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ジジイとババア
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ハンターギルド。
その最奥にあるのが、現在のギルド長である元S級ハンター、『無双の剣王』アレキサンダーの執務室兼私室である。簡易な寝台も、簡単なキッチンも置かれているそこは、ほとんど彼が寝泊まりをしている場所だと言っていいだろう。
そんな簡易な寝台の上で、アレキサンダーはうつ伏せになっていた。
痛む腰を押さえながら、唸るように、うつ伏せになっていた。
「邪魔するよ」
「あらあら。失礼しますね、アレク」
「……」
基本、アレキサンダーの部屋に来客があることなど滅多にない。
そもそもハンターギルド自体が閑古鳥が鳴いているものであるということもそうだが、既にハンターを引退したアレキサンダーに用事のある者というのが、基本的にいないのだ。ハンターというのは大迷宮に挑むものであり、そこから足抜けした者に用などないのである。
そんなアレキサンダーの部屋に、わざわざ訪れる相手――それは当然、元パーティメンバーである。
「なんだい、客だよ。寝てないで歓迎しな」
「ヒルダ……貴様ぁ……」
「ま、シャロン。何もないところだが、その辺にでも座りな」
「ええ、それでは失礼しますね」
「そういうのは家主である儂の役目だと思うんだがな!? うぐぅっ!」
びきぃっ、と腰に痛みが走る。
そもそもアレキサンダーとて、やりたくて寝台にうつ伏せになっているわけではないのだ。現状、この姿勢が一番落ち着くからこうしているだけである。
そして、アレキサンダーをこのような目に遭わせた相手は――。
「なんだいアレク。あの程度で寝込んじまうのかい。軟弱だねぇ」
「思い切り闘気を纏った蹴りを儂の腰に打ち込んだのはどこの誰だ!」
「お前さんなら大丈夫だと思ったんだがね」
「背後からの不意打ちで反応できるかっ! しかも儂の剣を『これくれ』とか言って持っていきおって!」
「別に減るもんじゃないだろ」
「減る! この世に一本しかないんだぞ!? 特注だぞ!? 高かったんだぞ!?」
「あー、うるさいねぇ」
アレキサンダーの叫びを、飄々と聞き流しながらソファに座るヒルデガルト。
突然部屋にやってきて、闘気を纏った若返った姿で思い切りアレキサンダーの腰に蹴りを打ち込んで、極めて自然に壁に掛けていた剣を「これくれ」の一言だけで持ち去ったヒルデガルトはまるで強盗だった。
一体何のために剣を持ち去ったのかはさっぱり分からなかったが、とりあえず剣は失われたし腰は痛むしどうしようもない状態で、這々の体で寝台に横になることしかできなかったアレキサンダーである。
「大体お前っ……うぐぅっ!」
「あらあら。アレクは動けないみたいですし、私がお茶を淹れましょうか」
「頼むよ。こいつが淹れたお茶は、不味くてとても飲めたもんじゃない」
「おやおや。そう聞くと、逆に興味がありますね。私も最近、健康にいいって聞いて苦いお茶を飲むのが日課になっていまして」
「誰が好き好んで苦いお茶を飲みたがるんだよ」
「シャロンっ! お前せめて回復してくれんか!?」
「あらあら」
元パーティメンバーの一人――『無類の癒し手』と呼ばれた最強の神官、シャロンに向けてそう叫ぶ。
四肢の欠損以外ならば、どんな傷でも治療することができたシャロン。彼女の癒しの魔術さえかけてもらえば、こんな腰痛など一瞬で消え去ってくれるだろう。
それを分かっていながら、まるで素知らぬ顔でお茶を淹れようとするシャロン。
相変わらず、ヒルデガルト曰く『服は真っ白なのに心は真っ黒』な女だ。
「仕方ありませんね。回復」
「おぉ……」
ぽわん、と腰のあたりに暖かな光が満ちる。
それと共に、少し動くたびに走っていた激痛――それが消えてゆく。現役の頃には何度となく窮地を救ってくれたそれが、再びアレキサンダーの窮地を救ってくれたらしい。
ふぅぅ、と大きく溜息を吐くと共に、アレキサンダーは体を起こす。
「ふぅ……ああ、痛かった」
「それでは、礼としてお茶を所望しますね」
「げぇ。お前さん、本気でこいつのお茶を飲む気かい?」
「苦いものは体にいいんですよ。良薬口に苦しと言うでしょう?」
「あたしはいらんよ。飲むんなら勝手に飲みな」
「お前少しくらい謝るつもりはないのか」
シャロンと話すヒルデガルトに、ジト目でそう告げる。
しかしヒルデガルトはそんなアレキサンダーに、ひゃはは、と笑みを浮かべた。
昔から、こんな風に振り回されてばかりだった。アレキサンダーは一応彼女らと同じパーティメンバーだったが、女四人にアレキサンダーというパーティ編成は、胃痛の連続だった覚えがある。
もう何を言ったところで変わりはするまい――そんな諦めにも似た気持ちで、アレキサンダーはキッチンへ向かった。
「それで、ヒルダ」
「うん?」
「儂の剣、どうしたんだ」
「弟子にくれてやったよ」
「……それならそう言え。追い剥ぎのような真似をしおって」
「言ったらくれたのかい?」
「やるか」
んべっ、と舌を出す。
そもそも、共に大迷宮を戦ってきた剣だ。あの剣と共に様々な魔物を相手に戦ってきた、最高の相棒である。今でも、夜半に剣を見ながら酒を傾けることだってあるというのに。
だが同時に、アレキサンダーはヒルデガルトに見えないように笑みを浮かべた。
それは、アレキサンダーの相棒――剣が、再び戦う場所を見つけたことに対する喜びだ。こんなギルド長室で腐っているよりは、誰かに振るわれて大迷宮に挑む方が剣も喜ぶだろう、と。
湯を沸かし、茶葉を淹れて、蒸らしてからカップに注ぐ。用意するのはアレキサンダーの分と、シャロンの分の二つだ。
「ほれ」
「ありがとう、アレク。いただきます」
「よくそんな色の付いた泥水を飲めるもんだね」
「慣れれば美味いもんだ。お前の分はないから安心しろ」
ふん、と鼻を鳴らして、アレキサンダーもソファに腰掛ける。
シャロンは嬉しそうにお茶を口に運んで、「あらあら。これは想像以上ですねぇ」と微笑んでいた。
「ふん……儂らも、年をとったもんだな」
目の前の二人――ヒルデガルトとシャロンの姿を見て、小さく嘆息。
二人とも、若い頃は美人だった。それぞれ現在も闘気と神気を纏えば元の姿に戻るが、今目の前にいる二人は皺くちゃのババアである。勿論、自分もジジイであるためそれは言わない。
それに、ババアと呼んだ瞬間に二人から拳が飛んできそうだ。
「あの頃が懐かしいですねぇ。アレクとヒルダと、アネットとクロ……大迷宮の、どこに挑んでも負ける気がしませんでしたよ」
「そうだな。儂は何度胃に穴が空くと思ったか分からんが」
「お前さん、昔から精神面が弱いからねぇ」
「儂はお前らと組んでつくづく思い知らされたわ。女は怖いってな。おかげで、今でも男やもめだ」
くくっ、とアレキサンダーが零した言葉に、ヒルデガルトとシャロンが眉を寄せた。
まるで、思い当たる節がないかのように。
「どれ、久しぶりだ」
よいしょ、とアレキサンダーは席を立つ。
そして、ギルド長室の端――普段はカーテンをかけている物置へと向かって、瓶を一つ持って戻った。
「お前たち、今日はもう終わりだろう? だったら付き合え」
「あらあら」
「なんだい。そっちなら歓迎だよ」
どんっ、とテーブルに置かれたのは年代物のワイン。
そして、元S級ハンターにして最強のハンター集団『五つの無』――その中心にいた三人の。
昔話を交えた酒盛りが、始まった。
その最奥にあるのが、現在のギルド長である元S級ハンター、『無双の剣王』アレキサンダーの執務室兼私室である。簡易な寝台も、簡単なキッチンも置かれているそこは、ほとんど彼が寝泊まりをしている場所だと言っていいだろう。
そんな簡易な寝台の上で、アレキサンダーはうつ伏せになっていた。
痛む腰を押さえながら、唸るように、うつ伏せになっていた。
「邪魔するよ」
「あらあら。失礼しますね、アレク」
「……」
基本、アレキサンダーの部屋に来客があることなど滅多にない。
そもそもハンターギルド自体が閑古鳥が鳴いているものであるということもそうだが、既にハンターを引退したアレキサンダーに用事のある者というのが、基本的にいないのだ。ハンターというのは大迷宮に挑むものであり、そこから足抜けした者に用などないのである。
そんなアレキサンダーの部屋に、わざわざ訪れる相手――それは当然、元パーティメンバーである。
「なんだい、客だよ。寝てないで歓迎しな」
「ヒルダ……貴様ぁ……」
「ま、シャロン。何もないところだが、その辺にでも座りな」
「ええ、それでは失礼しますね」
「そういうのは家主である儂の役目だと思うんだがな!? うぐぅっ!」
びきぃっ、と腰に痛みが走る。
そもそもアレキサンダーとて、やりたくて寝台にうつ伏せになっているわけではないのだ。現状、この姿勢が一番落ち着くからこうしているだけである。
そして、アレキサンダーをこのような目に遭わせた相手は――。
「なんだいアレク。あの程度で寝込んじまうのかい。軟弱だねぇ」
「思い切り闘気を纏った蹴りを儂の腰に打ち込んだのはどこの誰だ!」
「お前さんなら大丈夫だと思ったんだがね」
「背後からの不意打ちで反応できるかっ! しかも儂の剣を『これくれ』とか言って持っていきおって!」
「別に減るもんじゃないだろ」
「減る! この世に一本しかないんだぞ!? 特注だぞ!? 高かったんだぞ!?」
「あー、うるさいねぇ」
アレキサンダーの叫びを、飄々と聞き流しながらソファに座るヒルデガルト。
突然部屋にやってきて、闘気を纏った若返った姿で思い切りアレキサンダーの腰に蹴りを打ち込んで、極めて自然に壁に掛けていた剣を「これくれ」の一言だけで持ち去ったヒルデガルトはまるで強盗だった。
一体何のために剣を持ち去ったのかはさっぱり分からなかったが、とりあえず剣は失われたし腰は痛むしどうしようもない状態で、這々の体で寝台に横になることしかできなかったアレキサンダーである。
「大体お前っ……うぐぅっ!」
「あらあら。アレクは動けないみたいですし、私がお茶を淹れましょうか」
「頼むよ。こいつが淹れたお茶は、不味くてとても飲めたもんじゃない」
「おやおや。そう聞くと、逆に興味がありますね。私も最近、健康にいいって聞いて苦いお茶を飲むのが日課になっていまして」
「誰が好き好んで苦いお茶を飲みたがるんだよ」
「シャロンっ! お前せめて回復してくれんか!?」
「あらあら」
元パーティメンバーの一人――『無類の癒し手』と呼ばれた最強の神官、シャロンに向けてそう叫ぶ。
四肢の欠損以外ならば、どんな傷でも治療することができたシャロン。彼女の癒しの魔術さえかけてもらえば、こんな腰痛など一瞬で消え去ってくれるだろう。
それを分かっていながら、まるで素知らぬ顔でお茶を淹れようとするシャロン。
相変わらず、ヒルデガルト曰く『服は真っ白なのに心は真っ黒』な女だ。
「仕方ありませんね。回復」
「おぉ……」
ぽわん、と腰のあたりに暖かな光が満ちる。
それと共に、少し動くたびに走っていた激痛――それが消えてゆく。現役の頃には何度となく窮地を救ってくれたそれが、再びアレキサンダーの窮地を救ってくれたらしい。
ふぅぅ、と大きく溜息を吐くと共に、アレキサンダーは体を起こす。
「ふぅ……ああ、痛かった」
「それでは、礼としてお茶を所望しますね」
「げぇ。お前さん、本気でこいつのお茶を飲む気かい?」
「苦いものは体にいいんですよ。良薬口に苦しと言うでしょう?」
「あたしはいらんよ。飲むんなら勝手に飲みな」
「お前少しくらい謝るつもりはないのか」
シャロンと話すヒルデガルトに、ジト目でそう告げる。
しかしヒルデガルトはそんなアレキサンダーに、ひゃはは、と笑みを浮かべた。
昔から、こんな風に振り回されてばかりだった。アレキサンダーは一応彼女らと同じパーティメンバーだったが、女四人にアレキサンダーというパーティ編成は、胃痛の連続だった覚えがある。
もう何を言ったところで変わりはするまい――そんな諦めにも似た気持ちで、アレキサンダーはキッチンへ向かった。
「それで、ヒルダ」
「うん?」
「儂の剣、どうしたんだ」
「弟子にくれてやったよ」
「……それならそう言え。追い剥ぎのような真似をしおって」
「言ったらくれたのかい?」
「やるか」
んべっ、と舌を出す。
そもそも、共に大迷宮を戦ってきた剣だ。あの剣と共に様々な魔物を相手に戦ってきた、最高の相棒である。今でも、夜半に剣を見ながら酒を傾けることだってあるというのに。
だが同時に、アレキサンダーはヒルデガルトに見えないように笑みを浮かべた。
それは、アレキサンダーの相棒――剣が、再び戦う場所を見つけたことに対する喜びだ。こんなギルド長室で腐っているよりは、誰かに振るわれて大迷宮に挑む方が剣も喜ぶだろう、と。
湯を沸かし、茶葉を淹れて、蒸らしてからカップに注ぐ。用意するのはアレキサンダーの分と、シャロンの分の二つだ。
「ほれ」
「ありがとう、アレク。いただきます」
「よくそんな色の付いた泥水を飲めるもんだね」
「慣れれば美味いもんだ。お前の分はないから安心しろ」
ふん、と鼻を鳴らして、アレキサンダーもソファに腰掛ける。
シャロンは嬉しそうにお茶を口に運んで、「あらあら。これは想像以上ですねぇ」と微笑んでいた。
「ふん……儂らも、年をとったもんだな」
目の前の二人――ヒルデガルトとシャロンの姿を見て、小さく嘆息。
二人とも、若い頃は美人だった。それぞれ現在も闘気と神気を纏えば元の姿に戻るが、今目の前にいる二人は皺くちゃのババアである。勿論、自分もジジイであるためそれは言わない。
それに、ババアと呼んだ瞬間に二人から拳が飛んできそうだ。
「あの頃が懐かしいですねぇ。アレクとヒルダと、アネットとクロ……大迷宮の、どこに挑んでも負ける気がしませんでしたよ」
「そうだな。儂は何度胃に穴が空くと思ったか分からんが」
「お前さん、昔から精神面が弱いからねぇ」
「儂はお前らと組んでつくづく思い知らされたわ。女は怖いってな。おかげで、今でも男やもめだ」
くくっ、とアレキサンダーが零した言葉に、ヒルデガルトとシャロンが眉を寄せた。
まるで、思い当たる節がないかのように。
「どれ、久しぶりだ」
よいしょ、とアレキサンダーは席を立つ。
そして、ギルド長室の端――普段はカーテンをかけている物置へと向かって、瓶を一つ持って戻った。
「お前たち、今日はもう終わりだろう? だったら付き合え」
「あらあら」
「なんだい。そっちなら歓迎だよ」
どんっ、とテーブルに置かれたのは年代物のワイン。
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