64 / 170
62話
しおりを挟む
今の話は本当なのだろうか…?
「おい人間…!お前がチョコをどこかへ隠したんじゃないのか?」
何故そんなことになるんだよ
意味がわからん
私は昼間からずっとここにいたんだからチョコちゃんを誘拐してどこかへ隠す時間もなければ暇もない
いや、私がそんなことをしていたからチョコちゃんは行方不明になってしまったのか
結局は私のせいだ
探そう…今ここで動かないとダメだ
「私…チョコちゃんを探してきます!」
綺麗になった調理器具をインベントリにしまい、マントとハルカゼを取り出すと裏口から飛び出した。
本当にチョコちゃんがいない…最後に私がチョコちゃんを見たのは昼間
あれから何時間も経っている
さっきから心臓がバクバク鳴っていてうるさい
「……いや、落ち着け私
絶対になにか手がかりがあるはず…!」
ここら辺の地図はステータスにあるメニューから見ることが出来る
それを利用すればなにかわかるかもしれない
表示されたのはダーウィン王国の一区域
現在地である宿を中心に様々な店のアイコンが表示されている
ここからできるのは物理的に動くことの無い店までのナビゲーションと登録した人物の現在地の表示なのだが…
「人物表示…はダメだチョコちゃんを登録してない
やってるのはツキカゲだけだし…!」
ため息をついて地図を閉じると、私は体内の魔力を練った。
日が傾いているから周りには沢山影がある
なら前にツキカゲが教えてくれたこれも使えるだろう
目を閉じ集中しろ私
足元から放出される黒い魔力を周りの影と繋げるんだ。
「視覚の接続完了…」
脳内に展開されるのは多くのモニター
これは私が繋げた影が私の目となってその場の景色を見せてくれるのだ
灯りの傍にできた影や路地裏の影
それは大きさなんて関係ない影さえできていればその場の現状を私が見ることが出来る
名付けるのなら「影の監視カメラ」
影ある所に私の目ありだ
にしても…だ
「(頭が痛い…常に集中してないと接続が切れてしまいそう)」
目を閉じて多数の場所の様子を見るからなのか頭がおかしくなる
頭痛と戦いながらもチョコちゃんを探しているとある一枚のモニターに目がいった。
それは私がただ宿の傍でしゃがみこんで目を閉じているんだ
自分の姿を第三視点で見るとこうなるのか…なんだかシュールだな
それにこれを使っていると身の回りで起きた事がわからないからツキカゲの傍でやるのがいいな
とてもいい発見をしたな
……いやそんなことよりも今はチョコちゃんだろ私!
ハッとして再びチョコちゃんの捜索をしているとようやく見つけた彼女の姿
小柄で小さな耳をぴょこぴょこと動かしながら走っている
別の影の視点に切り替えてその様子を追ってみる
どう考えたってあれは焦りを感じている表情だ
なぜそんなことが?
彼女の後ろがどうなっているのか気になり見てみると私は驚いた
「まじかよ…チョコちゃん追われていたのか!」
小さな少女を追いかけるのはどうみたって盗賊
なんでいい歳した大人が子供を裏路地に追い詰めるのか…
裏路地に追い詰める?
本当にチョコちゃんが危ない!!
すぐに裏路地の影の場所を地図に記録すると私は多くの影との接続を切った
ふらつく体で立ち上がると今度は背中に力を入れて集中した。
あんなピンチな状況に陥った少女を助けるには飛んで行った方がいい
「お前…何をしてるんだ?」
「…!あんたはさっきの」
突然話しかけてきたのはさっきのリスの獣人
先程から私を見ていたのだろう
まるで変人を見るかのような冷たい視線が私を突き刺してくる…心が痛いよ
そんなことしてる暇はない、そして目の前にいる獣人にも詳しく説明している暇は無いのだ。
「チョコちゃんを見つけました…状況が状況なので飛んで救出します!」
「はぁ?
飛ぶってまさかお前…!」
そのまさかだよ
背中に生えた羽を大きく広げると私は脚に力を入れた
強化された体と内側で倍増するエネルギーを脚に…そしてそばにある宿よりも高くジャンプをするんだ。
「ちょっ…まってうわぁぁぁぁぁぁ!?」
…なんでお前が私にしがみついているんだよ
私の腰あたりにしがみついているのはさっきまで私に冷たい視線を向けてきたリスの獣人
この高さから落とすのも危ないので手を掴んでその勢いでお姫様抱っこをすると私は目的地まで飛んだ。
場所はここから4キロメートル先にある市場の路地裏
きっと路地裏も迷路になっているはずだ
チョコちゃんはそれを利用してあの盗賊から逃げた…と
「私のスキルでチョコちゃんの場所は特定した!
お前は武器持ってるんだろうな?」
目的地に向かう途中、私は腕に抱えた獣人に問いかけた
着ているやつからしてこの獣人は冒険者
装備しているのはダガーナイフだろう
「さっきからお前は偉そうに…」
ブツブツと呟きながらも私は目的地を真っ直ぐ見つめて背中の羽を大きく動かした。
待っててね…チョコちゃん!
