが刺さっていた。
しかし男は、眉一つ動かさず、折り曲げた袖口からはみ出る、鮮やかな和彫りの腕を伸ばし、腿に刺さったナイフを抜こうとした。
だがしかし、そのナイフが勝手に腿から抜けたのだった。
「まじかよ……宙に浮いてるぞ」
男の目には映らないが、目の前には真山の生霊がナイフを突き出し立っている。
男はニヤリと凍りつくような笑みを浮かべ宙に浮くナイフを見る。
「久方振りに興奮するぜ、もう普通の抗争では何も感じなくなったからな。さぁ来いや」
真山の生霊は、男にナイフで斬りかかるが、空を切るばかり。
「当たらねえ……」
真山は、もう一体生霊を増やし男に送り出した。
依田が壇上から見ると男が、見えない何かと格闘している。様子を確認する為、依田は壇上から降り、無差別に発砲しながら男の方へ向った。
「無差別殺戮かよ、この女の正気じゃねえ」
真山は、更に依田に生霊を送り出した。
真山の生霊は、正面に立ち、依田の持つ拳銃を両手で押さえ発砲を阻止した状態から、彼女の顎、目掛けて蹴り上げた、彼女は銃を離し後方に倒れ込む。
依田は立ち上がり今度は、サバイバルナイフを取り出し近くにいた女子を人質にする。
「よく聞きな、オバケさん私に触れたら、この娘の首を掻っ切るわよ」
依田は、仲間に向って話しかける。
「間違いないわ……生きた人間の仕業ね。恐らく霊体を操っているかも。しかも、こんなに派手に動かすのは相当な力が必要。怪しいのは眠っている状態の奴ね」
「コイツ等に生霊は効かねえのか」
窮地に落ちる真山は岐路に立つ。逃げるか、攻めるかだ。
――逃げると俺は助かるが、浜家と風間が殺られる。それに俺は、いつも茉子に救われていた。あいつと一緒にいると、いつの間にか俺は復讐心が薄すれ、幸福感に包まれる。
「だから茉子は、絶対に助けなきゃなんねぇ」
真山は頭の中で何度も攻めのシュミレーションを繰り返す。
だが状況が、更に動き始めた。とうとう本当の首謀者が現れたのである。
その者のは、この高校の三年生で名は千照姫羅オカルト団体教祖の娘であった。
「高校の教師と生徒は我等に嘲罵した報いを受けなければならない」千照は、依田と男にそう唱える。
千照の母は、昔テレビやマスコミにも何度か出た事がある有名なオカルト団体の教祖であった。
「千照を止めなければ」しかし生霊をもう一体飛ばすと真山の生命が絶えるかも知れない。
だが彼にはもう悩む時間がなかった。
「瞬、私も全て捧げます」と浜家は残りの生気を真山に送るのであった。
何かを察知した千照は立ち止まった。
「貴方は誰ですか」千照には薄っすらとした影で真山の生霊が見えている。
「死んでも、茉子には指一本、触れさせねえ」
真山の生霊は千照に飛びかかる。
電撃が走ったかのように激しい痛みが脳天を貫く。
「痛え……どうしてだ」真山の生霊を通して肉体に痛みが伝わる。
「これは我が家宝、霊体もぶった斬る事が出来る刀なの……うかつに近寄らない方が懸命よう」
千照は狂気な笑顔で真山の生霊を斬りつける。
激痛で真山の肉体は痙攣を起こし始めた。
「見つけた。生霊の正体」
千照が依田に指示を出す。痙攣をしている男を殺れと……。
「了解」直ぐさま依田は痙攣をしている真山の方へ向かい、彼の前に立ち、ナイフを振り上げ一気に突き刺した。
しかし……ナイフは真山には届かなかった。何故なら浜家が渾身の力を振り絞り真山に覆い被さり、ナイフは彼女の背中に深く突き刺さった。
「茉子……茉子」その瞬間、真山の力は暴走し始めた。
真山の生霊は浜家に突き刺さったナイフを抜き依田の首を掻っ切た。次いで男の両腕をへし折り床に叩きつけ、更に千照の首を鷲掴みにしてバスケットゴールに叩き込んだ。
その瞬間に真山の生霊は消えていったのだが、真山の怒りは収まらなかった。
真山の肉体が、起き上がり千照の刀を手に持ちバスケットゴールに向かいゆっくりと歩き始めた。
「千照、お前の家宝の刀で葬ってやるよ」
真山は、バスケットゴールから突き出た千照の頭を斬りつけようとしたが「瞬……ヤメて」浜家の声に反応して瞬時に真山は手を止めた。
「瞬……もうやめよう」
浜家は青ざめた顔でゆっくりと真山の方に歩いてきて真山の背に体を預けた。
真山は持っていた刀を捨て、浜家と向き合い彼女を抱きしめ囁いた。
「茉子、俺は間違えていた。今までしてきた事の罪を償わなければならない」
真山は千照と自分を重ね、自分のしてきた事の罪の重さを知るのであった。
「茉子、俺の命はもう尽きる。長い旅になるが、地獄から一緒にやり直してくれるか」
彼女は真山の顔を両手で引き寄せ、ゆっくりと頷き、唇を重ねた。
そうして……二人は果てしなく長い旅に出たのであった。
「テメェ一体、何を言っている。始末されるのは、お前らだ」
男は振り返るが、誰もいなかった。
「誰だ、姿を見せろ」
