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66話

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しかし...今って夜中の二時なんだよね?

こんな時間に私の部屋に来るなんてツキカゲめ...

やっぱり通報しようかな?


「ツキカゲ...今すぐ出ていかないと明日の朝ごはんなしに...」

「おやすみ明日の朝には素晴らしい朝食を期待してるぞ」


早口でなんか言って出ていったぞあのドラゴン

それにしてもあのドラゴンはあまりにもチョロすぎやしないか?

あれ一応伝説のドラゴンだよね?

チョロいドラゴン...略してチョロゴンだな

なんてふざけたことを考えるのはやめよう

今だけはおやすみなさい






















温かい柔らかい風が頬を撫でた感覚がして目を開けた

またここか...

それがその世界に来て第一声に発した言葉だった

ここはかつての伝説のドラゴンたちが生を終えて魂となった者の楽園

ここに私を呼んだのは誰かなんてわかりきってる


「ヤッホイ!」

「なにがヤッホイだ...

お前、自分の限界というものを理解しているのか?」


ため息をつく君のことを私はよく知っているよ

数日ぶりだね





火の輪と書いてカリンと読む君のことはね





「カリンが私のことを呼んだの?それとも私が無意識にここに来たのかな?」

「そうだな...現実世界のお前が眠りについたところを狙ってここに呼び出そうとしたのだがそうする前にお前が来てしまった...

そう説明すればわかるか?」


ふむ...つまりはそういうことか

はっきり言ってよく理解はできなかったがなんとなくわかった。

つまりは私が勝手にこの世界に来てしまったのだろう?


「どうやってこの世界に来れたかはわからないがまあいずれはわかるだろうな

そういえば、どうしてカリンは私を呼ぼうとしたのさ

伝説のドラゴン復活作戦はまだ計画を立てられてないんだから期待しないでよね」

「いや、そんな話をしたいわけではないのだが...

おい待て今なんて言った?」



あっやべ

ついネタバレしてしまった、なんて言い訳をしようか...


「あっえっと…その……はぁ

もう隠せないな」

「いや、隠す気ゼロだったな」


見事にネタバレをしてしまった私の口をどう断罪してやろうか...


「いや...この世界に来る度に思うんだけど、この世界って人間の影響を受けてない世界だよね?」

「まあそうだな...人間の影響を受けることなくここで静かに眠りたいとこの世界を創造者が願って創られた世界だからな

ここは全知全能の神に仕えていた初代伝説のドラゴン達の楽園だ」


そうだったのか、そんなところに私がいるってどうなんだろうか?

人間がこんなところで文明を築いたらどうするんだ


「私がここにいられるのはどうしてなの?」


純粋な疑問でにカリンは静かにそうだな...とつぶやいた

優しい風がまた私の頬をなでて心が少しだけ落ち着いたその時、カリンは再び口を開いた。


「お前は異世界から来たやつだからじゃないか?

それとも別の理由があるんだろうな...」


意味深めに言ったその言葉の余韻は風にさらわれすぐにかき消された

きっと、すぐに忘れてしまえと言っていたんだろうな…だけど私は忘れないよ

この世界に来ることを忘れてしまったらいつの日かカリンのことも忘れてしまいそうになるから

だから忘れないよ…絶対に

そのためにも色々と準備をしないとね


「なぁカリン…この楽園にいた伝説のドラゴンが復活する事例って今までにあったか?

それか死者を蘇生する魔法があったりは…さすがにそれはないか」


私はバカなのでは?

いくら剣と魔法の異世界だとしてもさすがに伝説のドラゴンが死者蘇生なんて出来るわけないか…あはは

…なんだか悲しくなってきたぞ


「うーん…ないな」


ほら、カリンも必死に考えていたけど結局ないと言ったぞ

本当に私はなんて無謀なことを考えたのか…


「だが、魂の転生先を選択する魔法は存在する

アンデッドにするとかじゃなくてしっかりと生きてる体に入れる魔法がな」


あるんかい!

しかもゾンビの体にならないって最高かな?

神の領域になるのではないか?


「ただ、ちょっと厄介なんだよなこれが…

死者蘇生魔法をするには色々と条件がある

光と闇の魔法をかけあわせたりするとか、魔力の波長がよく合うやつとかめんどくさい条件ばかりだ。


あと、伝説のドラゴン並の魔力を持っているのが条件のうちだ」




おいちょっと待てレベル高くねえか!?
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