「おい人間…!お前がチョコをどこかへ隠したんじゃないのか?」
何故そんなことになるんだよ
意味がわからん
私は昼間からずっとここにいたんだからチョコちゃんを誘拐してどこかへ隠す時間もなければ暇もない
いや、私がそんなことをしていたからチョコちゃんは行方不明になってしまったのか
結局は私のせいだ
探そう…今ここで動かないとダメだ
「私…チョコちゃんを探してきます!」
綺麗になった調理器具をインベントリにしまい、マントとハルカゼを取り出すと裏口から飛び出した。
本当にチョコちゃんがいない…最後に私がチョコちゃんを見たのは昼間
あれから何時間も経っている
さっきから心臓がバクバク鳴っていてうるさい
「……いや、落ち着け私
絶対になにか手がかりがあるはず…!」
ここら辺の地図はステータスにあるメニューから見ることが出来る
それを利用すればなにかわかるかもしれない
表示されたのはダーウィン王国の一区域
現在地である宿を中心に様々な店のアイコンが表示されている
ここからできるのは物理的に動くことの無い店までのナビゲーションと登録した人物の現在地の表示なのだが…
「人物表示…はダメだチョコちゃんを登録してない
やってるのはツキカゲだけだし…!」
ため息をついて地図を閉じると、私は体内の魔力を練った。
日が傾いているから周りには沢山影がある
なら前にツキカゲが教えてくれたこれも使えるだろう
目を閉じ集中しろ私
足元から放出される黒い魔力を周りの影と繋げるんだ。
「視覚の接続完了…」
脳内に展開されるのは多くのモニター
これは私が繋げた影が私の目となってその場の景色を見せてくれるのだ
灯りの傍にできた影や路地裏の影
それは大きさなんて関係ない影さえできていればその場の現状を私が見ることが出来る
名付けるのなら「影の監視カメラ」
影ある所に私の目ありだ
にしても…だ
「(頭が痛い…常に集中してないと接続が切れてしまいそう)」
目を閉じて多数の場所の様子を見るからなのか頭がおかしくなる
頭痛と戦いながらもチョコちゃんを探しているとある一枚のモニターに目がいった。
それは私がただ宿の傍でしゃがみこんで目を閉じているんだ
自分の姿を第三視点で見るとこうなるのか…なんだかシュールだな
それにこれを使っていると身の回りで起きた事がわからないからツキカゲの傍でやるのがいいな
とてもいい発見をしたな
……いやそんなことよりも今はチョコちゃんだろ私!
ハッとして再びチョコちゃんの捜索をしているとようやく見つけた彼女の姿
小柄で小さな耳をぴょこぴょこと動かしながら走っている
別の影の視点に切り替えてその様子を追ってみる
どう考えたってあれは焦りを感じている表情だ
なぜそんなことが?
彼女の後ろがどうなっているのか気になり見てみると私は驚いた
「まじかよ…チョコちゃん追われていたのか!」
小さな少女を追いかけるのはどうみたって盗賊
なんでいい歳した大人が子供を裏路地に追い詰めるのか…
裏路地に追い詰める?
本当にチョコちゃんが危ない!!
すぐに裏路地の影の場所を地図に記録すると私は多くの影との接続を切った
ふらつく体で立ち上がると今度は背中に力を入れて集中した。
あんなピンチな状況に陥った少女を助けるには飛んで行った方がいい
「お前…何をしてるんだ?」
「…!あんたはさっきの」
突然話しかけてきたのはさっきのリスの獣人
先程から私を見ていたのだろう
まるで変人を見るかのような冷たい視線が私を突き刺してくる…心が痛いよ
そんなことしてる暇はない、そして目の前にいる獣人にも詳しく説明している暇は無いのだ。
「チョコちゃんを見つけました…状況が状況なので飛んで救出します!」
「はぁ?
飛ぶってまさかお前…!」
そのまさかだよ
背中に生えた羽を大きく広げると私は脚に力を入れた
強化された体と内側で倍増するエネルギーを脚に…そしてそばにある宿よりも高くジャンプをするんだ。
「ちょっ…まってうわぁぁぁぁぁぁ!?」
…なんでお前が私にしがみついているんだよ
私の腰あたりにしがみついているのはさっきまで私に冷たい視線を向けてきたリスの獣人
この高さから落とすのも危ないので手を掴んでその勢いでお姫様抱っこをすると私は目的地まで飛んだ。
場所はここから4キロメートル先にある市場の路地裏
きっと路地裏も迷路になっているはずだ
チョコちゃんはそれを利用してあの盗賊から逃げた…と
「私のスキルでチョコちゃんの場所は特定した!
お前は武器持ってるんだろうな?」
目的地に向かう途中、私は腕に抱えた獣人に問いかけた
着ているやつからしてこの獣人は冒険者
装備しているのはダガーナイフだろう
「さっきからお前は偉そうに…」
ブツブツと呟きながらも私は目的地を真っ直ぐ見つめて背中の羽を大きく動かした。
待っててね…チョコちゃん!
1
お気に入りに追加
685
あなたにおすすめの小説
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
転生令嬢の食いしん坊万罪!
ねこたま本店
ファンタジー
訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。
そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。
プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。
しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。
プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。
これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。
こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。
今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。
※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。
※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
転生したらチートすぎて逆に怖い
至宝里清
ファンタジー
前世は苦労性のお姉ちゃん
愛されることを望んでいた…
神様のミスで刺されて転生!
運命の番と出会って…?
貰った能力は努力次第でスーパーチート!
番と幸せになるために無双します!
溺愛する家族もだいすき!
恋愛です!
無事1章完結しました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる