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第三 覚醒
3-1
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真山と浜家は、学校が終わり夕飯の買物にいつものスーパーに向っている。
「今日、何食べたいですか?」
寒空の下、握りあった手の温もりに、真山はいつのまにか忘れていた愛情を感じていた。
「ありがとうな……茉子のおかげで俺は本来の自分に戻れる感じがする」
「どうしたのですか急に改まって……」
――そう俺は彼女に会うまでは憎悪に染り日々復讐だけを考えていた、ちっぽけな男だったかも知れない。
買物を終えた二人は家路につくが……。
古びた集合住宅の前を通った瞬間……真山の背に何か激しい衝撃が……まるで飛び蹴りを食らったかの様な感じで真山は耐えきれず両手を地面につき膝まついた……。
「瞬! 大丈夫……瞬! 瞬!……瞬!」
浜家が、買ったものを放り投げ、心配そうに真山を呼ぶ。
しばらくして彼は、遠のいた意識が戻ってくるのを感じた。
「大丈夫だ……問題ない」
真山は、泣きそうな浜家の肩を借り立ち上がった。
――体が……重い、まるで何かが、乗っかているようだ。
更に睡魔が、真山を襲う。
その後……真山は大事を取り浜家の家に泊まっていく事にした。
真山は浜家の家についた途端、直ぐに眠りについたのであった。
そうして真山は夢を見た……。
帰り際に通った古びた集合住宅の一室で泣き叫ぶ小さな少女の夢を……。
そこへ泥酔した男が、その少女に乱暴を働く……。
『助けてください……お兄ちゃん。早く来て……』
少女の悲痛な表情で……思わず上体を起こし目が覚めた真山。
『一体何んなんだ』
真山は、気を落ち着かせるためにコップ一杯の水を飲み干し、もう一度眠りについた。
すると……今度、男が少女を冷蔵庫の様に冷え切った浴室へ連れて行き、満水にはられ凍りつきそうな浴槽の中へ少女を沈める。
『助けて……お兄ちゃん! 』
その夢の中で真山は、少女がいる古びた集合住宅の一室にいた。真山は流し台に置いてあった包丁を握りしめ一歩一歩男に近づき、男の背後に立ち、握りしめた包丁を男に振りかざした!
『痛えーー!!』
男の背中からジワッと血が滲み、辺はあっと言う間に血の海に変わった。
男は倒れ込み上を見ると……包丁を持ち、鬼の形相をした真山が更に男の胸元に包丁を突き刺す。
何度も……何度も……それを繰り返した。
「お前らが、悪いんだ……クズは皆死ね」
そうして彼は、少女に『もう大丈夫だからね』と言い、近くにあったスマホで警察に電話をかけ少女に渡した……ところで真山は目を覚ました。
「瞬! 瞬!」魘されている真山を心配して浜家は彼を起こそうと何度もずっと呼んでいた。
「すまない……悪い夢を見た」
真山は夢の内容を一部始終、浜家に話す。
「リアル過ぎて今でも刺した時の手の感覚が残っている」
「魘されないように手を握って眠りましょう」
そうして二人は朝まで、ひとつの布団で寝るのであった。
翌朝……心地よい布団の温もりと嗅覚を刺激する味噌汁の香りで、彼は目を覚ました。
「おはようございます。もう少しで朝ご飯、出来るのでテレビでも見て待ってて下さい」
真山はソファーに腰掛け、呆然とニュースを見ていた。
――殺人事件か……近いな。
『深夜未明……所在するアパートの室内において、男性が殺害される事件が発覚しました。
発見された遺体は、居住者の男性(五三歳)のもので、背中と胸部より血を流した状態で倒れていました。遺体には、背中を刃物で切りつけられ、左胸を十数箇所も刺された跡があり、警視庁は、顔見知りによる怨恨もしくは強盗などの可能性も含め捜査を進めています』
ニュースを聞いて彼は驚愕の内容に思わず手に持っていたスマホを落とした。
――俺が夢で見た集合住宅と全く同じだ。
その夜、眠りについた真山の夢の中に、あの少女が出てきた。
「お兄ちゃん……ありがとう」
それから真山は、度々外を歩いていると、あの時と同じ症状に幾度も襲われ……その夜、殺戮の夢を必ず見る。
