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終章

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 大屋曰く、占部瀬里香が高校生の時に同級生の男子達と結託して、男性をターゲットに美人局をしてお金をせしめていた。被害者の男性から訴えられたことにより表面化した。当時騒ぎになった。
 高木家は瀬里香のやったことに失望感を抱き、浩二と千鶴は瀬里香と縁を切って、どこかへ行った。
「高木夫妻としては、自慢の娘が犯罪やってたのが嫌だったんでしょ。もう娘としてみなしたくない。でもききょうは血が繋がってないしもっと嫌。お金目当てで引き取ったんだから。で、逃げるようにどこかへ消えたと」
「ききょうの周りの人――大人達がクズばっか―のよね。一歩間違えれば、犯罪に加担していた訳で、逃げるような思いでみみずくとデートしたのだろうね……」
  彼女は一か八かでここに来た。クズな大人から逃げるチャンスだったのだろう。
  これがたまたまみみずくだったから良かった。
  もしかしたらもっと悪い人に捕まったら……と考えたら恐ろしいものだ。
「ききょうの服装がだいぶ変わったね。最初胸を強調するものばっかだったじゃん」
 「そうね。大屋さんが不審に思ってたのよ。すっごい苦しそうに着てるって。私もちょっと思ってたけど」
  最初着ていたのはブラウスだが、ボタンがはち切れそうな感じだった。
  かなりキツそうに見えた。

  ――これ、で着るように言われたんです。いつもボディーライン強調したものや、露出激しいものばっか着なさいって。私は胸が大きいそうで、谷間が見えるものや胸を強調する服ばかり着せられてました。そうすると男が寄ってくるからと。ブラウスも下着もわざとサイズの合わないの着るように言われて……正直嫌でした。でも逆らうと私の居場所はありませんから。

  無理やり笑って自分の感情を押し殺しながら、すずらん、すいせん、大屋に言った。

  大屋とすずらんでききょうの服を買いに行った。
 胸のサイズはさすがに測り直した。彼女はいつもHカップのブラジャーを着ていたが、実際測ったら、Iカップだった。
  ききょうは「わ、私、思ってたより大きかったんですね……」と驚きと落胆のような顔つきになっていた。
 すずらんも胸は大きい方ではあるものの、彼女はもっと大変だったんだろうなと同情した。
 一方、大屋は「ちょっとさわらしてよー」とセクハラオヤジ発言をしたので、すずらんが「そういうのは然るべき店行ってください」と一蹴した。
  ききょうも「私の胸を触っていいのはみみずくさんだけです」とキリッした顔で言った。
  可愛いデザインの下着は少し高いので、少しずつお金を貯めて買う形になった。
  服もボディーライン強調する系ではなく、胸の大きさを隠すタイプを買った。
「色気出す系やボディーライン強調の服はみみずくの前だけにしなさい」とすずらんのアドバイスによるものだ。
「あのやたら露出激しい格好って、マジで占部浩平の命令だったんですね。もはや個人的な趣味持ち込んでんじゃん。仕事に。ただのセクハラオヤジじゃん! 男性スタッフも目のやり場に困ったでしょうね……。環境型セクハラってやつですよ。セリバーテル女性スタッフも、みんな似た格好してるって言ってましたし。控えめに言ってクズですね! そのうちスタッフからも訴えられるんじゃないですか?」
「まー、社長主導で露出激しい格好してるわけだからね……下っ端は逆らえないってききょうが言ってたし……。一般企業じゃアウトよ」
「このまま訴えられて一文無いちもんなしコースでしょうな。あの二人の家族ももう吊し上げ食らってるし」
  それはそれで面白い展開になるなーとみみずくはほくそ笑む。
 双方の家族の居場所もすずらん達が見つけて、突撃班が嫌がらせに行った。
 浩平の家族は「息子が……」と泣き崩れて謝っていたが、瀬里香の家族――高木浩二と千鶴は「うちにははいません。娘は瑠実菜だけです」と言った。
 この話を聞いたすいせんが「高木夫妻がききょうにすり寄ってくるかも」と心配していた。
「もうあの会社だめかもね。今、対応してるのが、末端社員なんだから」
  二、三日前にセリバーテルの公式ホームページより謝罪文及び事の経緯を載せたのを発表した。
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