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10話
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倒されていたのはイケメンこと杉野で、女子が覆いかぶさっている状態だった。
つまり犯人は明確で……
「涼野、お前だったのか」
ストーカーの正体は涼野だったようだ。確かに怪しい部分があり警戒していたが、本当だとは思わなかった。
「どういうこと?」
女子から解放され、立ち上がった涼野は首をかしげる。
「ストーカーしていたんでしょ?」
涼野が若干怒った口調で話す。
「ストーカー?確かに今日は帰り道をついていったのは事実だけど、今日が初めてだよ?」
バレたことによる焦りは見られず、寧ろ何故こんなことになっているのかと困惑している様子で、嘘を言っているようには見えなかった。
「あの……私かもしれないです」
その会話を無言で聞いていた女子が口を開いた。¬
「どういうこと?」
俺は事情を聞くべく女子に話しかけた。
「私、少し前から涼野さんに話しかけたくて隙を伺っていたんです……」
「どうして?」
涼野が続けて問いかける。
「先輩から聞いたんですけど、涼野さんってテニスが上手いらしいじゃないですか」
「そうなのかな?」
「だから、テニスを一緒にやりたいなあって思って。あっ私テニス部の宮野です。皆さんと同じ2年生です」
「じゃあさっさと話しかければ良かったんじゃないの?」
「それはそうなんですけど、話しかけようと思うと気が引けてしまって……」
申し訳なさそうに言う宮野さん。
「何度も話しかけようと思ったんですけど、勇気が出なくてここまでかかってしまいました」
土日にストーカーが居なかったこと、平日も居ない日があったこと、学校内だとストーキングされていなかったこと。全てに納得がいった。
テニス部は土日が確実に練習だし、平日の休みは不定期。学校の時間は昼練とか朝練に行っている。
「私はテニス部に入る気は無いよ?」
「分かっています。単にどこかのタイミングで試合みたいなものをやってみたいだけです」
「良いよ。じゃあ調整しよっか」
二人は少し離れて、スマホ片手にどこでテニスが出来るか話し合っていた。
「んで、杉野、お前は何なんだ」
ストーカーの犯人ではなかったが、今日付いてきていたのは事実。
二人が話している間に問い詰めることにした。
「えっと、それはね、非常に言いにくいんだけど……」
杉野はかなり言い淀んでいた。
「何か後ろめたいことでもあるの?」
しびれを切らした京が問い詰める。
「いや、そんなわけじゃないんだけど、二人には言いにくいというか……」
このままじゃ話してくれなさそうだな……
「なあ、俺にだけ話してくれないか?」
まだ関わりのある俺に話したほうが気が楽だろう。
少し杉野は考えた後、
「いや、それは出来ないよ。正直に涼野さんに言おうと思う」
杉野は丁度話がついて解散していた涼野に近づき、俺たちに聞こえないように話していた。
それを聞いた涼野は、少し恥ずかしそうにした後に突然怒り出して、
「初めて話す女子に何を言っているのよ!」
「ごめん、でも我慢できなくて」
「えっと、何があったんだ?」
「私服についての話よ」
顔を真っ赤にしながら涼野が答えた。
「ここまで言ってしまったなら僕からすべて話しても大丈夫そうかな?」
杉野は今日の行動の理由について話してくれた。
杉野は俺に接触する数日前に、私服姿の涼野と遭遇していた。
そのあまりのダサさをどうにかするために俺との接触を図ったらしい。
名目上は涼野さんと仲良くするため。本命の理由は涼野さんに接触する前にある程度服の好みや傾向を把握するため。
俺にしていた好きな色や芸能人、スポーツ等の質問は全てこのためだったらしい。
これまでの質問で数種類のコーディネートが決まったため、話しかけることを決意。
しかしファッションがダサいなんて話を他の人が居る所で話すのは流石に気が引けたのでこうやって一人になった所を話しかけようとしたとのこと。
「……」
私服の涼野をよく知っている俺たちはただ苦笑いをするだけだった。
