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本編

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 あの後、2台のスマホが作られて、初めてスマホに触れた3人が、写真やメッセージにハマってしまうのは仕方ないのかもしれない。

 メールに3人を撮った画像を添付すると、すごく喜ばれた。

「違う場所にいても、風景の共有も出来そうで画期的だね。スマホの作り方は、お父様以外に構築できる方法が見つかるまで、売り出したりはしない方がいいね」

「レイちゃんが、未来へつながる架け橋アルクだと嗅ぎつけられるかもしれないものね……」

「ウシやニワトリに関しては、自領の未開の森で見つけた事にするつもりだ。それの繁殖を成功させたとな」

 顎に手を当て、お父様が言った。

「ご迷惑をおかけします。前に頂いた四角い容器で作った石鹸です。手を洗う時に使ってみてください」

「試してみたらこんなにすべすべになったのよ!」

 石鹸を思い出して、ご満悦な様子のお母様が言う。

「ラベンダーと薔薇の香りか…。薔薇は貴婦人に好まれそうだね」

 興味深そうに石鹸を見つめるお父様に、触って触ってとアピールするお母様。なんだか見ていて微笑ましい。

「後は、オレンジのオイルとか、グレープフルーツのオイルとかはすぐ出来ると思います。あとはミントオイルも取ったら、暑い日には汗が引くので、最高だと思います。ただオイルの抽出機をそれぞれ準備しないといけないので、今は作ってません」

「なんで?」

 不思議そうに、レイス様が聞いてくる。

「なんでって…、匂い移っちゃうじゃないですか…」

 困ったように私が言うと、フッと笑って言う。

「クリーンの魔法で匂いも消えるよ? 僕が消してあげるよ。その後、褒めては欲しいけど…」

 な…、な…、なんかレイス様が、甘えたさんオーラ出してて可愛い~~…。好き過ぎて辛いってこういう事なの!?

「撫でてあげたらいいのですか?」

 素でそう聞くと、レイス様は信じ難い事を言った。

「それも捨てがたいけど、頬にキスで手を打とうかな?」

「「ずるいっ!」」

「へっ?」

 お父様もお母様も信じがたい事に参戦する構えのようだ。

 私には断るという選択肢がなくなった瞬間だった。

「私もレイの喜ぶスマホを作ったものな。権利はあるな」

「私だってレイちゃんのために石鹸作りを手伝ったもの!」

「僕だって、ミックスハーブを乾燥させて作った!」

 これ…、逃げられないやつ……。私のほっぺにキスなんて、なんでこの人たちは欲しいのか……。

「わかりました」

 そう言い、恥ずかしくて気が遠くなりそうになりながら、感謝のキスを頬に送ることになった。

 今後もこれが続くのかとも思うけれど、「「娘からの感謝のキス」」と喜ぶ、お父様とお母様。「独り占めしたかったけど、ありがとう。嬉しいよ」とレイス様に言われ、満更でもない気持ちにもなるのだった。
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