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七話 マリオネットを倒しました。
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「うまく行くかなっ……と!」
ボクは魔力を込める。
ボクの手からフレイムスフィアが出現した。
「バカなっ!? 無詠唱だとっ!?」
「上出来だねボク。投げるのは苦手だから魔法オンリーでいくからね? 世界の理を統べし者よ、我が願いを聞き届け賜え。程度は小、属性は風、形は波、以上!」
ブラスターが発動され、スレイムスフィアが風に乗ってマリオネット達に火炎放射を行う。
「ぎゃああああああっ!! 燃えちゃううううっ!!」
二人のマリオネットは燃えつき、灰になった。
「強過ぎだろサラ」
「何でこんなにあっさりと……」
「それはあなたが幸せの妖精だからですよ。魔法の威力は倍程度になるのです!」
「うわぁ……何そのズルいの。ずっとこうなの?」
「ずっとそうですよっ」
ミルクウィードさんの言葉を聞き、ボクはため息を吐いた。
そんなボクを後ろで見ていた受付のおじさんは拍手をする。
「いやあ流石幸せの妖精さんですな。あの正体不明の者を一瞬で消し去られるとは」
「ボクが一番驚いてるよ」
「それにしても、妙ですな。この街出入り口は二ヶ所、それも片側は村からのもので、事実上一箇所。そこを怪しき者に突破されたとなればこのロゼオペラも安心できませんな」
受付のおじさんが話し終わった直後、街中の人がザワザワし始めた。
「ふざけんな! この街から出せよ!」
「そうだ! 夕方には魔法少女ロマが放送されるんだぞ!」
「保育園に子供たちを迎えに行かなきゃ!」
何やらみんな何らかの理由で街の外に出られないらしい。
「表が騒がしいですな。私はここを離れるわけにはいきません。幸せの妖精サラさん。皆がよく使う北門へ向かってくださいませんか?」
「勿論。みんなが困ってるからね。力になるのは人として当たり前だよ」
「お前は人じゃなくて妖精だけどな」
「そうだった」
ボクとアオノは街の北門まで歩いて向かった。
「何だこりゃ……」
「なんかすごいことになってるね」
北門の前に広がっていたのは虹色に光る巨大な横穴だった。
空間に穴が空いている。
ボクは街の人に話を聞いて回る。
「あの、これっていったい何なの?」
「ぬいぐるみが喋ってる!? いや、そんなこと今はいいわよね。うさぎさん『横穴』を見るのは初めて?」
「うん」
「横穴っていうのは選ばれた冒険家だけが入れる穴で、その中には別次元が封じ込められているの。どこか別の世界の空間の一部……例えばあるかもしれない魔法のない世界の建物、生き物や宝石があの横穴には詰まってるってわけ。本来なら冒険家十人くらいはすぐに入れるんだけど……今回の横穴はまだ誰も入れないみたいね。横穴は誰かが一度入って出ると自然と消えるのよ。複数で入った場合は最後の一人が出てきたら消えるの。一度入った人は二度と同じ横穴に入れない。分かった?」
若い女性に話を聞くと、ボクは状況を何となく理解する。
「じゃあボクが入れるかどうか試してみるよ」
「ありがとううさぎさん。もしかしたら入れるかもしれないわ」
ボクは早速横穴の前に立つ。
「お? 何だあれ?」
「ぬいぐるみだ」
「ぬいぐるみが立って歩いてるぞ」
ボクは聞こえてくる困惑の声を無視して中に入る。
ズギュゥン
ボクは不思議な感覚に包まれた。
どうやらこの横穴に入れたらしい。
「ここは……公園?」
ボクの目に飛び込んできたのはあのお姉さんと会った公園だった。
ボクは魔力を込める。
ボクの手からフレイムスフィアが出現した。
「バカなっ!? 無詠唱だとっ!?」
「上出来だねボク。投げるのは苦手だから魔法オンリーでいくからね? 世界の理を統べし者よ、我が願いを聞き届け賜え。程度は小、属性は風、形は波、以上!」
ブラスターが発動され、スレイムスフィアが風に乗ってマリオネット達に火炎放射を行う。
「ぎゃああああああっ!! 燃えちゃううううっ!!」
二人のマリオネットは燃えつき、灰になった。
「強過ぎだろサラ」
「何でこんなにあっさりと……」
「それはあなたが幸せの妖精だからですよ。魔法の威力は倍程度になるのです!」
「うわぁ……何そのズルいの。ずっとこうなの?」
「ずっとそうですよっ」
ミルクウィードさんの言葉を聞き、ボクはため息を吐いた。
そんなボクを後ろで見ていた受付のおじさんは拍手をする。
「いやあ流石幸せの妖精さんですな。あの正体不明の者を一瞬で消し去られるとは」
「ボクが一番驚いてるよ」
「それにしても、妙ですな。この街出入り口は二ヶ所、それも片側は村からのもので、事実上一箇所。そこを怪しき者に突破されたとなればこのロゼオペラも安心できませんな」
受付のおじさんが話し終わった直後、街中の人がザワザワし始めた。
「ふざけんな! この街から出せよ!」
「そうだ! 夕方には魔法少女ロマが放送されるんだぞ!」
「保育園に子供たちを迎えに行かなきゃ!」
何やらみんな何らかの理由で街の外に出られないらしい。
「表が騒がしいですな。私はここを離れるわけにはいきません。幸せの妖精サラさん。皆がよく使う北門へ向かってくださいませんか?」
「勿論。みんなが困ってるからね。力になるのは人として当たり前だよ」
「お前は人じゃなくて妖精だけどな」
「そうだった」
ボクとアオノは街の北門まで歩いて向かった。
「何だこりゃ……」
「なんかすごいことになってるね」
北門の前に広がっていたのは虹色に光る巨大な横穴だった。
空間に穴が空いている。
ボクは街の人に話を聞いて回る。
「あの、これっていったい何なの?」
「ぬいぐるみが喋ってる!? いや、そんなこと今はいいわよね。うさぎさん『横穴』を見るのは初めて?」
「うん」
「横穴っていうのは選ばれた冒険家だけが入れる穴で、その中には別次元が封じ込められているの。どこか別の世界の空間の一部……例えばあるかもしれない魔法のない世界の建物、生き物や宝石があの横穴には詰まってるってわけ。本来なら冒険家十人くらいはすぐに入れるんだけど……今回の横穴はまだ誰も入れないみたいね。横穴は誰かが一度入って出ると自然と消えるのよ。複数で入った場合は最後の一人が出てきたら消えるの。一度入った人は二度と同じ横穴に入れない。分かった?」
若い女性に話を聞くと、ボクは状況を何となく理解する。
「じゃあボクが入れるかどうか試してみるよ」
「ありがとううさぎさん。もしかしたら入れるかもしれないわ」
ボクは早速横穴の前に立つ。
「お? 何だあれ?」
「ぬいぐるみだ」
「ぬいぐるみが立って歩いてるぞ」
ボクは聞こえてくる困惑の声を無視して中に入る。
ズギュゥン
ボクは不思議な感覚に包まれた。
どうやらこの横穴に入れたらしい。
「ここは……公園?」
ボクの目に飛び込んできたのはあのお姉さんと会った公園だった。
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