「それでも私は他人でしょ?わざわざそこまですることがあるの?」
つまり犯人は明確で……
「涼野、お前だったのか」
ストーカーの正体は涼野だったようだ。確かに怪しい部分があり警戒していたが、本当だとは思わなかった。
「どういうこと?」
女子から解放され、立ち上がった涼野は首をかしげる。
「ストーカーしていたんでしょ?」
涼野が若干怒った口調で話す。
「ストーカー?確かに今日は帰り道をついていったのは事実だけど、今日が初めてだよ?」
バレたことによる焦りは見られず、寧ろ何故こんなことになっているのかと困惑している様子で、嘘を言っているようには見えなかった。
「あの……私かもしれないです」
その会話を無言で聞いていた女子が口を開いた。¬
「どういうこと?」
俺は事情を聞くべく女子に話しかけた。
「私、少し前から涼野さんに話しかけたくて隙を伺っていたんです……」
「どうして?」
涼野が続けて問いかける。
「先輩から聞いたんですけど、涼野さんってテニスが上手いらしいじゃないですか」
「そうなのかな?」
「だから、テニスを一緒にやりたいなあって思って。あっ私テニス部の宮野です。皆さんと同じ2年生です」
「じゃあさっさと話しかければ良かったんじゃないの?」
「それはそうなんですけど、話しかけようと思うと気が引けてしまって……」
申し訳なさそうに言う宮野さん。
「何度も話しかけようと思ったんですけど、勇気が出なくてここまでかかってしまいました」
土日にストーカーが居なかったこと、平日も居ない日があったこと、学校内だとストーキングされていなかったこと。全てに納得がいった。
テニス部は土日が確実に練習だし、平日の休みは不定期。学校の時間は昼練とか朝練に行っている。
「私はテニス部に入る気は無いよ?」
「分かっています。単にどこかのタイミングで試合みたいなものをやってみたいだけです」
「良いよ。じゃあ調整しよっか」
二人は少し離れて、スマホ片手にどこでテニスが出来るか話し合っていた。
「んで、杉野、お前は何なんだ」
ストーカーの犯人ではなかったが、今日付いてきていたのは事実。
二人が話している間に問い詰めることにした。
「えっと、それはね、非常に言いにくいんだけど……」
杉野はかなり言い淀んでいた。
「何か後ろめたいことでもあるの?」
しびれを切らした京が問い詰める。
「いや、そんなわけじゃないんだけど、二人には言いにくいというか……」
このままじゃ話してくれなさそうだな……
「なあ、俺にだけ話してくれないか?」
まだ関わりのある俺に話したほうが気が楽だろう。
少し杉野は考えた後、
「いや、それは出来ないよ。正直に涼野さんに言おうと思う」
杉野は丁度話がついて解散していた涼野に近づき、俺たちに聞こえないように話していた。
それを聞いた涼野は、少し恥ずかしそうにした後に突然怒り出して、
「初めて話す女子に何を言っているのよ!」
「ごめん、でも我慢できなくて」
「えっと、何があったんだ?」
「私服についての話よ」
顔を真っ赤にしながら涼野が答えた。
「ここまで言ってしまったなら僕からすべて話しても大丈夫そうかな?」
杉野は今日の行動の理由について話してくれた。
杉野は俺に接触する数日前に、私服姿の涼野と遭遇していた。
そのあまりのダサさをどうにかするために俺との接触を図ったらしい。
名目上は涼野さんと仲良くするため。本命の理由は涼野さんに接触する前にある程度服の好みや傾向を把握するため。
俺にしていた好きな色や芸能人、スポーツ等の質問は全てこのためだったらしい。
これまでの質問で数種類のコーディネートが決まったため、話しかけることを決意。
しかしファッションがダサいなんて話を他の人が居る所で話すのは流石に気が引けたのでこうやって一人になった所を話しかけようとしたとのこと。
「……」
私服の涼野をよく知っている俺たちはただ苦笑いをするだけだった。
「それでも私は他人でしょ?わざわざそこまですることがあるの?」
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