翌朝、必ず似たような殺人事件が起きている。
数日後……真山はある事を試すのであった……。
「今日、何食べたいですか?」
寒空の下、握りあった手の温もりに、真山はいつのまにか忘れていた愛情を感じていた。
「ありがとうな……茉子のおかげで俺は本来の自分に戻れる感じがする」
「どうしたのですか急に改まって……」
――そう俺は彼女に会うまでは憎悪に染り日々復讐だけを考えていた、ちっぽけな男だったかも知れない。
買物を終えた二人は家路につくが……。
古びた集合住宅の前を通った瞬間……真山の背に何か激しい衝撃が……まるで飛び蹴りを食らったかの様な感じで真山は耐えきれず両手を地面につき膝まついた……。
「瞬! 大丈夫……瞬! 瞬!……瞬!」
浜家が、買ったものを放り投げ、心配そうに真山を呼ぶ。
しばらくして彼は、遠のいた意識が戻ってくるのを感じた。
「大丈夫だ……問題ない」
真山は、泣きそうな浜家の肩を借り立ち上がった。
――体が……重い、まるで何かが、乗っかているようだ。
更に睡魔が、真山を襲う。
その後……真山は大事を取り浜家の家に泊まっていく事にした。
真山は浜家の家についた途端、直ぐに眠りについたのであった。
そうして真山は夢を見た……。
帰り際に通った古びた集合住宅の一室で泣き叫ぶ小さな少女の夢を……。
そこへ泥酔した男が、その少女に乱暴を働く……。
『助けてください……お兄ちゃん。早く来て……』
少女の悲痛な表情で……思わず上体を起こし目が覚めた真山。
『一体何んなんだ』
真山は、気を落ち着かせるためにコップ一杯の水を飲み干し、もう一度眠りについた。
すると……今度、男が少女を冷蔵庫の様に冷え切った浴室へ連れて行き、満水にはられ凍りつきそうな浴槽の中へ少女を沈める。
『助けて……お兄ちゃん! 』
その夢の中で真山は、少女がいる古びた集合住宅の一室にいた。真山は流し台に置いてあった包丁を握りしめ一歩一歩男に近づき、男の背後に立ち、握りしめた包丁を男に振りかざした!
『痛えーー!!』
男の背中からジワッと血が滲み、辺はあっと言う間に血の海に変わった。
男は倒れ込み上を見ると……包丁を持ち、鬼の形相をした真山が更に男の胸元に包丁を突き刺す。
何度も……何度も……それを繰り返した。
「お前らが、悪いんだ……クズは皆死ね」
そうして彼は、少女に『もう大丈夫だからね』と言い、近くにあったスマホで警察に電話をかけ少女に渡した……ところで真山は目を覚ました。
「瞬! 瞬!」魘されている真山を心配して浜家は彼を起こそうと何度もずっと呼んでいた。
「すまない……悪い夢を見た」
真山は夢の内容を一部始終、浜家に話す。
「リアル過ぎて今でも刺した時の手の感覚が残っている」
「魘されないように手を握って眠りましょう」
そうして二人は朝まで、ひとつの布団で寝るのであった。
翌朝……心地よい布団の温もりと嗅覚を刺激する味噌汁の香りで、彼は目を覚ました。
「おはようございます。もう少しで朝ご飯、出来るのでテレビでも見て待ってて下さい」
真山はソファーに腰掛け、呆然とニュースを見ていた。
――殺人事件か……近いな。
『深夜未明……所在するアパートの室内において、男性が殺害される事件が発覚しました。
発見された遺体は、居住者の男性(五三歳)のもので、背中と胸部より血を流した状態で倒れていました。遺体には、背中を刃物で切りつけられ、左胸を十数箇所も刺された跡があり、警視庁は、顔見知りによる怨恨もしくは強盗などの可能性も含め捜査を進めています』
ニュースを聞いて彼は驚愕の内容に思わず手に持っていたスマホを落とした。
――俺が夢で見た集合住宅と全く同じだ。
その夜、眠りについた真山の夢の中に、あの少女が出てきた。
「お兄ちゃん……ありがとう」
それから真山は、度々外を歩いていると、あの時と同じ症状に幾度も襲われ……その夜、殺戮の夢を必ず見る。
翌朝、必ず似たような殺人事件が起きている。
数日後……真山はある事を試すのであった……。
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