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羅魅亜ちゃんのスルーパス
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ちょっとした繁忙期が過ぎて、また仕事が落ち着いた。営業の人たちは忙しそうだけど、わたし達事務は落ち着けるようになった。
「はあ」
「どうしたの? 大げさに溜め息なんかついて」
デスクにベタっとなるギャル事務員、木下羅魅亜嬢。いかにも話を聞いてほしい感じ。
「特に何も無いんですけど、あたしの人生ってこれでいいのかなって」
「急に……」
「重いわ」って思って、言うのをやめた。
木下さんは沈んだ感じで続ける。
「なんていうか、親がそこそこ金持ちだから大学とかも苦労なく行けて、でも目的も何も無いからダラーっと過ごして、何にもならないまんまお水になって、それから今の会社にコネで入社して、このまま何も成し遂げずに生きていくのかなって思ったらちょっと怖くなったの」
「重いわ」
思わず自重したはずの一言が出た。
「でも、なんで急にそんな考えが出てきたの?」
「七海ちゃんが最近遠野さんと付き合い始めたじゃないですか~」
心臓が、バネが付いたみたいに跳ねる。
「べ、別に付き合ってなんかないですけどっ!」
「変な嘘をつくの、やめてもらえます? 遠野さんが来た時の様子を見ていれば分かるんですけど」
木下さんがこれ見よがしにあきれ顔を作る。
「それで、どこまで行ったの?」
「いや、それは、別に……」
水族館の件以来、遠野さんとはどこへも行っていない。変に意識しているのがバレたくなくて、たまにLINEするぐらい。いまだに「さん」付けで、無難な話しかしていない。
変わったことと言えば、わたしが遠野さんを使って人知れず寝る前に妄想の世界で楽しむ夜が増えたことだけだ。
でも、そんなこと言えない。言えるわけがない。
「たまに、LINEするぐらいで、出かけたりとかは……」
「なんか、恋する中学生みたいだね」
木下さんが「ふ」と笑う。たくさんの男性を相手にしてきた夜の蝶だったから、彼女からすればわたしは物珍しい存在なのだろう。
なんだか、納得いかないな。わたしは真面目に生きてきたのに、結果として男性を知らないアラサ-女になって、彼女は好き勝手生きてきて(失礼)男性にも慣れたモテ女になっている。
地下アイドルになった時は処女性が大事にされてきたけど、今ではその大事にしてきたものが足かせになっている。
世の中って、神様って不公平だなって思う。
「しかし遠野さんを取られちゃうとはな」
木下さんがしみじみと言う。
「いや、まだわたしは……」
「そんなのさ、二人を見てれば分かるってーの」
「えっ」
「えっじゃねーし」
木下さんがギャルに戻る。それはそれとして、わたしはよく分からない理由で動揺していた。
「本当にさ、遠野さんが来ると二人ともなんか態度がおかしいしさ、見てるとチラチラチラチラお互いを盗み見ていて、そりゃどんなおバカでも『この二人はデキてんだな』って分かるよ?」
「いや、できては……」
「まあ、どこまで行ったかはこの際どうでもいいよ。とにかくさ、二人を見てると、誰だって『ああ、この人たちって両想いなんだな』ってのが分かるわけ」
なんと……。わたしの秘められた思いは、木下さんに筒抜けだった。やるなおぬし。というかわたしが分かりやす過ぎるだけなんだろう。
「だからさ」木下さんはすねた下目遣いで、綺麗にデコった爪をいじくりまわしている。
「邪魔したら悪いなって思って、あたしは遠野さんから身を引いたんです」
「そんな……」
「お気遣いをしなくても」って言おうとしてやめる。実際問題、木下さんが本気を出したらすぐに遠野さんを取られちゃいそうだったから。
わたしが固まっていると、噂の遠野さんが事務所に来た。狙いすましたかのようなタイミングに、わたしの心臓は一瞬止まりかける。
さっきまですねていた木下さんが一瞬で愛想のいいお姉ちゃんに変わる。この辺はやっぱりプロだな、と思った。
世話話をいくらかすると、木下羅魅亜嬢が思い出したように声をかける。
「ところで、最近は七海ちゃんとどこかへ出かけたりしているんですか?」
「え? いや……」
訊かれた瞬間に、遠野さんの顔が真っ赤になった。かわいい。神梨君ばりのイケメンのせいで、赤面していてもサマになる。
「最近七海ちゃんが寂しそうだから、たまには構ってあげてくださいな」
「な」
今度はわたしの顔に火が点いた。自分でも顔面がカーっと熱くなっていくのが分かる。
「ちょ、羅魅亜ちゃん!」
動揺したわたしは、思わず木下さんを下の名前で呼ぶ。
当の木下さんはしてやったりの顔でニヤついていた。
どうしよう。ああ、恥ずかしい。まだ自分の思いもはっきり伝えていないのに。うう、死にそう。
そんなことを思っていると、先に冷静さを取り戻した遠野さんが口を開いた。
「それじゃあ何か映画でも観に行きますか?」
「あ、映画、好きです」
寂しい生活を送るわたしは、一人でアマプラの映画を観ていることも多い。そんなわたしにとって映画を観に行くことは比較的ハードルが低かった。
「そうですか。じゃあ、今度何か観に行きましょう。何が観たいですか?」
「えっ。その、すぐには出てこないんですけど、なんかあった気がします」
「それじゃあ森さんの選んだやつで大丈夫です。二人で楽しみましょう」
「はい……」
そんな感じで、あっさりとわたし達が映画を観に行く約束は取りつけられた。
「遠野さん、ウチの七海ちゃんをぜひよろしくお願いします」
木下さんが京都の女性みたいなイントネーションで言う。遠野さんは苦笑いして「はい」と答えた。
遠野さんが去った。
「ちょ……木下さん。何やってるんですか」
語尾は上がらない。嬉しい反面、彼女が仕掛けたスルーパスが原因で寿命が縮んだ。
「ああでもしないと、何も動きそうになかったからね」
いたずらっぽく笑う木下さん。小悪魔め。
「それに、七海ちゃんには幸せになってほしいからね」
なんとなしに寂しい目で遠くを見る木下さん。彼女にも何か悲しい過去があったのかもしれない。夜の蝶だったわけだしね。
そう考えると、彼女って本当にいい人なんだな、と思う。今まで「いいな」と思う人がいても、横から知らない女がやって来ては掻っ攫っていったこともあった。地下アイドル時代に似たような手法でファンを持っていかれたこともある。
だけど、木下さんはこうやって応援してくれている。これに応えないなんて嘘だよね。
よし、今度こそ、遠野さんに好きだって伝えよう。そして、キスしてからその先は……恥ずかしくて死にそうになるから、それは今、考えないようにしよう。
木下さんに感謝しつつ、わたしは遠野さんとの映画デートへ備えることにした。
「はあ」
「どうしたの? 大げさに溜め息なんかついて」
デスクにベタっとなるギャル事務員、木下羅魅亜嬢。いかにも話を聞いてほしい感じ。
「特に何も無いんですけど、あたしの人生ってこれでいいのかなって」
「急に……」
「重いわ」って思って、言うのをやめた。
木下さんは沈んだ感じで続ける。
「なんていうか、親がそこそこ金持ちだから大学とかも苦労なく行けて、でも目的も何も無いからダラーっと過ごして、何にもならないまんまお水になって、それから今の会社にコネで入社して、このまま何も成し遂げずに生きていくのかなって思ったらちょっと怖くなったの」
「重いわ」
思わず自重したはずの一言が出た。
「でも、なんで急にそんな考えが出てきたの?」
「七海ちゃんが最近遠野さんと付き合い始めたじゃないですか~」
心臓が、バネが付いたみたいに跳ねる。
「べ、別に付き合ってなんかないですけどっ!」
「変な嘘をつくの、やめてもらえます? 遠野さんが来た時の様子を見ていれば分かるんですけど」
木下さんがこれ見よがしにあきれ顔を作る。
「それで、どこまで行ったの?」
「いや、それは、別に……」
水族館の件以来、遠野さんとはどこへも行っていない。変に意識しているのがバレたくなくて、たまにLINEするぐらい。いまだに「さん」付けで、無難な話しかしていない。
変わったことと言えば、わたしが遠野さんを使って人知れず寝る前に妄想の世界で楽しむ夜が増えたことだけだ。
でも、そんなこと言えない。言えるわけがない。
「たまに、LINEするぐらいで、出かけたりとかは……」
「なんか、恋する中学生みたいだね」
木下さんが「ふ」と笑う。たくさんの男性を相手にしてきた夜の蝶だったから、彼女からすればわたしは物珍しい存在なのだろう。
なんだか、納得いかないな。わたしは真面目に生きてきたのに、結果として男性を知らないアラサ-女になって、彼女は好き勝手生きてきて(失礼)男性にも慣れたモテ女になっている。
地下アイドルになった時は処女性が大事にされてきたけど、今ではその大事にしてきたものが足かせになっている。
世の中って、神様って不公平だなって思う。
「しかし遠野さんを取られちゃうとはな」
木下さんがしみじみと言う。
「いや、まだわたしは……」
「そんなのさ、二人を見てれば分かるってーの」
「えっ」
「えっじゃねーし」
木下さんがギャルに戻る。それはそれとして、わたしはよく分からない理由で動揺していた。
「本当にさ、遠野さんが来ると二人ともなんか態度がおかしいしさ、見てるとチラチラチラチラお互いを盗み見ていて、そりゃどんなおバカでも『この二人はデキてんだな』って分かるよ?」
「いや、できては……」
「まあ、どこまで行ったかはこの際どうでもいいよ。とにかくさ、二人を見てると、誰だって『ああ、この人たちって両想いなんだな』ってのが分かるわけ」
なんと……。わたしの秘められた思いは、木下さんに筒抜けだった。やるなおぬし。というかわたしが分かりやす過ぎるだけなんだろう。
「だからさ」木下さんはすねた下目遣いで、綺麗にデコった爪をいじくりまわしている。
「邪魔したら悪いなって思って、あたしは遠野さんから身を引いたんです」
「そんな……」
「お気遣いをしなくても」って言おうとしてやめる。実際問題、木下さんが本気を出したらすぐに遠野さんを取られちゃいそうだったから。
わたしが固まっていると、噂の遠野さんが事務所に来た。狙いすましたかのようなタイミングに、わたしの心臓は一瞬止まりかける。
さっきまですねていた木下さんが一瞬で愛想のいいお姉ちゃんに変わる。この辺はやっぱりプロだな、と思った。
世話話をいくらかすると、木下羅魅亜嬢が思い出したように声をかける。
「ところで、最近は七海ちゃんとどこかへ出かけたりしているんですか?」
「え? いや……」
訊かれた瞬間に、遠野さんの顔が真っ赤になった。かわいい。神梨君ばりのイケメンのせいで、赤面していてもサマになる。
「最近七海ちゃんが寂しそうだから、たまには構ってあげてくださいな」
「な」
今度はわたしの顔に火が点いた。自分でも顔面がカーっと熱くなっていくのが分かる。
「ちょ、羅魅亜ちゃん!」
動揺したわたしは、思わず木下さんを下の名前で呼ぶ。
当の木下さんはしてやったりの顔でニヤついていた。
どうしよう。ああ、恥ずかしい。まだ自分の思いもはっきり伝えていないのに。うう、死にそう。
そんなことを思っていると、先に冷静さを取り戻した遠野さんが口を開いた。
「それじゃあ何か映画でも観に行きますか?」
「あ、映画、好きです」
寂しい生活を送るわたしは、一人でアマプラの映画を観ていることも多い。そんなわたしにとって映画を観に行くことは比較的ハードルが低かった。
「そうですか。じゃあ、今度何か観に行きましょう。何が観たいですか?」
「えっ。その、すぐには出てこないんですけど、なんかあった気がします」
「それじゃあ森さんの選んだやつで大丈夫です。二人で楽しみましょう」
「はい……」
そんな感じで、あっさりとわたし達が映画を観に行く約束は取りつけられた。
「遠野さん、ウチの七海ちゃんをぜひよろしくお願いします」
木下さんが京都の女性みたいなイントネーションで言う。遠野さんは苦笑いして「はい」と答えた。
遠野さんが去った。
「ちょ……木下さん。何やってるんですか」
語尾は上がらない。嬉しい反面、彼女が仕掛けたスルーパスが原因で寿命が縮んだ。
「ああでもしないと、何も動きそうになかったからね」
いたずらっぽく笑う木下さん。小悪魔め。
「それに、七海ちゃんには幸せになってほしいからね」
なんとなしに寂しい目で遠くを見る木下さん。彼女にも何か悲しい過去があったのかもしれない。夜の蝶だったわけだしね。
そう考えると、彼女って本当にいい人なんだな、と思う。今まで「いいな」と思う人がいても、横から知らない女がやって来ては掻っ攫っていったこともあった。地下アイドル時代に似たような手法でファンを持っていかれたこともある。
だけど、木下さんはこうやって応援してくれている。これに応えないなんて嘘だよね。
よし、今度こそ、遠野さんに好きだって伝えよう。そして、キスしてからその先は……恥ずかしくて死にそうになるから、それは今、考えないようにしよう。
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