その時、太腿に熱さを感じ、男は足を見ると所持していたナイフが刺さっていた。
しかし男は、眉一つ動かさず、折り曲げた袖口からはみ出る、鮮やかな和彫りの腕を伸ばし、腿に刺さったナイフを抜こうとした。
だがしかし、そのナイフが勝手に腿から抜けたのだった。
「まじかよ……宙に浮いてるぞ」
男の目には映らないが、目の前には真山の生霊がナイフを突き出し立っている。
男はニヤリと凍りつくような笑みを浮かべ宙に浮くナイフを見る。
「久方振りに興奮するぜ、もう普通の抗争では何も感じなくなったからな。さぁ来いや」
真山の生霊は、男にナイフで斬りかかるが、空を切るばかり。
「当たらねえ……」
真山は、もう一体生霊を増やし男に送り出した。
依田が壇上から見ると男が、見えない何かと格闘している。様子を確認する為、依田は壇上から降り、無差別に発砲しながら男の方へ向った。
「無差別殺戮かよ、この女の正気じゃねえ」
真山は、更に依田に生霊を送り出した。
真山の生霊は、正面に立ち、依田の持つ拳銃を両手で押さえ発砲を阻止した状態から、彼女の顎、目掛けて蹴り上げた、彼女は銃を離し後方に倒れ込む。
依田は立ち上がり今度は、サバイバルナイフを取り出し近くにいた女子を人質にする。
「よく聞きな、オバケさん私に触れたら、この娘の首を掻っ切るわよ」
依田は、仲間に向って話しかける。
「間違いないわ……生きた人間の仕業ね。恐らく霊体を操っているかも。しかも、こんなに派手に動かすのは相当な力が必要。怪しいのは眠っている状態の奴ね」
「コイツ等に生霊は効かねえのか」
窮地に落ちる真山は岐路に立つ。逃げるか、攻めるかだ。
――逃げると俺は助かるが、浜家と風間が殺られる。それに俺は、いつも茉子に救われていた。あいつと一緒にいると、いつの間にか俺は復讐心が薄すれ、幸福感に包まれる。
「だから茉子は、絶対に助けなきゃなんねぇ」
真山は頭の中で何度も攻めのシュミレーションを繰り返す。
だが状況が、更に動き始めた。とうとう本当の首謀者が現れたのである。
その者のは、この高校の三年生で名は千照姫羅オカルト団体教祖の娘であった。
「高校の教師と生徒は我等に嘲罵した報いを受けなければならない」千照は、依田と男にそう唱える。
千照の母は、昔テレビやマスコミにも何度か出た事がある有名なオカルト団体の教祖であった。
「千照を止めなければ」しかし生霊をもう一体飛ばすと真山の生命が絶えるかも知れない。
だが彼にはもう悩む時間がなかった。
「瞬、私も全て捧げます」と浜家は残りの生気を真山に送るのであった。
何かを察知した千照は立ち止まった。
「貴方は誰ですか」千照には薄っすらとした影で真山の生霊が見えている。
「死んでも、茉子には指一本、触れさせねえ」
真山の生霊は千照に飛びかかる。
電撃が走ったかのように激しい痛みが脳天を貫く。
「痛え……どうしてだ」真山の生霊を通して肉体に痛みが伝わる。
「これは我が家宝、霊体もぶった斬る事が出来る刀なの……うかつに近寄らない方が懸命よう」
千照は狂気な笑顔で真山の生霊を斬りつける。
激痛で真山の肉体は痙攣を起こし始めた。
「見つけた。生霊の正体」
千照が依田に指示を出す。痙攣をしている男を殺れと……。
「了解」直ぐさま依田は痙攣をしている真山の方へ向かい、彼の前に立ち、ナイフを振り上げ一気に突き刺した。
しかし……ナイフは真山には届かなかった。何故なら浜家が渾身の力を振り絞り真山に覆い被さり、ナイフは彼女の背中に深く突き刺さった。
「茉子……茉子」その瞬間、真山の力は暴走し始めた。
真山の生霊は浜家に突き刺さったナイフを抜き依田の首を掻っ切た。次いで男の両腕をへし折り床に叩きつけ、更に千照の首を鷲掴みにしてバスケットゴールに叩き込んだ。
その瞬間に真山の生霊は消えていったのだが、真山の怒りは収まらなかった。
真山の肉体が、起き上がり千照の刀を手に持ちバスケットゴールに向かいゆっくりと歩き始めた。
「千照、お前の家宝の刀で葬ってやるよ」
真山は、バスケットゴールから突き出た千照の頭を斬りつけようとしたが「瞬……ヤメて」浜家の声に反応して瞬時に真山は手を止めた。
「瞬……もうやめよう」
浜家は青ざめた顔でゆっくりと真山の方に歩いてきて真山の背に体を預けた。
真山は持っていた刀を捨て、浜家と向き合い彼女を抱きしめ囁いた。
「茉子、俺は間違えていた。今までしてきた事の罪を償わなければならない」
真山は千照と自分を重ね、自分のしてきた事の罪の重さを知るのであった。
「茉子、俺の命はもう尽きる。長い旅になるが、地獄から一緒にやり直してくれるか」
彼女は真山の顔を両手で引き寄せ、ゆっくりと頷き、唇を重ねた。
そうして……二人は果てしなく長い旅に出たのであった。
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