君と君の好きな子の幸せ

くんくん

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9話・戯れ

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二人の関係を一歩進めたあの日から、不思議な程穏やかな日々が続いた。
虎にはあの後、しっかりと報告を済ませ、晴れて親友公認のカップルになったのだけど。

何か特別変わった事があった訳じゃない。
今も変わらず俺達は虎を含めた3人での行動を何となく続けているし、恋人初心者の俺達が、こんな短期間で、何か特別なイベントを迎える訳でも無かった。

それでも確実に感じる、幾分か縮まったカイルとの距離間が嬉しくて仕方ない。
1度は縁を切られる事も覚悟していた俺は、カイルがじっくりと俺に恋してくれれば良いと思っている。

想いを素直にカイルに現せるだけでも、今の俺は最高に幸せだ。
好きな奴に好きだと言える、それだけで俺は満たされるし、何より何時も隣にカイルが居てくれる事が、かなりの精神安定に繋がっているようだった。

「うーん…これは助動詞だから…。」

そして今、幸せの絶頂に居る俺を、奈落の底に突き落とす事件が起こっている。
期限を明日に控えた提出物の存在をすっかり忘れていた俺の為、放課後2人が俺の勉強を見てくれている。

「仁…そこ、綴り間違ってる。そこはrじゃなくてlだよ。」

「え?ちっ…またかよ。んぁー、もう英語とかやだぁ…。」

「解った解った。…後、こっちも文法そのものがおかしい。」

「えぇぇえええ…せっかく先に進んだと思ってたのに…。」

自分で言うのも何だが、俺は驚く程英語が出来ない。
一方カイルは母国語の為、一般高校の授業レベルなんて問題にもならない様で、俺の解答をほぼリアルタイムに添削する。

ダメな俺に対しても、嫌な素振りひとつ見せずに教えてくれている。
…カイルの気持ちに応えたい所だが、頑張ってもダメな物はダメらしい。

何度も初歩的なミスを繰り返し、その度に弱音が出てしまう。

「…大体なぁ、高校の英語は中学の延長なんだ。こんな基礎を間違うのなら、いっそ中学からやり直した方が良いんじゃね?」

前の席に逆向きで座った虎が、俺のノートを覗き見する。
いつもの様に意地の悪い笑みを溢しながら、最もな事を言う。

「だぁっ!!もう虎は黙ってろよっ!」

意地の悪さも然ることながら、いつに無く余裕を持った発言にもムカッと来る。
上手い皮肉のひとつでも言い返してやりたい所だが…その要素が見当たらない。

「悔しかったら1度でも、俺に勝ってみるんだな。」

「虎のくそったれ…!大体なんでお前みたいな不良に勉強が出来て、俺みたいな一般男子生徒が出来ねぇんだよ!!」

「そりゃお前…出来の問題だろ?…なぁ、カイル。」

「…まぁ、擁護してあげたいのは山々だけど…虎と張り合う事は止した方がいいね。」

そう、言い返せない理由はただひとつ。
虎は頭が良く、ガキの頃から授業の事で頭を悩ます事が無かった。

それも腹が立つ事に、必死に勉強してたり、体良く塾に通ったりもしていない癖に何故か出来る。

俺は長年不思議で堪らなかったが、高校生になった今、一つだけ確実だと言える事があるとすれば…虎は本当に出来が違うという事実だ。

…素行も容姿も、見事にグレまくった癖に。
それでも天才は天才に変わらない事実に、何度神様を恨んだか知れない。

「はぁぁ~…っ!」

俺は深い溜め息を吐き、虎は目の前で誇らしげに鼻をフンと鳴らして笑った。
だから苦し紛れに食って掛かるのは止めて、大人しくしようと投げ捨てたシャーペンを再び握った。

