復讐のナイトメア

第一 転校生 真山 瞬

1-9

『夢の中で俺は創造主だ。全て俺の思うが

ままに何でも創り出せる』

その夜から、真山は憲一が、この世で死ぬほど嫌

いなネズミの刑を実行したのだった。

『苦しめーーもっともっと……夏向を苦しめた何

倍も、お前に苦痛を与えてやる』

真山瞬は憲一の夢の中に尾は蛇の様に長くふっくら

と丸くて大きい、いわゆるドブネズミって奴の

群れをアイツの夢の中へ送り込んだ。

『こっちへ来るな！　やめてくれ！』

憲一は毎日、その悪夢に魘うなされ続けた。

そうして予定通り睡眠不足になった憲一は体調

不良を理由に長期休暇をとったのであった。

『さぁ……仕上げだ』

そこで真山は、最終作戦に移行したのである。

その最終作戦とは夢の中で憲一に暗示をかける

事であった。　

『……これで、お前は地獄へ墜ちろ！　』

そうして真山瞬は憲一に暗示をかけ確実に死に追い

込んだ。

しかも決して捕まることがない……完全犯罪だ。

真山瞬が、憲一にかけた暗示とは『ネズミから逃れ　

るには近くにある川へ飛び込め』と暗示を

かけたのであった。

次の日……まだ薄暗く小さな物音でも響く早朝に

学校近くの川から憲一の水死体が発見されたの

であった。

数日後、憲一の葬儀がおこなわれた。

その時に親戚連中がざわついていたのが聞

こえたのである。

憲一の死は母と妹の祟りだと……。

『そうだ……これは祟りだ！　いずれお前ら真山

一族を全滅させてやるさ……それまで怯えてろ』

葬儀の中、真山は、そう囁いていたのであった。

そうして真山は二度目の罪を犯したのである。

因みに一度目は去年、母親の勤めていた会社の

社長を漸ようやく見つけ出し、復讐の悪夢の

を実行した勿論……実験台としてだが。

そして今、真山は三度目の罪を犯すところである。