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予想と違って予想通り
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突然だが、俺が言うことって大体当たらない。
作戦通りに進めば楽できるな、と思えば作戦が失敗する。
この作戦なら大丈夫だな、と思えば作戦が失敗する。
こんな作戦上手くいくわけねぇよ、と思えば何故か作戦が成功する。
この戦いが終わったら帝都に戻るな、と思えば戦いは終わらないし帝都に戻れない。
この戦争が終わったら除隊して結婚する、と思えば戦争が全く終わってくれない。
と、まぁこんな歴史を重ねてきた結果、俺は俺の考えに疑問を持つことにした。俺が「いける!」と思ったら失敗する、俺が「これ無理だわ」と思ったら成功する、と。
まぁ、その上で考えてもらいたい。
俺は『ユーリア機動兵団』のエリート超重装部隊二千人が先頭を行くと聞いて、それだけ装備も整って練度も高い兵団であるのならば、三万もいるウルスラ王国を相手にしても十分に戦えると考えた。
超重装部隊で先陣を切り、その後ろから俺たちガーランド第五師団が後詰めとして攻め、容易にウルスラ王国を圧倒することができるだろうと、そう考えていた。
つまり。
俺の考えが一切当たらないのであれば、『ユーリア機動兵団』はものの役にも立たず、うちの師団は楽できるどころか敵全軍と戦うような結末が待っているということだ。
はっはっは、まさかそんなわけ。
「『ユーリア機動兵団』が、前方のぬかるみに嵌まって動けなくなったとのことです!」
「ですよねぇ!!」
報告に来た兵士に対して、俺はそう返すことしかできない。
そもそもユーリア王国が『ユーリア機動兵団』だけで防衛している理由って、ユーリア王国自体の気候が大きく関係している。ユーリア王国は年間に渡って穏やかな気候に恵まれた地であり、周囲に広がるのは平野ばかりなのだ。
そして、今まで他国に攻め込むということがなかったユーリア王国は、ただひたすらに他国から防衛することだけに長けた兵団を作り上げた。それが『ユーリア機動兵団』である。何せ防衛するだけならばどれほど装備が重くても関係ないし、平野地帯が広がるユーリア王国では何の妨害もない。
まぁその結果として、こうして攻め込むとあっさり身動きの取れなくなる部隊でもあるということだ。
結果として、俺たちはどうなるかというと。
三万の敵兵に対して、第五師団五千人で挑まなければならないのである。
「よっしゃ、『切り込み隊』!!」
「おう!!」
「てめぇらのノルマは、一人頭十人だ! てめぇらが一人で十人倒して、俺が残り二万を殺せば勝ちだ!」
「隊長化け物っ!!」
「うるせぇ!!」
後ろからかけられた罵声に、そう返す。
俺たち『切り込み隊』は軽装だから、この湿地帯でも問題なく戦える。というか『ユーリア機動兵団』のヘンメル将軍は、湿地帯なのに何故進軍したのだろう。俺たちでさえ、油断すれば膝まで浸かってしまうようなぬかるみも多いのに。
そして、『切り込み隊』以外の四つの部隊――彼らは貴族のぼんぼんばかりであり、まともに戦うことも難しいだろう。なんで俺、こんな奴らを率いてんだろう。
この戦争が終わったら、きっちり鍛え直して――あ、俺除隊するんだったわ。
「うおぉぉぉぉぉぉ!!!」
怒号と共に、『切り込み隊』が突撃を仕掛ける。
動けない『ユーリア機動兵団』は、部隊から東に固まっている。俺たちは後詰めの予定だったから、西に全軍で回り込んでいたのだ。こんなことなら、おとなしくあいつらの後ろにいた方が良かったかもしれない。
だが、敵軍の注意をこちらに向けることで、『ユーリア機動兵団』の被害もまた少なくなるだろう。さすがに、湿地帯でぬかるみに足をとられて進軍できない状態だから、被害ゼロというわけにはいかないだろうが。
「足元の条件が悪いのは、向こうも同じだ! 槍で突いてやれ!」
「おう!!」
先頭の敵兵と、思い切り激突する。
だが、向こうは湿地帯での散開した戦闘を想定していたのか、長槍ではなく剣の装備だ。さすがに数の差は大きいけれど、それでも先頭を仕留めることができるとできないでは大きな差がある。
断末魔と血飛沫の中で、俺もまた戦斧を振るう。
「死んだ敵兵は、地面と同じだ! 踏みつけて足場にしろ!!」
「うす!!」
「槍構えっ!!」
密集陣形の戦い方は、極めてシンプルだ。
先頭が縦と槍で先頭の兵士を止める。そして隙間から後続の兵士が長槍を突き出し、先頭にいる兵士を倒す。敵の先頭が倒れたら、次にやってくる兵士を先頭が受け止める。
最初から密集陣形で戦うつもりの俺たちに対して、散開した戦闘を想定した装備をしている兵士というのは、的でしかない。何せ、こちらは押しとどめている間に槍で突けばいいだけの話なのだから。
「おぉぉぉぉぉぉっ!!」
戦斧を振るい、倒れた敵兵を踏みつけて、さらに次の敵兵を殺す。
戦いとは、その繰り返しだ。戦術が云々、戦場が云々、作戦が云々――そんなもの、最終的には関係ない。
敵が逃げるまで、殺し続けた方の勝ち。
それが、戦争というものの縮図だ。
「マリオン! 盾!」
「うす!!」
敵兵の襲撃に対して、俺の短い命令で盾を構えるマリオン。
マリオンは俺の背後で、常に敵からの攻撃を警戒する役割だ。こうした乱戦になった場合、俺への攻撃を防ぐのはマリオンの役目である。
まぁ、多少なら喰らっても死にはしないけれど。
「ぶち殺せぇぇぇぇぇっ!!!」
ああ、もう本当に。
今回の戦いは楽できそうだとか、そんなこと考えちゃいけないってことだよな。
どんな戦いであっても、常に真剣に。楽することばっか考えちゃいけない。
俺はそう、学びを得た。
というか、今更思ったことではあるんだが。
俺って割と、上層部から無茶を言われるわけだ。よくよく考えれば、暗部の女と一緒に敵の王城へ忍び込めとか、雲梯車に乗って敵の砦に突っ込めとか、究極は縄上り要員が俺一人とか。
俺がそういうの続けてるから、駄目なんじゃなかろうか。
いっそのこと、「さーせん、作戦がダメダメだったんで負けましたてへぺろ」と帰った方が、上層部も理解してくれるんじゃなかろうか。
よし、今後はそうしよう。無茶だめ絶対。
俺がいなきゃ負ける戦争なら、最初から負けちまえばいいんだ。
あ、ウルスラ王国との戦い?
うん、勝ったよ。
作戦通りに進めば楽できるな、と思えば作戦が失敗する。
この作戦なら大丈夫だな、と思えば作戦が失敗する。
こんな作戦上手くいくわけねぇよ、と思えば何故か作戦が成功する。
この戦いが終わったら帝都に戻るな、と思えば戦いは終わらないし帝都に戻れない。
この戦争が終わったら除隊して結婚する、と思えば戦争が全く終わってくれない。
と、まぁこんな歴史を重ねてきた結果、俺は俺の考えに疑問を持つことにした。俺が「いける!」と思ったら失敗する、俺が「これ無理だわ」と思ったら成功する、と。
まぁ、その上で考えてもらいたい。
俺は『ユーリア機動兵団』のエリート超重装部隊二千人が先頭を行くと聞いて、それだけ装備も整って練度も高い兵団であるのならば、三万もいるウルスラ王国を相手にしても十分に戦えると考えた。
超重装部隊で先陣を切り、その後ろから俺たちガーランド第五師団が後詰めとして攻め、容易にウルスラ王国を圧倒することができるだろうと、そう考えていた。
つまり。
俺の考えが一切当たらないのであれば、『ユーリア機動兵団』はものの役にも立たず、うちの師団は楽できるどころか敵全軍と戦うような結末が待っているということだ。
はっはっは、まさかそんなわけ。
「『ユーリア機動兵団』が、前方のぬかるみに嵌まって動けなくなったとのことです!」
「ですよねぇ!!」
報告に来た兵士に対して、俺はそう返すことしかできない。
そもそもユーリア王国が『ユーリア機動兵団』だけで防衛している理由って、ユーリア王国自体の気候が大きく関係している。ユーリア王国は年間に渡って穏やかな気候に恵まれた地であり、周囲に広がるのは平野ばかりなのだ。
そして、今まで他国に攻め込むということがなかったユーリア王国は、ただひたすらに他国から防衛することだけに長けた兵団を作り上げた。それが『ユーリア機動兵団』である。何せ防衛するだけならばどれほど装備が重くても関係ないし、平野地帯が広がるユーリア王国では何の妨害もない。
まぁその結果として、こうして攻め込むとあっさり身動きの取れなくなる部隊でもあるということだ。
結果として、俺たちはどうなるかというと。
三万の敵兵に対して、第五師団五千人で挑まなければならないのである。
「よっしゃ、『切り込み隊』!!」
「おう!!」
「てめぇらのノルマは、一人頭十人だ! てめぇらが一人で十人倒して、俺が残り二万を殺せば勝ちだ!」
「隊長化け物っ!!」
「うるせぇ!!」
後ろからかけられた罵声に、そう返す。
俺たち『切り込み隊』は軽装だから、この湿地帯でも問題なく戦える。というか『ユーリア機動兵団』のヘンメル将軍は、湿地帯なのに何故進軍したのだろう。俺たちでさえ、油断すれば膝まで浸かってしまうようなぬかるみも多いのに。
そして、『切り込み隊』以外の四つの部隊――彼らは貴族のぼんぼんばかりであり、まともに戦うことも難しいだろう。なんで俺、こんな奴らを率いてんだろう。
この戦争が終わったら、きっちり鍛え直して――あ、俺除隊するんだったわ。
「うおぉぉぉぉぉぉ!!!」
怒号と共に、『切り込み隊』が突撃を仕掛ける。
動けない『ユーリア機動兵団』は、部隊から東に固まっている。俺たちは後詰めの予定だったから、西に全軍で回り込んでいたのだ。こんなことなら、おとなしくあいつらの後ろにいた方が良かったかもしれない。
だが、敵軍の注意をこちらに向けることで、『ユーリア機動兵団』の被害もまた少なくなるだろう。さすがに、湿地帯でぬかるみに足をとられて進軍できない状態だから、被害ゼロというわけにはいかないだろうが。
「足元の条件が悪いのは、向こうも同じだ! 槍で突いてやれ!」
「おう!!」
先頭の敵兵と、思い切り激突する。
だが、向こうは湿地帯での散開した戦闘を想定していたのか、長槍ではなく剣の装備だ。さすがに数の差は大きいけれど、それでも先頭を仕留めることができるとできないでは大きな差がある。
断末魔と血飛沫の中で、俺もまた戦斧を振るう。
「死んだ敵兵は、地面と同じだ! 踏みつけて足場にしろ!!」
「うす!!」
「槍構えっ!!」
密集陣形の戦い方は、極めてシンプルだ。
先頭が縦と槍で先頭の兵士を止める。そして隙間から後続の兵士が長槍を突き出し、先頭にいる兵士を倒す。敵の先頭が倒れたら、次にやってくる兵士を先頭が受け止める。
最初から密集陣形で戦うつもりの俺たちに対して、散開した戦闘を想定した装備をしている兵士というのは、的でしかない。何せ、こちらは押しとどめている間に槍で突けばいいだけの話なのだから。
「おぉぉぉぉぉぉっ!!」
戦斧を振るい、倒れた敵兵を踏みつけて、さらに次の敵兵を殺す。
戦いとは、その繰り返しだ。戦術が云々、戦場が云々、作戦が云々――そんなもの、最終的には関係ない。
敵が逃げるまで、殺し続けた方の勝ち。
それが、戦争というものの縮図だ。
「マリオン! 盾!」
「うす!!」
敵兵の襲撃に対して、俺の短い命令で盾を構えるマリオン。
マリオンは俺の背後で、常に敵からの攻撃を警戒する役割だ。こうした乱戦になった場合、俺への攻撃を防ぐのはマリオンの役目である。
まぁ、多少なら喰らっても死にはしないけれど。
「ぶち殺せぇぇぇぇぇっ!!!」
ああ、もう本当に。
今回の戦いは楽できそうだとか、そんなこと考えちゃいけないってことだよな。
どんな戦いであっても、常に真剣に。楽することばっか考えちゃいけない。
俺はそう、学びを得た。
というか、今更思ったことではあるんだが。
俺って割と、上層部から無茶を言われるわけだ。よくよく考えれば、暗部の女と一緒に敵の王城へ忍び込めとか、雲梯車に乗って敵の砦に突っ込めとか、究極は縄上り要員が俺一人とか。
俺がそういうの続けてるから、駄目なんじゃなかろうか。
いっそのこと、「さーせん、作戦がダメダメだったんで負けましたてへぺろ」と帰った方が、上層部も理解してくれるんじゃなかろうか。
よし、今後はそうしよう。無茶だめ絶対。
俺がいなきゃ負ける戦争なら、最初から負けちまえばいいんだ。
あ、ウルスラ王国との戦い?
うん、勝ったよ。
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