8 / 19
本編
6
しおりを挟む
アテナは嬉しそうに指に魔法がかった指輪をはめる。歩くと体力が回復する指輪はレアといえばレアだ。私には必要はないけれど、喜ぶ気持ちもわかる。
ヘルメスも偵察と言っては、ガーゴイルクロークを着てガーゴイルになり、未開の場所へと飛んでいき十分と経たずに帰ってきては部屋の環境やモンスターの種類や数を、私達に説明してくれる。
そのおかげもあり、最下層のボス部屋へと辿り着き準備を始める。
「ここはすぐにモンスターが湧き出るダンジョンですか?」
「翌日の朝日とともに湧き出てくるタイプのダンジョンかと…」
ネーレウスか顎に手を当て、答えてれる。
「ならば、食事をしてからボス部屋に挑みましょう」
そう言うと、薪や鍋をセットして調理に勤しむ。
「手伝えそうな事があったら、言ってくださいませね」
「パンを切って炙ってもらっても?」
ゴンが捌いてくれた、オーク肉の筋を切り、塩と香辛料で味をつける。
底の浅い鍋で、3センチ程の厚さに切った肉をこれでもかという程下処理をして焼く。みんなパンと干し肉と乾燥させた木の実で、普段よく持たせていたなと感じる程、よく食べるのだ。
付け合せに生で食べられる、香草や野菜を付け合せお肉を大皿に乗せ食べる分を取り分けるスタイルにした。
「オークのステーキと野菜と、果実を絞った飲み物とパンしかありませんが、食して落ち着いたら、サラマンダーに立ち向かうとしましょう…」
「ダンジョンで、きちんとした食事を取れるなんて、嬉しいですわ~」
マジェスティが喜ぶ。ボス戦前と言うのに私も含めて緊張感が足りないかもしれない。
アテナも自分が中心じゃないと、面白くない様だけど胃袋を掴んできたらしい。最近もツンツンとした態度を取ってはいるけれど、食事を作ると小さい声で「ありがとう」と言ってきたり、可愛い所もあるので一見すると自己中心的にも見える言動にもなれてきた。
皆で食を囲み、サラマンダーの特性を考えながら、どう戦うかを相談しながら、氷の魔法を中心にしてとか、攻撃頻度が下がる様にスロウの魔法が必要だとか…、話し合いながら食事を取った。
ヘルメスだけポツリと離れた場所で、食事をしている。
いつも一人でいるヘルメス。だからといって彼は、私達の話を聞いていない訳ではないらしい。耳を澄ませて聞いているだけ。あまり会話に入って来ない。
そんな彼がなぜだかいつも気になって、目で追ってしまう。うまく仲良くなれないからか、気になってしまうのかしらと少し思う。もっと皆さんと仲良くなれればいいのに…、そう思うと無意識に溜息が溢れた。
そんな私を熱く見ていた、オイジュスとネーレウス の視線に、私が気がつく事はなかった。
ヘルメスも偵察と言っては、ガーゴイルクロークを着てガーゴイルになり、未開の場所へと飛んでいき十分と経たずに帰ってきては部屋の環境やモンスターの種類や数を、私達に説明してくれる。
そのおかげもあり、最下層のボス部屋へと辿り着き準備を始める。
「ここはすぐにモンスターが湧き出るダンジョンですか?」
「翌日の朝日とともに湧き出てくるタイプのダンジョンかと…」
ネーレウスか顎に手を当て、答えてれる。
「ならば、食事をしてからボス部屋に挑みましょう」
そう言うと、薪や鍋をセットして調理に勤しむ。
「手伝えそうな事があったら、言ってくださいませね」
「パンを切って炙ってもらっても?」
ゴンが捌いてくれた、オーク肉の筋を切り、塩と香辛料で味をつける。
底の浅い鍋で、3センチ程の厚さに切った肉をこれでもかという程下処理をして焼く。みんなパンと干し肉と乾燥させた木の実で、普段よく持たせていたなと感じる程、よく食べるのだ。
付け合せに生で食べられる、香草や野菜を付け合せお肉を大皿に乗せ食べる分を取り分けるスタイルにした。
「オークのステーキと野菜と、果実を絞った飲み物とパンしかありませんが、食して落ち着いたら、サラマンダーに立ち向かうとしましょう…」
「ダンジョンで、きちんとした食事を取れるなんて、嬉しいですわ~」
マジェスティが喜ぶ。ボス戦前と言うのに私も含めて緊張感が足りないかもしれない。
アテナも自分が中心じゃないと、面白くない様だけど胃袋を掴んできたらしい。最近もツンツンとした態度を取ってはいるけれど、食事を作ると小さい声で「ありがとう」と言ってきたり、可愛い所もあるので一見すると自己中心的にも見える言動にもなれてきた。
皆で食を囲み、サラマンダーの特性を考えながら、どう戦うかを相談しながら、氷の魔法を中心にしてとか、攻撃頻度が下がる様にスロウの魔法が必要だとか…、話し合いながら食事を取った。
ヘルメスだけポツリと離れた場所で、食事をしている。
いつも一人でいるヘルメス。だからといって彼は、私達の話を聞いていない訳ではないらしい。耳を澄ませて聞いているだけ。あまり会話に入って来ない。
そんな彼がなぜだかいつも気になって、目で追ってしまう。うまく仲良くなれないからか、気になってしまうのかしらと少し思う。もっと皆さんと仲良くなれればいいのに…、そう思うと無意識に溜息が溢れた。
そんな私を熱く見ていた、オイジュスとネーレウス の視線に、私が気がつく事はなかった。
0
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説
最悪なお見合いと、執念の再会
当麻月菜
恋愛
伯爵令嬢のリシャーナ・エデュスは学生時代に、隣国の第七王子ガルドシア・フェ・エデュアーレから告白された。
しかし彼は留学期間限定の火遊び相手を求めていただけ。つまり、真剣に悩んだあの頃の自分は黒歴史。抹消したい過去だった。
