ブルーメモリーズ

村井 彰

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朝焼け

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 桃色に染まる朝焼けの空。冷たく澄み切った空気は、旅立ちに相応しい神聖さを孕んでいる。
 私は大きく深呼吸して、足元の景色を見下ろした。夜明けの街に人通りはなく、これなら誰かを巻き込んでしまう心配もなさそうだ。
 お父さんとお母さんは、少しくらいは悲しんでくれるだろうか。学校の皆は……きっと、気にもとめないのだろう。
 まあ、いいか。私がいなくなった後の世界のことなんて、どうでも。
 諦めと、ほんの少しの期待を胸に、私は一歩足を踏み出した。生まれ変わりなんて信じていないけれど、もしそんなものがあるとしたら。
 体がふわりと宙に舞う。想像していたより悪くない気分だ。
 ああ、もしも、生まれ変わることができるのなら。

 来世では、今よりもう少しだけ、愛される子に生まれますように。
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