39 / 50
天敵
天敵6★
しおりを挟む
ホットケーキを食べ始めると、普段表情の変わらない印象のロゼくんも、嬉しそうに紅茶を口に含み、切り分けたホットケーキにアイスとたっぷりのメープルシロップをかけてパクリ。
可愛くて見つめていると、「美味しい……」と天使のような笑顔で微笑まれた。
おショタでも笑顔の破壊力やばい……。もう少しパワーを抑えてくれてもいいんですよ?
私も紅茶を飲み、残りのホットケーキを食べていく。
『みんないつもたくさん食べるけど足りたのかな?』そんな事を考えて、みんなの様子を見ていると、千鶴さんがポソリと呟いた。
「これはまた……、凄いね」
「僕、ここまで妖力上がった事あったかな……?」
「私も……」
みんなが口にしたのはそんな言葉。
「樹里さんのお料理…の力……」
「え?」
私はみんなの言葉の意図が読み取れなくて、間抜けな声をあげたかもしれない…。
「前に話したかもしれませんが、樹里さんのお料理は…、ここの土地柄もあるのでしょうが、妖力が増えるんです。だから僕の怪我はすぐに治った」
そこまではわかりましたか? と言いたげに、雪くんは私の目を見つめる。コクリと頷く私。
「そして個体差はあると思うのだけど、一人一人に妖力の上限があるんです。成長とともに変化はしますが……、その変わらないはずの上限を爆発的に上げる何かが、先程食べたホットケーキかロイヤルミルクティーのどれかに入っていますね?」
「え? 爆発的にって? 確かに林檎とバニラビーンズを出してもらう時に、雪くんのあやかしの木さんに、妖力あげれる効果つけられるならと、お願いはしてみたけど……」
「そういう事でしたか……。恐らく樹里ちゃんも、あやかしの木の食物を食べているから、もともと霊感といった力はあったと思うのですが、それらの力が上昇してるのかもしれませんね……」
★★★
顎に手を当て考え込む仕草をする千鶴さん。
「へっ?」
なんだろう。今サラリととんでもない事言われなかったかな??
「樹里さんの、今後の事にも絡んでくるから、対策は練らなきゃね。とりあえずこれならもしかしたら雷無効の効果出せるかもしれないね……どのくらい持続するのかも、気にしなきゃいけないけど」
そう言うと、いい笑顔を浮かべる詩紋ちゃん。
「うん…。樹里さんを傷つけた…、お返し出来そう…」
あれれ?
なんか…、みんなのオーラが黒くなっていってるような……。
「樹里さんのお陰で、更なる対抗策が見つかりそうです。ありがとうございます」
そう言って雪くんが、私の横に来て片膝をつく。私の手を取り、手の甲へと口づける。こういうの……、乙女ゲームやなんかの夢シチュエーションですねー! ……って何で私がされてるの! 執事服だから似合ってるのが何だか困る……。
混乱の中、食器を片付けようとすると、「ボクらがやる……。お仕事進めてきて…?」と仕事部屋へ、小首を傾げたあざと可愛いロゼくんに、連れて行かれる私だった。
考えることはたくさんあるのにまとまらないし、皆の言う通り今は仕事しよう。
可愛くて見つめていると、「美味しい……」と天使のような笑顔で微笑まれた。
おショタでも笑顔の破壊力やばい……。もう少しパワーを抑えてくれてもいいんですよ?
私も紅茶を飲み、残りのホットケーキを食べていく。
『みんないつもたくさん食べるけど足りたのかな?』そんな事を考えて、みんなの様子を見ていると、千鶴さんがポソリと呟いた。
「これはまた……、凄いね」
「僕、ここまで妖力上がった事あったかな……?」
「私も……」
みんなが口にしたのはそんな言葉。
「樹里さんのお料理…の力……」
「え?」
私はみんなの言葉の意図が読み取れなくて、間抜けな声をあげたかもしれない…。
「前に話したかもしれませんが、樹里さんのお料理は…、ここの土地柄もあるのでしょうが、妖力が増えるんです。だから僕の怪我はすぐに治った」
そこまではわかりましたか? と言いたげに、雪くんは私の目を見つめる。コクリと頷く私。
「そして個体差はあると思うのだけど、一人一人に妖力の上限があるんです。成長とともに変化はしますが……、その変わらないはずの上限を爆発的に上げる何かが、先程食べたホットケーキかロイヤルミルクティーのどれかに入っていますね?」
「え? 爆発的にって? 確かに林檎とバニラビーンズを出してもらう時に、雪くんのあやかしの木さんに、妖力あげれる効果つけられるならと、お願いはしてみたけど……」
「そういう事でしたか……。恐らく樹里ちゃんも、あやかしの木の食物を食べているから、もともと霊感といった力はあったと思うのですが、それらの力が上昇してるのかもしれませんね……」
★★★
顎に手を当て考え込む仕草をする千鶴さん。
「へっ?」
なんだろう。今サラリととんでもない事言われなかったかな??