それから一年後。リシャーナはお見合いをすることになった。
相手はエルディック・アラド。侯爵家の嫡男であり、かつてリシャーナに告白をしたクズ王子のお目付け役で、黒歴史を知るただ一人の人。
最低最悪なお見合い。でも、もう片方は執念の再会ーーの始まり始まり。
婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました
Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。
順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。
特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。
そんなアメリアに対し、オスカーは…
とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。
すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。
そこで私は一人の男の人と出会う。
「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」
そんな言葉をかけてきた彼。
でも私には秘密があった。
「キミ・・・目が・・?」
「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」
ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。
「お願いだから俺を好きになって・・・。」
その言葉を聞いてお付き合いが始まる。
「やぁぁっ・・!」
「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」
激しくなっていく夜の生活。
私の身はもつの!?
※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
では、お楽しみください。
帰らなければ良かった
jun
恋愛
ファルコン騎士団のシシリー・フォードが帰宅すると、婚約者で同じファルコン騎士団の副隊長のブライアン・ハワードが、ベッドで寝ていた…女と裸で。
傷付いたシシリーと傷付けたブライアン…
何故ブライアンは溺愛していたシシリーを裏切ったのか。
*性被害、レイプなどの言葉が出てきます。
気になる方はお避け下さい。
・8/1 長編に変更しました。
・8/16 本編完結しました。
死んで巻き戻りましたが、婚約者の王太子が追いかけて来ます。
拓海のり
恋愛
侯爵令嬢のアリゼは夜会の時に血を吐いて死んだ。しかし、朝起きると時間が巻き戻っていた。二度目は自分に冷たかった婚約者の王太子フランソワや、王太子にべったりだった侯爵令嬢ジャニーヌのいない隣国に留学したが──。
一万字ちょいの短編です。他サイトにも投稿しています。
残酷表現がありますのでR15にいたしました。タイトル変更しました。
多産を見込まれて嫁いだ辺境伯家でしたが旦那様が閨に来ません。どうしたらいいのでしょう?
あとさん♪
恋愛
「俺の愛は、期待しないでくれ」
結婚式当日の晩、つまり初夜に、旦那様は私にそう言いました。
それはそれは苦渋に満ち満ちたお顔で。そして呆然とする私を残して、部屋を出て行った旦那様は、私が寝た後に私の上に伸し掛かって来まして。
不器用な年上旦那さまと割と飄々とした年下妻のじれじれラブ(を、目指しました)
※序盤、主人公が大切にされていない表現が続きます。ご気分を害された場合、速やかにブラウザバックして下さい。ご自分のメンタルはご自分で守って下さい。
※小説家になろうにも掲載しております
【完結】初夜の晩からすれ違う夫婦は、ある雨の晩に心を交わす
春風由実
恋愛
公爵令嬢のリーナは、半年前に侯爵であるアーネストの元に嫁いできた。
所謂、政略結婚で、結婚式の後の義務的な初夜を終えてからは、二人は同じ邸内にありながらも顔も合わせない日々を過ごしていたのだが──
ある雨の晩に、それが一変する。
※六話で完結します。一万字に足りない短いお話。ざまぁとかありません。ただただ愛し合う夫婦の話となります。
※「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載中です。
王宮医務室にお休みはありません。~休日出勤に疲れていたら、結婚前提のお付き合いを希望していたらしい騎士さまとデートをすることになりました。~
石河 翠
恋愛
王宮の医務室に勤める主人公。彼女は、連続する遅番と休日出勤に疲れはてていた。そんなある日、彼女はひそかに片思いをしていた騎士ウィリアムから夕食に誘われる。
食事に向かう途中、彼女は憧れていたお菓子「マリトッツォ」をウィリアムと美味しく食べるのだった。
そして休日出勤の当日。なぜか、彼女は怒り心頭の男になぐりこまれる。なんと、彼女に仕事を押しつけている先輩は、父親には自分が仕事を押しつけられていると話していたらしい。
しかし、そんな先輩にも実は誰にも相談できない事情があったのだ。ピンチに陥る彼女を救ったのは、やはりウィリアム。ふたりの距離は急速に近づいて……。
何事にも真面目で一生懸命な主人公と、誠実な騎士との恋物語。
扉絵は管澤捻さまに描いていただきました。
小説家になろう及びエブリスタにも投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる