34 / 36
8章
5
しおりを挟む
「お天道様が見てたのよ。だから今回チャンスがきたのよ。ほんとお疲れ様」
大屋はレモンティーを口につける。
「――もし今、田丸一家があなたのもとへ謝りに来たらどうする?」
唐突な大屋の質問に亜津紗は考えあぐねる。
罵倒する? やり返す?
今頃謝りに来ても妹は返ってこない。心労がたたった両親もだ。
これから何かと過去のことを引き合いにされて後ろ指さされて生きていくだろう。それは本人だけでなく、家族もそうだ。
家族はバッシングの嵐になっても、同情する余裕なんてない。田丸家の血縁である事実は変わらない。なにかと引き合いにされるのも避けられないだろう。
一度のやらかしは入れ墨のように消えない。
本人及び家族は今後どうするかはその人次第だ。
「……多分罵倒するにもできないと思います」
嫌味飛ばしたいけど、実際はできないと思う。
もう二度と私の人生に関わらないでくれ、目の前から消えてくれと言うのが精一杯だ。
謝罪しても所詮は自己満足にすぎない。
自己満足の塊の謝罪を受けるぐらいなら、目の前から消えてもらった方がいい。
その代わり、因果応報をじっくり味わって生きて欲しい。それがこの世での償いだと思う。
過去の行いは入れ墨のように消えない。
今後何かと引き合いにされても文句の言える立場ではない。
「そうよね。来てもらってもこまるわね」
「所詮は自己満足に過ぎませんから。どうせ心に響きませんし」
亜津紗はふふと笑いながら頼んだミルクティーを口つける。
「あなたやっぱり笑った姿が素敵よ。もう少し感情出しなさいよ。もったいないわ。美人だし」
「ええ、わかりました」
「じゃぁ、休み明け仕事よろしくねー。あと、お代はいいから。じゃねっ!」
大屋は敬礼をしてカフェを後にした。
思わずノリの軽さに亜津紗は笑みをこぼす。
この人仕事に容赦ないけど、喋り方やノリは軽い。
でもなんだか憎めない。
自分のコーヒー代ぐらいせめて払いたかったが、注文の際に大屋が一緒に払ってくれた。
自分から誘ったからここは払わせてと。
これから、駅前のマッサージ屋に行ってリフレッシュしよう。
目や肩や首が痛いから。
大屋はレモンティーを口につける。
「――もし今、田丸一家があなたのもとへ謝りに来たらどうする?」
唐突な大屋の質問に亜津紗は考えあぐねる。
罵倒する? やり返す?
今頃謝りに来ても妹は返ってこない。心労がたたった両親もだ。
これから何かと過去のことを引き合いにされて後ろ指さされて生きていくだろう。それは本人だけでなく、家族もそうだ。
家族はバッシングの嵐になっても、同情する余裕なんてない。田丸家の血縁である事実は変わらない。なにかと引き合いにされるのも避けられないだろう。
一度のやらかしは入れ墨のように消えない。
本人及び家族は今後どうするかはその人次第だ。
「……多分罵倒するにもできないと思います」
嫌味飛ばしたいけど、実際はできないと思う。
もう二度と私の人生に関わらないでくれ、目の前から消えてくれと言うのが精一杯だ。
謝罪しても所詮は自己満足にすぎない。
自己満足の塊の謝罪を受けるぐらいなら、目の前から消えてもらった方がいい。
その代わり、因果応報をじっくり味わって生きて欲しい。それがこの世での償いだと思う。
過去の行いは入れ墨のように消えない。
今後何かと引き合いにされても文句の言える立場ではない。
「そうよね。来てもらってもこまるわね」
「所詮は自己満足に過ぎませんから。どうせ心に響きませんし」
亜津紗はふふと笑いながら頼んだミルクティーを口つける。
「あなたやっぱり笑った姿が素敵よ。もう少し感情出しなさいよ。もったいないわ。美人だし」
「ええ、わかりました」
「じゃぁ、休み明け仕事よろしくねー。あと、お代はいいから。じゃねっ!」
大屋は敬礼をしてカフェを後にした。
思わずノリの軽さに亜津紗は笑みをこぼす。
この人仕事に容赦ないけど、喋り方やノリは軽い。
でもなんだか憎めない。
自分のコーヒー代ぐらいせめて払いたかったが、注文の際に大屋が一緒に払ってくれた。
自分から誘ったからここは払わせてと。
これから、駅前のマッサージ屋に行ってリフレッシュしよう。
目や肩や首が痛いから。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
結婚式の日取りに変更はありません。
ひづき
恋愛
私の婚約者、ダニエル様。
私の専属侍女、リース。
2人が深い口付けをかわす姿を目撃した。
色々思うことはあるが、結婚式の日取りに変更はない。
2023/03/13 番外編追加
私はお母様の奴隷じゃありません。「出てけ」とおっしゃるなら、望み通り出ていきます【完結】
小平ニコ
ファンタジー
主人公レベッカは、幼いころから母親に冷たく当たられ、家庭内の雑務を全て押し付けられてきた。
他の姉妹たちとは明らかに違う、奴隷のような扱いを受けても、いつか母親が自分を愛してくれると信じ、出来得る限りの努力を続けてきたレベッカだったが、16歳の誕生日に突然、公爵の館に奉公に行けと命じられる。
それは『家を出て行け』と言われているのと同じであり、レベッカはショックを受ける。しかし、奉公先の人々は皆優しく、主であるハーヴィン公爵はとても美しい人で、レベッカは彼にとても気に入られる。
友達もでき、忙しいながらも幸せな毎日を送るレベッカ。そんなある日のこと、妹のキャリーがいきなり公爵の館を訪れた。……キャリーは、レベッカに支払われた給料を回収しに来たのだ。
レベッカは、金銭に対する執着などなかったが、あまりにも身勝手で悪辣なキャリーに怒り、彼女を追い返す。それをきっかけに、公爵家の人々も巻き込む形で、レベッカと実家の姉妹たちは争うことになる。
そして、姉妹たちがそれぞれ悪行の報いを受けた後。
レベッカはとうとう、母親と直接対峙するのだった……
(完結)私は家政婦だったのですか?(全5話)
青空一夏
恋愛
夫の母親を5年介護していた私に子供はいない。お義母様が亡くなってすぐに夫に告げられた言葉は「わたしには6歳になる子供がいるんだよ。だから離婚してくれ」だった。
ありがちなテーマをさくっと書きたくて、短いお話しにしてみました。
さくっと因果応報物語です。ショートショートの全5話。1話ごとの字数には偏りがあります。3話目が多分1番長いかも。
青空異世界のゆるふわ設定ご都合主義です。現代的表現や現代的感覚、現代的機器など出てくる場合あります。貴族がいるヨーロッパ風の社会ですが、作者独自の世界です。
【完結】悪女のなみだ
じじ
恋愛
「カリーナがまたカレンを泣かせてる」
双子の姉妹にも関わらず、私はいつも嫌われる側だった。
カレン、私の妹。
私とよく似た顔立ちなのに、彼女の目尻は優しげに下がり、微笑み一つで天使のようだともてはやされ、涙をこぼせば聖女のようだ崇められた。
一方の私は、切れ長の目でどう見ても性格がきつく見える。にこやかに笑ったつもりでも悪巧みをしていると謗られ、泣くと男を篭絡するつもりか、と非難された。
「ふふ。姉様って本当にかわいそう。気が弱いくせに、顔のせいで悪者になるんだもの。」
私が言い返せないのを知って、馬鹿にしてくる妹をどうすれば良かったのか。
「お前みたいな女が姉だなんてカレンがかわいそうだ」
罵ってくる男達にどう言えば真実が伝わったのか。
本当の自分を誰かに知ってもらおうなんて望みを捨てて、日々淡々と過ごしていた私を救ってくれたのは、あなただった。
そんなに妹が好きなら死んであげます。
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。
『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』
フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。
それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。
そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。
イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。
異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。
何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……
愛想を尽かした女と尽かされた男
火野村志紀
恋愛
※全16話となります。
「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる