17 / 37
第二 天敵 風間一心
2-2
しおりを挟む
それは小春が、この世で一番苦手な蟻が部
屋中に入ってきた悪夢だそうだ。
『もう今日はおっ死んだよ……』と彼女は、
ため息まじりで囁き、一心におん
ぶをせがむのであった。
そんな元気な小春が、次の日から学校に来なく
なった……。
「一心君ごめんね。小春は体調が悪くて学校を
休ませるの」
「そうですか……お大事に」
その小春の母も寝不足の感じであった。
ーー今日も小春は休みか……これで三日目じゃ。
一心は頭をポリポリかきながら、ゆっくりと歩き出した。
何故か一心は、幼い頃から不安を感じた時、頭
をかく癖があるようだ。
「風間君、おはよう。良かったら一緒に登
校しませんか? 」
少し聞き覚えのある女の声が一心の背中の方か
ら聞こえてきた。
そのまま聞こえないふりをして行こうと
したが、あまりにも、しつこく名を呼ぶので一心はチラッと後ろを見た。
『やはりお前だったのか……』
最近あまり話しかけられないので諦めたと
思っていたのだが……。
一心は相手にするのが、とても面倒くさいの
で、時間に余裕がなく急いでいる感じを最大に
アピールした表情で振り向きざまに言う。
「申し訳ないが、今は少し急いでいるので……」
その女は背筋をピンとし腰から傾け、まる
で一流ホテルで働くホテリエ風なお辞儀
をし、更に口を大きく開け、舞台俳優の様な口
調で女は答えるのであった。
「何度か、お会いしたかと思いますが、風音君
の隣のクラスの松木秀子と申します。
宜しければ、お話をしながら一緒に学校まで行
きませんか?」
一心は即答した。
「悪いが……遠慮する」と簡単に誘いを断った。
何故なら以前から、彼女に度々声を掛けられる
が、小春に対して、たまに見せる悪魔の様な冷
酷な表情が苦手で、何故か一心は拒絶反応をお
こすのであった。
屋中に入ってきた悪夢だそうだ。
『もう今日はおっ死んだよ……』と彼女は、
ため息まじりで囁き、一心におん
ぶをせがむのであった。
そんな元気な小春が、次の日から学校に来なく
なった……。
「一心君ごめんね。小春は体調が悪くて学校を
休ませるの」
「そうですか……お大事に」
その小春の母も寝不足の感じであった。
ーー今日も小春は休みか……これで三日目じゃ。
一心は頭をポリポリかきながら、ゆっくりと歩き出した。
何故か一心は、幼い頃から不安を感じた時、頭
をかく癖があるようだ。
「風間君、おはよう。良かったら一緒に登
校しませんか? 」
少し聞き覚えのある女の声が一心の背中の方か
ら聞こえてきた。
そのまま聞こえないふりをして行こうと
したが、あまりにも、しつこく名を呼ぶので一心はチラッと後ろを見た。
『やはりお前だったのか……』
最近あまり話しかけられないので諦めたと
思っていたのだが……。
一心は相手にするのが、とても面倒くさいの
で、時間に余裕がなく急いでいる感じを最大に
アピールした表情で振り向きざまに言う。
「申し訳ないが、今は少し急いでいるので……」
その女は背筋をピンとし腰から傾け、まる
で一流ホテルで働くホテリエ風なお辞儀
をし、更に口を大きく開け、舞台俳優の様な口
調で女は答えるのであった。
「何度か、お会いしたかと思いますが、風音君
の隣のクラスの松木秀子と申します。
宜しければ、お話をしながら一緒に学校まで行
きませんか?」
一心は即答した。
「悪いが……遠慮する」と簡単に誘いを断った。
何故なら以前から、彼女に度々声を掛けられる
が、小春に対して、たまに見せる悪魔の様な冷
酷な表情が苦手で、何故か一心は拒絶反応をお
こすのであった。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
呪部屋の生贄
猫屋敷 鏡風
ホラー
いじめっ子のノエルとミエカはミサリをターゲットにしていたがある日ミサリが飛び降り自殺をしてしまう。
10年後、22歳になったノエルとミエカに怪異が襲いかかる…!?
中2の時に書いた訳の分からん物語を一部加筆修正して文章化してみました。設定とか世界観が狂っていますが悪しからず。
風の音
月(ユエ)/久瀬まりか
ホラー
赤ん坊の頃に母と死に別れたレイラ。トマスとシモーヌ夫婦に引き取られたが、使用人としてこき使われている。
唯一の心の支えは母の形見のペンダントだ。ところがそのペンダントが行方不明の王女の証だとわかり、トマスとシモーヌはレイラと同い年の娘ミラを王女にするため、レイラのペンダントを取り上げてしまう。
血などの描写があります。苦手な方はご注意下さい。
13歳女子は男友達のためヌードモデルになる
矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる