俺の彼女はいつも可愛い

僧侶A

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23話

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 俺たちは佐藤の指示通りに、文化祭へと戻った。

 が、俺は保健室で寝かされていた。

「仕事、大丈夫なんですかね」

 午後にもう一度シフトが残っている。文化祭のラストだから全員でやろうという話だったが。別に行きたいわけでは無いが。メイド服は流石にしんどいし。

「大丈夫。その分私が頑張るって言っておいたから」

「前の時点でめちゃくちゃ頑張っていたと思うけど」

 涼野に並んで、人気のツートップだったため既にメイドの中でも特に忙しかったはず。

 体力があるはずの涼野ですら疲れる仕事に、京は耐えられるのか?

「でも夏樹はその怪我で何が出来るの?」

「別に活動には支障ないけど」

 幸い大きなけがなどはしておらず、あっても打ち身や擦り傷程度。たとえ今からシャトルランをやれと言われても問題なく遂行できる。嫌だけど。

「そうかもしれないけど、傷だらけのメイドさんを見たら客は怖がるでしょ」

 京はそう言いながら鏡を見せてきた。

「歴戦の跡って感じでカッコいいな」

「冗談言ってないで、分かったでしょ?」

「まあ、確かに」

 あの時から自分の体を見る機会が無かったので気付かなかったが、怪我が痛々しかった。

「最初からボクシングをやっていれば……」

「そんなことは無いよ。システマで戦うべきだった」

 少なくとも俺のボクシングは集団戦闘向きではない。

「まあ過ぎた話だよ。俺はゆっくり休んでメイド服から逃れることにするよ」

「夏樹のメイド服可愛くて好きだったんだけどなあ」

 京は少し残念そうな顔をする。

「男はカッコいいと呼ばれたい」

「夏樹カッコいいよ」

「今言われても冗談にしか聞こえないけど」

 京は発言とは裏腹に表情がにやついていた。

「そう?あ、そろそろ時間だから仕事に行ってくるね!」

「あ、逃げた」

 京は有無を言わさずに保健室から出て行った。

 しかし俺が外に出るわけもいかず、保健室で寝ていることにした。

「夏樹、いつまで寝てんだ」

「文化祭終わったよ!体育館に集まれだって」

 目が覚めた時は、文化祭の終わりだった。メイド喫茶も閉め、制服に着替えていた京、大、涼野が迎えに来てくれた。

「起こしてくれてありがとう」

 俺はベッドから起き上がり、体育館へと向かった。

 クラスメイトは既に到着して整列を済ませていたので、一番後ろに並んだ。

 そして待つ事数分、文化祭の実行委員が壇上へと上がった。

『まずは皆さん、文化祭お疲れ様でした』

 その後続いたのは、何の変哲もない文化祭の締め用のスピーチだった。

「さあ集計が取れました。皆さんお待ちかね、順位発表の時間です!」

 皆楽しみにしていたのか、体育館内が一気に盛り上がった。

『まずは出し物部門。一番人気だった出し物は……!』

『吹奏楽部による、オーケストラライブ!』

 それぞれのクラスからぽつぽつと喜びの声が上がる。吹奏楽部の方々だろう。

 他の生徒も納得しているようで、拍手を送っていた。

『次に収益部門。栄えある一位は……!』

『2年3組による、メイド喫茶!』

「よっしゃああ優勝だあああ!!!!」

「来たーーーーーー!」

 真っ先に声を上げた楠から始まり、次に委員長、他のクラスメイトという感じで波及するように喜びが広がっていった。

「報われたなあ」

「そうだね」

 大のしみじみとした発言に、強く同意した。

 女装までさせられて、優勝できなかったらどうしようかと考えていた。でも京と涼野の人気は流石だったようで、ダントツでの優勝だった。

 ただ、流石に企業が関わってしまった以上優勝するのはほぼ確実だと事前に判断されていたらしく、2位の3年2組も表彰されることになっていた。

 3年2組の出店はなんと豚骨ラーメン。既製品は一切使用せず麺、スープ、具材の全てを手作りしたらしい。その味はプロ顔負けと評判が高く、少し割高ではあったが購入者が非常に多かったとのこと。

 夕食代わりにと文化祭の終わり頃に食べに行くつもりだったが、寝てしまっていて食べることは叶わなかった。

『それでは表彰を行いますので各代表者はステージ上までお上がりください』

「じゃあ行ってくるわ」

「行ってらっしゃい」

 代表者は委員長でも楠でもなく、涼野だった。

 とは言っても前で何かをさせられるわけでもないため、淡々と表彰状を手渡しして終わりだった。

 その後教室に戻ってホームルームを済ませた後、後片付けは明日の俺たちに任せて帰宅となった。
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