「もういい…一般男子生徒は一般男子生徒なりに頑張る…。」

「そうだね、俺も付き合うから。」

見るからに落ち込み、力なく背中を丸める俺に同情したのか、カイルはそう言って、俺の頭を優しく撫でた。

「っっ!!ちょ…っ!」

カイルが触れた頭の表面から、一気に足先まで燃える様に熱くなり、慌てて声を上げる。
体の痺れが激し過ぎて、握り締めたシャーペンを放り投げてしまった。

「えっ?…あ、ごめん。」

カイルもそんな俺の行動に驚いたのか、俺の頭に置いていた手を引っ込めると、慌てて放り出されたシャーペンを拾った。

『…うーっ…俺のばかっ!』

二人の関係が少し変わったあの日から、俺はこういうスキンシップに弱い。
カイルは特段気にしていないみたいだけど…正直困っていたりする。

「っと…さ、早くそこの文訳して。いい加減にしないと、日が暮れちゃうよ。」

俺の平静を奪った相手は、案の定自分の犯した罪がどれ程重い物か気に留めることも無く、平然とした顔をしてノートを指先でトントンと叩いた。

そんな俺たちのやり取りを見ていた虎は、恐らく真っ赤になったであろう俺の顔をまじまじと見つめた後、ニタっと厭らしい笑みを浮かべた。

その顔を見て嫌な予感がした俺は、勉強どころではなくなっていたものの、カイルに”早く”と急かされて、仕方なくノートへと視線を戻した。

すると、その瞬間を見計らったかの様に虎が口を開く。

「な、カイル。」

「…ん?」

『あー、会話が気になって集中出来ねぇ…』

俺のノートを覗いていたカイルが、虎の言葉に反応して顔を上げる。
その気配だけを伺っている俺は、心ココに在らずでノートを凝視していた。

「お前らは結局、どこまで進んだ訳?」

「どこまで…?」

「そっ。」

「質問の意図がよく分からないけど…。」

「だぁかぁらぁ。…キスの一つくらい、決めたのかって聞いてんの。」

「だぁぁ!!虎!!要らん事聞くなっ!」

虎とカイルのやり取りをほぼ盗み聞き状態で耳に入れていた俺は、その会話の行く先がおかしな方向を向いている事に耐え切れず、ついに声を張り上げた。

「ど、どうしたんだよ…いきなり大声出すからビックリした…。」

カイルは俺の言動に驚いて目を丸くしているが、俺はそれどころじゃ無い。
虎をキッと睨み付けると、腹の底から震える様な重低音で凄む。

「もっかい言うぞ、要らん事言うな…解ったか虎之助!」

すると虎は何がそんなに嬉しいのか、ニヤッと歯を見せて笑うとワザとらしく鼻の穴に指を突っ込んで言う。

「要らん事じゃねぇだろ、これからのお前らにとって重要な事じゃん。」

「お、お前には関係のねぇ事だろっ!?」

「おい、寂しい事言うなよ。…俺は二人の愛の宣教師だよ。」

「なんだよ、それ!上手い事言ってんじゃねぇよっ!」

焦り過ぎて思考回路がショートすると、人は何故か笑うらしい。
俺は面白くもないのに顔が強張って、笑みに似た表情を作り、それと同時に言葉端が上擦る。

「…何この会話?そんな事より今は課題を進めるよ?」

カイルはカイルで、虎の不躾な質問に対し、特別な感情を抱いていない。
そればかりか課題が進まない事に対して苛立っていて、焦る俺と嬉しそうにニヤつく虎を交互に見ながら、不機嫌そうに言った。

俺がこの場の変な空気を一掃出来る言葉が無いか、小さい脳みそをフル回転させて考えていると、虎は息を一気に吸い込み一層大きな声で言った。

「いや、人間たる者肌を重ねる事は大事だぞ。…お前ら、そういうのに縁遠そうだから心配してやってんだよ。」

そりゃ俺だって、9年来の片想いの相手をそういう対象に見ている事は事実だ。
だけどあまりにも障害が多すぎて、そういう意識は当分封印しようと思っていた。

なのに目の前で意地悪い笑みを溢したままの男に、その計画をズタボロにされてた気分だった。

『…キスなんか出来るわけねぇじゃん。…まだカイルは俺に恋してないだろうし。』

俺は思わず悪態をつく気力も失い、ガクンと首から力を抜くと頭を思いっきり机に打ち付けてしまった。
ゴンッと一際大きな音が響いたが、俺の意識はそれどころじゃないらしく、大した痛みに悶える事は無かった。

「縁遠そうってのは…まぁ、間違ってはいないけど。」

突っ伏したまま顔を上げずに居ると、カイルは戸惑った声でそう言う。

『…なんだ、カイルも“まだ”なのか。』

怪我の功名で、図らずも恋人の貞操が守られている事を知って安堵する。
別に経験していても問題はないけれど、何となく初めてだという事実が嬉しい。

すると虎は、カイルの言葉を受け鼻を鳴らして笑い、悪びれもせずに言い返した。

「だろ?そんなんじゃ、いざって時に困るだろ。一応仮にも恋人同士なんだしな。」

「ま、お前らみたいな友達宜しくやってる奴には、たまに起爆剤が必要なんだよ。そうやって定期的に刺激を与えて意識させねぇと。」

虎が珍しく”正論”を説いている様な気がしたのは、俺がカイルへの愛溢れる余りに、正常な思考を手放しているせいだろうか?

俺は思わずその考えに同調し、同調した途端バカ正直に体がカッと熱くなった。

『やべぇ…これ顔真っ赤だろ。…だめだ、このまま伏せとこ…。』

机に頭を打ち付けた名残のまま、顔を突っ伏してこの場を切り抜けようと思った。
ノートに書いた字が頬に写るかも知れないし、カイルがどんな顔して虎と話しているのかも気になったが…下手に行動を起こして墓穴を掘ると、それこそ自爆しそうだ。

だからなるべく気配を消して、二人の会話に聞き耳を立てる。

「念の為言っとくが、これは恥ずかしがるような事じゃねぇ。して当たり前の行為だ。」

「…愛しい奴の心を占めたくなって、いざ占めたらその次。そいつの体までも自分の物にしたくなる。…自然な事だろ。」

『確かに…そうなんだよなぁ。』

…虎の発する言葉に、いちいち頷いてしまう自分が憎い。
けれど虎が間違った事を言っているとは思わない。

『けど…何も面と向かった時に話さなくても…!』

俺はまだ、カイルの体に触れる事を躊躇っている。
それどころか、そういった甘い雰囲気になるような事も避けるようにしている。
だからカイルに対して、こんな風に意識させるような事を言って欲しくない。

「やけに詳しく語るね…もしかして経験者なの?」

一頻り虎が言葉を連ねた頃、カイルはやけに落ち着いたトーンで虎に問う。
俺はカイルの言葉に思わず噴き出しそうになり、慌てて口元に手をやった。

『虎が?んな、まさか。…だって彼女出来たとか聞いた事ねーし?大体、虎みてぇな悪人ヅラに彼女なんt(ry』

「…恋愛は経験済み。それと女なら抱いてる。」

「えええええっ?!って、…うおっ!?」

虎の発言に黙って聞き耳を立てていたはずが、ついつい叫び声を上げる。
余りに驚いたもんだから、勢いよく体を起こした勢いで、そのまま後方に転びそうになって、慌てて体勢を整える。

「ちょっ!仁、危ない!」

「…っ!あ、焦った…。」

我ながら自分のオーバーリアクションと、それに伴って発達した機敏な身のこなしには感心する。
って、そんな事言っている場合ではない。

俺は思わず目を見開いて、目の前に居る虎の顔を凝視する。

「なぁに驚いてんだよ。…然程意外な話でもねぇだろ?」

当の本人は意外な程冷静、真顔で俺を見返して然も呆れている様子だ。

「だ、だだだだっだって!俺、お前に好きな奴が居るとか聞いた事ねーし!それに彼女が出来たとかそういう報告、一回も…。」

「…ま、SEXの方はただの性処理だからな。」

「へぁ…そうなの?それなら報告ねーのも、俺が知らないのも頷ける…って、おいっ!!何、その軽薄な発言!!今まで愛がどうのとか伝道師みてぇに説いてた奴の言うセリフかよっっ!!」

