56 / 88
本編
53
しおりを挟む
私は、作ったぬか床に辛子や皮を剥いた生姜の欠片、唐辛子、皮を剥いたにんにくを混ぜ込み、クズ野菜を漬け込む。
「この中の野菜はたべるのですか?」
料理長のラフェルさんが、不思議そうに聞いてきた。
「余分な塩分を野菜に吸わせたいのと、味を馴染ませるために漬けたものなので、しょっぱくて食べられない事が多いです。それ以降に漬けた物を、箸休めに食べたりする、お漬物というものです」
そういうと、クズ野菜をつけるのが不思議なのか、しきりに容疑を見ていた。
多めの油を鍋に入れ火を点ける。まずは水につけていたじゃがいもの水分を切り揚げていく。
口で指示を出しながら、唐揚げ用の肉の水分を取り、小麦粉をまぶしてもらう。
揚げ上がったフライドポテトに塩を振る。冷まさないように人数分を取り、アイテムバッグにしまう。
「味見してみて」
無意識に、一つのフライドポテトを、レイス様にあ~んをしていた。それに動揺したレイス様が、恐る恐る口に咥えた。
家族といる時に普通に味見を頼んでいたのだから、する側となるとどうということはない。ただの習慣なんだから、自分が仕出かした事に気がつきもしなかった。
他のみんなも居心地悪そうに食べていたけど、美味しいと喜ばれた。
「美味しいよ……」
口をモグモグ動かして、落ち着いた頃に、レイス様に言われた。
「良かった!」
嬉しくて笑顔を見せると、レイス様はなぜだかそっぽを向いた。
『油扱ってるし、熱いのかなー』などと、その時の私は検討外れなことを思っていた。
「カラアゲの準備が出来ました!」
ミランさんに下準備も頼んでいたので、声をかけられた。
「ありがとうございます」
そういうとミランさんから、小麦粉をまぶした肉を渡され、次々と揚げていく。大体、体感で1分くらいで、お皿に乗せて余熱で火を通す。
全部揚げ上がった頃に、白米の炊けるいい匂いがしてきた。
1分半くらい経ったかな。そろそろ余熱で火が通っているので、あとは色にをつける意味で、もう一度揚げていく。
きつね色に揚がった頃にまたお皿に乗せる。また人数分小皿に取ると、無意識に熱いですから気をつけてくださいね。
フーフー吐息を吹きかけて、「はいどうぞ」というと、「人前だし少し照れる…かな…」と言われた。
「すみません! 無意識でした! 家族に味見頼む時にいつもこんな感じだったのでごめんなさい…」
「慣れないから照れるだけで、嫌ではないよ…?」
そういうと、薔薇の様に頬を染めて、レイス様は唐揚げを食べてくれた。
癖って怖い……。そう痛感した瞬間だった。
「この中の野菜はたべるのですか?」
料理長のラフェルさんが、不思議そうに聞いてきた。
「余分な塩分を野菜に吸わせたいのと、味を馴染ませるために漬けたものなので、しょっぱくて食べられない事が多いです。それ以降に漬けた物を、箸休めに食べたりする、お漬物というものです」
そういうと、クズ野菜をつけるのが不思議なのか、しきりに容疑を見ていた。
多めの油を鍋に入れ火を点ける。まずは水につけていたじゃがいもの水分を切り揚げていく。
口で指示を出しながら、唐揚げ用の肉の水分を取り、小麦粉をまぶしてもらう。
揚げ上がったフライドポテトに塩を振る。冷まさないように人数分を取り、アイテムバッグにしまう。
「味見してみて」
無意識に、一つのフライドポテトを、レイス様にあ~んをしていた。それに動揺したレイス様が、恐る恐る口に咥えた。
家族といる時に普通に味見を頼んでいたのだから、する側となるとどうということはない。ただの習慣なんだから、自分が仕出かした事に気がつきもしなかった。
他のみんなも居心地悪そうに食べていたけど、美味しいと喜ばれた。
「美味しいよ……」
口をモグモグ動かして、落ち着いた頃に、レイス様に言われた。
「良かった!」
嬉しくて笑顔を見せると、レイス様はなぜだかそっぽを向いた。
『油扱ってるし、熱いのかなー』などと、その時の私は検討外れなことを思っていた。
「カラアゲの準備が出来ました!」
ミランさんに下準備も頼んでいたので、声をかけられた。
「ありがとうございます」
そういうとミランさんから、小麦粉をまぶした肉を渡され、次々と揚げていく。大体、体感で1分くらいで、お皿に乗せて余熱で火を通す。
全部揚げ上がった頃に、白米の炊けるいい匂いがしてきた。
1分半くらい経ったかな。そろそろ余熱で火が通っているので、あとは色にをつける意味で、もう一度揚げていく。
きつね色に揚がった頃にまたお皿に乗せる。また人数分小皿に取ると、無意識に熱いですから気をつけてくださいね。
フーフー吐息を吹きかけて、「はいどうぞ」というと、「人前だし少し照れる…かな…」と言われた。
「すみません! 無意識でした! 家族に味見頼む時にいつもこんな感じだったのでごめんなさい…」
「慣れないから照れるだけで、嫌ではないよ…?」
そういうと、薔薇の様に頬を染めて、レイス様は唐揚げを食べてくれた。
癖って怖い……。そう痛感した瞬間だった。
1
お気に入りに追加
109
あなたにおすすめの小説
妹が私の婚約者を奪うのはこれで九度目のことですが、父も私も特に気にしていません。なぜならば……
オコムラナオ
恋愛
「お前なんてもういらないから。別れてくれ。
代わりに俺は、レピアさんと婚約する」
妹のレピアに婚約者を奪われたレフィー侯爵令嬢は、「ああ、またか」と思った。
これまでにも、何度も妹に婚約者を奪われてきた。
しかしレフィー侯爵令嬢が、そのことを深く思い悩む様子はない。
彼女は胸のうちに、ある秘密を抱えていた。
見捨てられたのは私
梅雨の人
恋愛
急に振り出した雨の中、目の前のお二人は急ぎ足でこちらを振り返ることもなくどんどん私から離れていきます。
ただ三人で、いいえ、二人と一人で歩いていただけでございました。
ぽつぽつと振り出した雨は勢いを増してきましたのに、あなたの妻である私は一人取り残されてもそこからしばらく動くことができないのはどうしてなのでしょうか。いつものこと、いつものことなのに、いつまでたっても惨めで悲しくなるのです。
何度悲しい思いをしても、それでもあなたをお慕いしてまいりましたが、さすがにもうあきらめようかと思っております。
【完結】あなただけが特別ではない
仲村 嘉高
恋愛
お飾りの王妃が自室の窓から飛び降りた。
目覚めたら、死を選んだ原因の王子と初めて会ったお茶会の日だった。
王子との婚約を回避しようと頑張るが、なぜか周りの様子が前回と違い……?
【書籍化決定】断罪後の悪役令嬢に転生したので家事に精を出します。え、野獣に嫁がされたのに魔法が解けるんですか?
氷雨そら
恋愛
皆さまの応援のおかげで、書籍化決定しました!
気がつくと怪しげな洋館の前にいた。後ろから私を乱暴に押してくるのは、攻略対象キャラクターの兄だった。そこで私は理解する。ここは乙女ゲームの世界で、私は断罪後の悪役令嬢なのだと、
「お前との婚約は破棄する!」というお約束台詞が聞けなかったのは残念だったけれど、このゲームを私がプレイしていた理由は多彩な悪役令嬢エンディングに惚れ込んだから。
しかも、この洋館はたぶんまだ見ぬプレミアム裏ルートのものだ。
なぜか、新たな婚約相手は現れないが、汚れた洋館をカリスマ家政婦として働いていた経験を生かしてぴかぴかにしていく。
そして、数日後私の目の前に現れたのはモフモフの野獣。そこは「野獣公爵断罪エンド!」だった。理想のモフモフとともに、断罪後の悪役令嬢は幸せになります!
✳︎ 小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
【完結】わたしはお飾りの妻らしい。 〜16歳で継母になりました〜
たろ
恋愛
結婚して半年。
わたしはこの家には必要がない。
政略結婚。
愛は何処にもない。
要らないわたしを家から追い出したくて無理矢理結婚させたお義母様。
お義母様のご機嫌を悪くさせたくなくて、わたしを嫁に出したお父様。
とりあえず「嫁」という立場が欲しかった旦那様。
そうしてわたしは旦那様の「嫁」になった。
旦那様には愛する人がいる。
わたしはお飾りの妻。
せっかくのんびり暮らすのだから、好きなことだけさせてもらいますね。
(完結)戦死したはずの愛しい婚約者が妻子を連れて戻って来ました。
青空一夏
恋愛
私は侯爵家の嫡男と婚約していた。でもこれは私が望んだことではなく、彼の方からの猛アタックだった。それでも私は彼と一緒にいるうちに彼を深く愛するようになった。
彼は戦地に赴きそこで戦死の通知が届き・・・・・・
これは死んだはずの婚約者が妻子を連れて戻って来たというお話。記憶喪失もの。ざまぁ、異世界中世ヨーロッパ風、ところどころ現代的表現ありのゆるふわ設定物語です。
おそらく5話程度のショートショートになる予定です。→すみません、短編に変更。5話で終われなさそうです。
呪われた悪役令嬢は隣国の王太子に溺愛される
伽羅
恋愛
交通事故に遭って死んだはずなのに、気が付けば猫になっていた。
前世の記憶と共に、昨夜の夜会でセドリック王太子に婚約解消を告げられた事を思い出す。
そしてセドリック王太子の傍らには妹のキャロリンの姿が…。
猫になった私は家を追い出され、彷徨っている所を偶然通りかかった人物に拾われて…。
各話のタイトルで少し遊んじゃってます。
笑って流していただけると幸せます。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる