君と一緒に。

皇ひびき

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番外編

新生活

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 比較的すぐに新居が決まり、私達は薬草を取ったり、魔物を狩ったりして生計を立て始めた。

 今日は公国の双子の王子様と王女様の生誕祭らしい。私の国では不吉とされる双子だけれど、この国では関係ないらしく、仲の良い兄妹として10歳を迎えているらしい。あと一人、8歳を迎えたばかりの王子様がいて、3人兄妹らしい。  

 若々しいレイス・ディ・ラスター王とレイシア・ディ・ラスター王妃を挟む様にして子供達が馬車から手をふる。

「お前もパレードするまではいかなくても、幸せな生活が出来たんじゃないのか?」

 通り過ぎるパレードの馬車を横目に、レオンがいう。

「うーん。でも親の言いなりになって生きるより、大変でもレオンとの暮らしのほうが楽しいよ」

「そ…、そうか…」

 そう言いながら、顔を反らすレオンの耳は心做しか赤く感じる。

 レオンとの生活も3ヶ月は過ぎただろうか。一緒にいる事が当たり前の様に感じてきて、いつか離れるのかもしれない…そんな日が訪れるのが怖いくらいだ。

「いつかレオンともお別れしなくちゃいけないのかな…、そんな日が来なければいいのに…」

 思わず私から漏れた本音にレオンは目を瞠る。

「我の時間からすれば、人間の時間などあっという間に過ぎて行く。ローゼが嫌だと言うまでは居てやるさ」

 真っ赤な顔してそんな事を言ってくれるドラゴンに感無量だ。

「レオン……、好きよ。ずっと私のそばにいて」


 吸い寄せられる様に、唇を合わせ思いを伝える。


 時は過ぎて…。
 私とレオンは、お金を貯めながら生計を立て、2年程で二人の子供に恵まれた。

 彼似の女の子に、年子の私似の男の子。男の子はレオンに似た方が美形なのに。けれど二人共愛らしくて仕方ない。


 大きくなるまで、時の流れは人間と同じらしい。大人になるに連れ時間の流れが緩やかになるらしい。姿を変えながら、彼らはこの土地に住み続けるのかもしれない。


 私がいつか儚くなっても、ハーフドラゴンの私達の愛しい子供達が、レオンの傍らについていてくれるだろう。愛しい彼や子供を残して逝ってしまうのは辛い。

 けれど、そうやって命や思いを、これからレオンも、私達の子供達も繋いで行くのだろう。

 私にとっては気の遠くなる程長い時間。レオンと子供達にとっては、僅かばかりの時。

 そんな時を、大切に素敵な思い出いっぱいの日々でいっぱい紡ぎたい。

 笑顔であなた達と過ごせて幸せだった。そう胸を張って言える日々を、あなた達と築いていきたい。

 そうあれる私で、ずっと居続けたいと切に願う。
 愛しい彼らと一緒に。
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