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第五話
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「結夏璃。あそびにきたお。」
「え! 甘夏⁉……なに、『お』って。キャラ……おかしいよ⁉」
しまった……!きゃまたんのが!
なんて言い訳しよう……あぁ!
「え?……聞き間違えじゃない?」
ああああ!やっちゃった私!
完璧に誤魔化してるってばれたよ。
まぁなんか、ここ数日でキャラ変わったっていうのは事実かもしれないけど。
「てか、急だねー、まさか嫌な知らせとかないよね。」
それがあるんです……
私はとりあえず、通された五畳の和室に正座で座る。
──よし、話そう。
「結夏璃……これから話すことは、作り話とかじゃないから、真剣に聞いてくれる?」
「……? うん。」
──私は全てを話しだす。
夢の国での出来事、死んでしまうということ。
結夏璃は、いつもワイワイした感じだけれど、今日は重く頷いて、真剣に話を聞いてくれた。
私はこんな結夏璃が好きなんだ。
「だから……結夏璃に、お別れを言いに来たんだ。」
重たい空気が流れている。
「本当に、お世話になりました。ありがとう。大好きだった。またね。」
何て言ったら良いかわからなくて、とりあえず、言いたいことを全て伝える。
和室に似合う振り子時計が三回なった。
もう三時だ。
結夏璃の顔は、状況を理解できていない顔だった。
──あと十七時間ある。
「……甘夏は、生きたくないの…?」
「え?」
「……そんなすぐ、お世話になりました。なんて……私だったら……言えないよ。」
じんわり体の底から何かが込み上げてきた。
何だかよくわからない。
でも、ぞくっとするような、すーっとするような。
……涙が頬を伝っていた。
「……死にたくないよ……でも、しょうがないじゃん!」
久しぶりに声に出して叫んだ。
私は、こんなにも大きな声がでたんだ。
「……甘夏は、そうやって叫んでくれたほうがいい。
人間らしくて、甘夏らしくない。……それが、いい。」
──それがいい。
その帰り道だった。
いつの間にか、一緒に泣き崩れて寝ていた私たちは、起きたのはもう七時だった。
家を出るとき、最後にしたお別れが、今もまだ頭にこべりついている。
「……死ぬ……か。」
口に出してみても実感はなくて。
あと数時間後には記憶が全て消えていると思うと、変な話だ。
のったら歩いて家に帰ると、あぶらっこい揚げ物のにおいがした。
何だか、また泣きたくなるにおいだった。
「─ただいま。」
「え! 甘夏⁉……なに、『お』って。キャラ……おかしいよ⁉」
しまった……!きゃまたんのが!
なんて言い訳しよう……あぁ!
「え?……聞き間違えじゃない?」
ああああ!やっちゃった私!
完璧に誤魔化してるってばれたよ。
まぁなんか、ここ数日でキャラ変わったっていうのは事実かもしれないけど。
「てか、急だねー、まさか嫌な知らせとかないよね。」
それがあるんです……
私はとりあえず、通された五畳の和室に正座で座る。
──よし、話そう。
「結夏璃……これから話すことは、作り話とかじゃないから、真剣に聞いてくれる?」
「……? うん。」
──私は全てを話しだす。
夢の国での出来事、死んでしまうということ。
結夏璃は、いつもワイワイした感じだけれど、今日は重く頷いて、真剣に話を聞いてくれた。
私はこんな結夏璃が好きなんだ。
「だから……結夏璃に、お別れを言いに来たんだ。」
重たい空気が流れている。
「本当に、お世話になりました。ありがとう。大好きだった。またね。」
何て言ったら良いかわからなくて、とりあえず、言いたいことを全て伝える。
和室に似合う振り子時計が三回なった。
もう三時だ。
結夏璃の顔は、状況を理解できていない顔だった。
──あと十七時間ある。
「……甘夏は、生きたくないの…?」
「え?」
「……そんなすぐ、お世話になりました。なんて……私だったら……言えないよ。」
じんわり体の底から何かが込み上げてきた。
何だかよくわからない。
でも、ぞくっとするような、すーっとするような。
……涙が頬を伝っていた。
「……死にたくないよ……でも、しょうがないじゃん!」
久しぶりに声に出して叫んだ。
私は、こんなにも大きな声がでたんだ。
「……甘夏は、そうやって叫んでくれたほうがいい。
人間らしくて、甘夏らしくない。……それが、いい。」
──それがいい。
その帰り道だった。
いつの間にか、一緒に泣き崩れて寝ていた私たちは、起きたのはもう七時だった。
家を出るとき、最後にしたお別れが、今もまだ頭にこべりついている。
「……死ぬ……か。」
口に出してみても実感はなくて。
あと数時間後には記憶が全て消えていると思うと、変な話だ。
のったら歩いて家に帰ると、あぶらっこい揚げ物のにおいがした。
何だか、また泣きたくなるにおいだった。
「─ただいま。」
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