上 下
22 / 33
番外編

鉱山へ。

しおりを挟む
 私が恐恐と打ち明けたあと、「どうせろくな奴いないし、しばらくあの扉は使わなくても、生きていけるよ」

 シルも雨夏うかも、玄関の扉を見、そう言った。

「そうだね。でももう一つ隠し事があって…。本来の自分私は、黒い髪に茶目だったの。でも何故だか、以前ゲームで使ってた名前と、デザインした金髪、グリーンの瞳に、気がついたらなってたの。玄関の祖とのあの世界に行く迄には、本来の私の色に戻してもいい?」

『確か髪型や髪色、瞳の色とか見た目変えるお店、近々オープンするんじゃないっけ? オープンを期に変えちゃえば? 僕も肌色とか変えちゃおうかな…」

「シルのイメチェン格好いいと思う! 布とかも作ると洋服も色んな種類作れるよね。そこら辺も充実させたい」

『ワタシは関係なさそうで淋しい…』

雨夏うかも毛色は変えられそうだけど、私は、そのままの雨夏うかが好きだな…」

 そう言うと、満更でもない様子で『玄関から外出する時だけ普通っぽい色にする…』

 そんな事を話していると、シルがその場を纏めるみたいに言う。

「今日は鉱石を取りに行くんでしょ? 準備しないと…」

「そうだった……。種メイカーや糸メイカーとか鉱石メイカーとか作りたいから頑張ろう!お料理のレパートリー増えるしね! まずは初級の鉱山頑張ろう~」



「なんか思ったより狭いね……。んで、下に続く階段まであんまりないね」

「ゲームだとあまり時間ないからじゃないのかな。でもこの岩ハンマーで叩くと鉄鉱石出るみたいだよ。初級だし、ハンマーの威力上げたり、まず出来る事やろう。雨夏うか、これ持っててくれる?」

『わかった~』

 そう言って採れるだけ採って、最下層まで降りて、牧場へと帰る。ゲームのシステムのおかげで、ハシゴを一つ登ると外に出られるのは楽だ。ゲームシステム様々である。

 雨夏うかは、ハシゴの上り下りとハンマーで鉱石を叩くのは難しいので、基本荷物持ちで、ハシゴの上り下りの時には、シルの肩に乗っている。

『人の形になれれば、出来る事が増えるのに~』

 そう言って悔しがってる。確かに人になれたら、それはそれで可愛いと思うのでいつか変身できるといいねなんて話してる。

 でもシルは、街の女の子にすごく人気があるから、私との子と思われたらどうしよう……。なんて考えても仕方の無い事に時間を費やしてしまった。

 シルと私がそんな関係になるわけないじゃない……。なんとなくモヤモヤする気持ちを抱えたけれど、格好いい元王子様と恋に落ちるなんて、そんな事はありえない…。私はそう芽生えかけた何かを振り払った。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

美しい公爵様の、凄まじい独占欲と溺れるほどの愛

らがまふぃん
恋愛
 こちらは以前投稿いたしました、 美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛 の続編となっております。前作よりマイルドな作品に仕上がっておりますが、内面のダークさが前作よりはあるのではなかろうかと。こちらのみでも楽しめるとは思いますが、わかりづらいかもしれません。よろしかったら前作をお読みいただいた方が、より楽しんでいただけるかと思いますので、お時間の都合のつく方は、是非。時々予告なく残酷な表現が入りますので、苦手な方はお控えください。 *早速のお気に入り登録、しおり、エールをありがとうございます。とても励みになります。前作もお読みくださっている方々にも、多大なる感謝を! ※R5.7/23本編完結いたしました。たくさんの方々に支えられ、ここまで続けることが出来ました。本当にありがとうございます。ばんがいへんを数話投稿いたしますので、引き続きお付き合いくださるとありがたいです。この作品の前作が、お気に入り登録をしてくださった方が、ありがたいことに200を超えておりました。感謝を込めて、前作の方に一話、近日中にお届けいたします。よろしかったらお付き合いください。 ※R5.8/6ばんがいへん終了いたしました。長い間お付き合いくださり、また、たくさんのお気に入り登録、しおり、エールを、本当にありがとうございました。 ※R5.9/3お気に入り登録200になっていました。本当にありがとうございます(泣)。嬉しかったので、一話書いてみました。 ※R5.10/30らがまふぃん活動一周年記念として、一話お届けいたします。 ※R6.1/27美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛(前作) と、こちらの作品の間のお話し 美しく冷酷な公爵令息様の、狂おしい熱情に彩られた愛 始めました。お時間の都合のつく方は、是非ご一読くださると嬉しいです。 *らがまふぃん活動二周年記念として、R6.11/4に一話お届けいたします。少しでも楽しんでいただけますように。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る

家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。 しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。 仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。 そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。

鶯埜 餡
恋愛
 ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。  しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

完結 幽閉された王女

音爽(ネソウ)
ファンタジー
愛らしく育った王女には秘密があった。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

処理中です...