「…俺モテるしな。」

「なっ!!何をっ!?」

その言葉を出されては、ぐうの音も出なくなる。
確かに言われてみれば、虎は昔から何故かモテる。
それは虎が頭が良いと言う事と同じくらい、長年俺が疑問に思っていた事の一つだった。

ショックを隠せない俺を見る虎の目は、完全に勝者の見せるそれだ。
途轍もない敗北感に苛まれ、俺は腰から砕ける様に項垂れた。

「いや、だからって…虎が俺より先に童貞捨てるなんて…。」

「仁は虎の事、どう思ってるか解らないけど、虎は女子に人気だよ?」

カイルは一連の俺の言動に呆れているのか、苦笑いを浮かべて言う。

「いや、モテるのは知ってるよ!?今まで何回も
”山田君って彼女居るの?”とか”山田君にこれ、渡しといてっ!”とか、目ぇ輝かせた女子に散々言われて来たけどさ!…そもそも何で、コイツがそんなにモテるのかが解んないんだよっ!」

そう、だって虎は意地悪だし、顔だって悪人ヅラだし…。
高校生のくせにボディピアスは開けまくりだわ、煙草は吸うわ、挙げ句の果てに見えない所にタトゥーまで入れている。
そんな奴、傍から見たら危ねぇ奴としか思えないだろ。

とにかく納得がいかない俺は、カイルの発言に返す言葉にも思わず力がこもる。

するとカイルは”うーん”と言って少し考える素振りを見せると、その後控え目に笑顔を見せ、俺の事を生暖かい目で見ながら言った。

「…挙げだしたら、キリが無いかも?」

「…カイルまでそんな事言うか…。」

カイルの言葉に俺が落ち込むと、虎は一層嬉しそうに追い討ちをかけてくる。

「ま、お前らの場合どっちかが確実に
童貞を捨てられねぇって事にもなり兼ねねぇ状況だけどな。…ん、待てよ?どっちも付いてんなら、リバって可能性も…。」

「ちょ…っっ!!!」

「リバ…?」

「何、その専門用語っ!お前なんなの、マジ何者なの!!!」

「あぁいう小さなバーで働いってっと、嫌でもその筋の客の会話が耳に入るんだよ。」

俺とカイルの反応を見て、虎は嬉しそうに中指を立てて笑っている。

「くっそ…虎のあほぉー!!」

そんな虎の余裕たっぷりな態度を見て、俺は雄たけびをあげた。
このどうしようもない敗北感を、解消する方法が見つからなかったが故の、苦肉の策であったものの…冷静に考えると、その言動はとびっきりの汚点だと思った。

そしてその後、散々俺らの事をおちょくり倒した虎は清清しい顔をして
”バイトの時間だから帰るわ”と言い残し、教室を去った。

俺は去って行く虎の背中に思う存分威嚇をすると”もうそんな時間!?”と焦るカイルにどやされて、慌てて開きっぱなしで放置していたノートに意識を集中した。

まぁ、結局俺の集中力が戻る事はなく、
業を煮やしたカイルがノートを写させてくれて、無事、事無きを終えた事は言うまでも無い。

…その後の俺の頭は正常な思考を取り戻せないまま、意識をカイルに一点集中させてしまった。
香る自分とは違うシャンプーの匂い、ノートを指差す長くてキレイな指先、俺を叱り付ける心地よいトーン。

五感の全てで隣に居るカイルを意識してしまい、正直勉強なんてできる状態ではなかった。

情けないけれど、やっぱり俺は出来る事ならカイルに触れたい。
…それはまだ、赦される事ではないと理解しているから、余計に悶々とする。

虎が言うように、こんな欲がごく自然な事なら、どれ程救われる事だろう。
…けれどそんな俺を尻目に、カイルはあんな話をした後でも至って変わらず俺に接した。

…つまりはそういう事なんだろうと再認識すると、俺も自分の昂りを収めるように努力すると誓った。
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