「樹里さんの、今後の事にも絡んでくるから、対策は練らなきゃね。とりあえずこれならもしかしたら雷無効の効果出せるかもしれないね……どのくらい持続するのかも、気にしなきゃいけないけど」
そう言うと、いい笑顔を浮かべる詩紋ちゃん。
「うん…。樹里さんを傷つけた…、お返し出来そう…」
あれれ?
なんか…、みんなのオーラが黒くなっていってるような……。
「樹里さんのお陰で、更なる対抗策が見つかりそうです。ありがとうございます」
そう言って雪くんが、私の横に来て片膝をつく。私の手を取り、手の甲へと口づける。こういうの……、乙女ゲームやなんかの夢シチュエーションですねー! ……って何で私がされてるの! 執事服だから似合ってるのが何だか困る……。
混乱の中、食器を片付けようとすると、「ボクらがやる……。お仕事進めてきて…?」と仕事部屋へ、小首を傾げたあざと可愛いロゼくんに、連れて行かれる私だった。
考えることはたくさんあるのにまとまらないし、皆の言う通り今は仕事しよう。
0
お気に入りに追加
27
あなたにおすすめの小説
離縁の雨が降りやめば
月ヶ瀬 杏
キャラ文芸
龍の眷属と言われる竜堂家に生まれた葵は、三つのときに美雲神社の一つ目の龍神様の花嫁になった。
これは、龍の眷属である竜堂家が行わなければいけない古くからの習わしで、花嫁が十六で龍神と離縁する。
花嫁が十六歳の誕生日を迎えると、不思議なことに大量の雨が降る。それは龍神が花嫁を現世に戻すために降らせる離縁の雨だと言われていて、雨は三日三晩降り続いたのちに止むのが常だが……。
葵との離縁の雨は降りやまず……。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
彩鬼万華鏡奇譚 天の足夜のきせきがたり
響 蒼華
キャラ文芸
元は令嬢だったあやめは、現在、女中としてある作家の家で働いていた。
紡ぐ文章は美しく、されど生活能力皆無な締め切り破りの問題児である玄鳥。
手のかかる雇い主の元の面倒見ながら忙しく過ごす日々、ある時あやめは一つの万華鏡を見つける。
持ち主を失ってから色を無くした、何も映さない万華鏡。
その日から、月の美しい夜に玄鳥は物語をあやめに聞かせるようになる。
彩の名を持つ鬼と人との不思議な恋物語、それが語られる度に万華鏡は色を取り戻していき……。
過去と現在とが触れあい絡めとりながら、全ては一つへと収束していく――。
※時代設定的に、現代では女性蔑視や差別など不適切とされる表現等がありますが、差別や偏見を肯定する意図はありません。
イラスト:Suico 様
大正ロマン恋物語 ~将校様とサトリな私のお試し婚~
菱沼あゆ
キャラ文芸
華族の三条家の跡取り息子、三条行正と見合い結婚することになった咲子。
だが、軍人の行正は、整いすぎた美形な上に、あまりしゃべらない。
蝋人形みたいだ……と見合いの席で怯える咲子だったが。
実は、咲子には、人の心を読めるチカラがあって――。
毒小町、宮中にめぐり逢ふ
鈴木しぐれ
キャラ文芸
🌸完結しました🌸生まれつき体に毒を持つ、藤原氏の娘、菫子(すみこ)。毒に詳しいという理由で、宮中に出仕することとなり、帝の命を狙う毒の特定と、その首謀者を突き止めよ、と命じられる。
生まれつき毒が効かない体質の橘(たちばなの)俊元(としもと)と共に解決に挑む。
しかし、その調査の最中にも毒を巡る事件が次々と起こる。それは菫子自身の秘密にも関係していて、ある真実を知ることに……。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
海の見える家で……
梨香
キャラ文芸
祖母の突然の死で十五歳まで暮らした港町へ帰った智章は見知らぬ女子高校生と出会う。祖母の死とその女の子は何か関係があるのか? 祖母の死が切っ掛けになり、智章の特殊能力、実父、義理の父、そして奔放な母との関係などが浮き彫りになっていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる