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43話
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「どういう意味だ?ファンサの仕方が不味かったか?」
「うん。冴木さんって配信者で顔出ししている『優斗』さんが好きなんじゃなくて、イラストレーター『優斗』の描いている絵が好きなんだから」
「それって何が違うんだ?」
イラストレーター『優斗』と配信者の『優斗』が違うのは分かるが、こうやって目の前に対面したら何も変わらないだろう。
「全然違うよ。優斗さんの事じゃなくて優斗さんの絵が好きなだけなんだから。優斗さんと握手したり肩組んだりすることには一切興味が無いんだよ」
「?」
「そうそう、私は男の人とハグしたり肩を組んだりする趣味は無いんだ」
「よく分からないが、そうなのか」
言っていることはあまり理解できないが、ファンだと思って行動しない方が良いってことか。
「そうだよ。あなたは絵を描き続けてさえいれば良いんだよ。ファンサをする暇があったら1枚でも絵を描いてよ」
「そうか」
冴木が私に配信活動を辞めてもらいたかった理由は配信活動をすることによって絵を描く時間が奪われるのがあまりにも勿体無さすぎるかららしい。
別に配信活動を行った程度で絵を描く時間が損なわれる私では無いんだがな。
「ってことは?」
「やめないが」
まだ私の絵が多くの人間に見られているわけではないんだからやめるわけないだろ。
「残念」
私がきっぱりと答えると残念そうにしていた。
そんなに私の絵が大好きなのか。ありがたい話だな。
「ただ、今までと変わらない更新頻度は約束しよう」
「絶対にだからね」
「ああ。私の絵のファンには全力で応えていかなければならないからな」
「週5の更新頻度を落としたら引退だからね」
「それは……」
現在続けている週5でのイラスト投稿は少々厳しくなってきている。
というのも配信活動をやる上で仕事の時間を削ってしまっていて収入が少し落ちてきている。
別に絵と配信だけでも生きていけるだけの収入は確保できているが、今の生活を維持するとなるとなかなか難しいものがあるからな。
まあ週5が週4になるだけなのだが。
「まさか、生活の事を考えてる?」
私の考えを察知したのか、冴木はそんなことを聞いてきた。
「まあ、そうだな。今の生活を維持するには少し仕事の時間が足りなくてな」
「それなら大丈夫。私がある程度出すよ。人気者なだけあってお金には余裕があるんだ」
「うん、それは辞めた方が良いよ」
と手助けをしてくれると言った冴木を次葉は制止した。
「次葉さん?この人配信活動初めてそんなに時間たってないんだし、生活費も別に大した額じゃないでしょ?」
「これを見て」
そう言って次葉はスマホの画面を冴木に見せていた。
「なんでこの人イラストレーターと配信者やってるの……?」
すると冴木は私を見てドン引きしていた。
「絵が好きだかららしいよ」
「ええ……」
「何を見せたんだ?」
「優斗君の家の間取りと通帳」
「どうして通帳の画像持っているんだよ」
「どうしてって言われてもね。家の本棚に雑に置いている優斗君が悪いと思うよ」
「そうか。まあみられて困るものではないし良いが」
ただ順当に会社を経営して得た金だからやましいものでもなんでもないしな。
「私は優斗さんの事が分からないよ……」
「大丈夫。冴木さんより私の方が付き合い長いけど、私も何考えてるか分からないから」
頭を抱える冴木に対し、サキは謎のフォローをしていた。
比較的ストレートに行動していると思うんだがな。
「とりあえず水着に着替えようか。海に来たわけだし」
「そうだな」
昼に海の前に来てずっと私服で話しているのも勿体ないしな。
「うん。冴木さんって配信者で顔出ししている『優斗』さんが好きなんじゃなくて、イラストレーター『優斗』の描いている絵が好きなんだから」
「それって何が違うんだ?」
イラストレーター『優斗』と配信者の『優斗』が違うのは分かるが、こうやって目の前に対面したら何も変わらないだろう。
「全然違うよ。優斗さんの事じゃなくて優斗さんの絵が好きなだけなんだから。優斗さんと握手したり肩組んだりすることには一切興味が無いんだよ」
「?」
「そうそう、私は男の人とハグしたり肩を組んだりする趣味は無いんだ」
「よく分からないが、そうなのか」
言っていることはあまり理解できないが、ファンだと思って行動しない方が良いってことか。
「そうだよ。あなたは絵を描き続けてさえいれば良いんだよ。ファンサをする暇があったら1枚でも絵を描いてよ」
「そうか」
冴木が私に配信活動を辞めてもらいたかった理由は配信活動をすることによって絵を描く時間が奪われるのがあまりにも勿体無さすぎるかららしい。
別に配信活動を行った程度で絵を描く時間が損なわれる私では無いんだがな。
「ってことは?」
「やめないが」
まだ私の絵が多くの人間に見られているわけではないんだからやめるわけないだろ。
「残念」
私がきっぱりと答えると残念そうにしていた。
そんなに私の絵が大好きなのか。ありがたい話だな。
「ただ、今までと変わらない更新頻度は約束しよう」
「絶対にだからね」
「ああ。私の絵のファンには全力で応えていかなければならないからな」
「週5の更新頻度を落としたら引退だからね」
「それは……」
現在続けている週5でのイラスト投稿は少々厳しくなってきている。
というのも配信活動をやる上で仕事の時間を削ってしまっていて収入が少し落ちてきている。
別に絵と配信だけでも生きていけるだけの収入は確保できているが、今の生活を維持するとなるとなかなか難しいものがあるからな。
まあ週5が週4になるだけなのだが。
「まさか、生活の事を考えてる?」
私の考えを察知したのか、冴木はそんなことを聞いてきた。
「まあ、そうだな。今の生活を維持するには少し仕事の時間が足りなくてな」
「それなら大丈夫。私がある程度出すよ。人気者なだけあってお金には余裕があるんだ」
「うん、それは辞めた方が良いよ」
と手助けをしてくれると言った冴木を次葉は制止した。
「次葉さん?この人配信活動初めてそんなに時間たってないんだし、生活費も別に大した額じゃないでしょ?」
「これを見て」
そう言って次葉はスマホの画面を冴木に見せていた。
「なんでこの人イラストレーターと配信者やってるの……?」
すると冴木は私を見てドン引きしていた。
「絵が好きだかららしいよ」
「ええ……」
「何を見せたんだ?」
「優斗君の家の間取りと通帳」
「どうして通帳の画像持っているんだよ」
「どうしてって言われてもね。家の本棚に雑に置いている優斗君が悪いと思うよ」
「そうか。まあみられて困るものではないし良いが」
ただ順当に会社を経営して得た金だからやましいものでもなんでもないしな。
「私は優斗さんの事が分からないよ……」
「大丈夫。冴木さんより私の方が付き合い長いけど、私も何考えてるか分からないから」
頭を抱える冴木に対し、サキは謎のフォローをしていた。
比較的ストレートに行動していると思うんだがな。
「とりあえず水着に着替えようか。海に来たわけだし」
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