23 / 88
本編
20
しおりを挟む
その後、乳牛と鶏を召喚してもらう事になり、アイスクリームメーカーを作って貰う約束をした。
「それが出来ればアイスクリームがいつでも出来るのか!」
そう言ってみんな喜んでくれた。お母様は会話を聞きながらも、兎に夢中らしく、モフモフとした背中をひたすら撫でている。
ふとレイス様に、サシェを渡していない事に気がついた。
「遅くなりましたが…。今日乾燥してもらったラベンダーの花で作りました。本来なら時間がかかるのに乾燥してもらい、ありがとうございます」
そう言って彼に渡す
「良い香りがするね。大切にするよ」
レイス様ははにかんだように微笑んだ。
駄目だ。もう好きなのかもしれない…。笑顔を見せてくれただけで幸せとか、レイス様の事かなり好きだよね…。
兄妹なんて、叶わない恋に落ちるなんて馬鹿だなぁ…。本当なら相手にもされてなかったのだろうから、妹としてでも可愛がってくれるのはありがたい事だよねとも思う。
だけど私の方が精神的に、年上なのに気遣ってくれてありがたいのに申し訳なくなる。
またも思考に耽っていると、「何かやりたい事あるんじゃないの?」そう言って、私のやりたい事を優先して促してくれる。
「えっと…、この瓶を消毒して欲しくて」
そう言って、アイテムバッグに入れていた、瓶を魔法で消毒してもらう。
「明日には酵母作りチャレンジしてみます!」
そう言ったところで気がついた。プリンと石鹸も作りたい。迷惑かけてるのはわかるんだけど、石鹸ができたり、生活が豊かになれば笑顔が増えるはず。
「あ、円柱の型と四角い型になりそうなものは、ありませんか? お菓子と石鹸の型に使いたいのですが」
「確かあったな…」
「いくつか頂いても?」
お父様に確認しつつ、円柱の型は多めに。石鹸の型は5個程バッグに入れる。
「呼び出した動物に、母上がハマったみたいだね…。離しそうにもないね…」
「離れたくないわ~。つぶらな瞳で可愛いいし」
「お母様が名前をつけて、可愛がってくれるなら安心です。私も飼った事はないので、野菜を食べるくらいしか知らなくて…」
「そうなのね、チャムちゃん、私のお部屋に来るかしら?」
「母上…名前つけてるし、連れて帰る気満々じゃないか…」
呆れた様に苦笑いし、レイス様は言った。
「レイ…。チャム…は、母上帰る気みたいだから、欲しい動物いたら、また召喚しようね」
「そしたら、そのうちにで良いので、文鳥が良いです。桜文鳥! 可愛くて気が強くて好きなのです!」
「わかったよ。約束しよう。僕の姫君…」
レイス様は、そう言うと跪き、手の甲にキスを落としたかと思うと「お休み! 良い夢を」と部屋を去っていった。
私は、火照る頬を抑えながら、辛うじて「おやすみなさい」と伝えると部屋に戻った。
残るお父様やお母様が「若いっていいわね…」と兎の背を撫でていたのも、「あれで二人共、無自覚なのか…?」と呟いたのも、余裕のない私は気が付かなかった。
「それが出来ればアイスクリームがいつでも出来るのか!」
そう言ってみんな喜んでくれた。お母様は会話を聞きながらも、兎に夢中らしく、モフモフとした背中をひたすら撫でている。
ふとレイス様に、サシェを渡していない事に気がついた。
「遅くなりましたが…。今日乾燥してもらったラベンダーの花で作りました。本来なら時間がかかるのに乾燥してもらい、ありがとうございます」
そう言って彼に渡す
「良い香りがするね。大切にするよ」
レイス様ははにかんだように微笑んだ。
駄目だ。もう好きなのかもしれない…。笑顔を見せてくれただけで幸せとか、レイス様の事かなり好きだよね…。
兄妹なんて、叶わない恋に落ちるなんて馬鹿だなぁ…。本当なら相手にもされてなかったのだろうから、妹としてでも可愛がってくれるのはありがたい事だよねとも思う。
だけど私の方が精神的に、年上なのに気遣ってくれてありがたいのに申し訳なくなる。
またも思考に耽っていると、「何かやりたい事あるんじゃないの?」そう言って、私のやりたい事を優先して促してくれる。
「えっと…、この瓶を消毒して欲しくて」
そう言って、アイテムバッグに入れていた、瓶を魔法で消毒してもらう。
「明日には酵母作りチャレンジしてみます!」
そう言ったところで気がついた。プリンと石鹸も作りたい。迷惑かけてるのはわかるんだけど、石鹸ができたり、生活が豊かになれば笑顔が増えるはず。
「あ、円柱の型と四角い型になりそうなものは、ありませんか? お菓子と石鹸の型に使いたいのですが」
「確かあったな…」
「いくつか頂いても?」
お父様に確認しつつ、円柱の型は多めに。石鹸の型は5個程バッグに入れる。
「呼び出した動物に、母上がハマったみたいだね…。離しそうにもないね…」
「離れたくないわ~。つぶらな瞳で可愛いいし」
「お母様が名前をつけて、可愛がってくれるなら安心です。私も飼った事はないので、野菜を食べるくらいしか知らなくて…」
「そうなのね、チャムちゃん、私のお部屋に来るかしら?」
「母上…名前つけてるし、連れて帰る気満々じゃないか…」
呆れた様に苦笑いし、レイス様は言った。
「レイ…。チャム…は、母上帰る気みたいだから、欲しい動物いたら、また召喚しようね」
「そしたら、そのうちにで良いので、文鳥が良いです。桜文鳥! 可愛くて気が強くて好きなのです!」
「わかったよ。約束しよう。僕の姫君…」
レイス様は、そう言うと跪き、手の甲にキスを落としたかと思うと「お休み! 良い夢を」と部屋を去っていった。
私は、火照る頬を抑えながら、辛うじて「おやすみなさい」と伝えると部屋に戻った。
残るお父様やお母様が「若いっていいわね…」と兎の背を撫でていたのも、「あれで二人共、無自覚なのか…?」と呟いたのも、余裕のない私は気が付かなかった。
11
お気に入りに追加
109
あなたにおすすめの小説
婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです
青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています
チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。
しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。
婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。
さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。
失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。
目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。
二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。
一方、義妹は仕事でミスばかり。
闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。
挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。
※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます!
※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。
【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件
三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。
※アルファポリスのみの公開です。
【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!
楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。
(リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……)
遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──!
(かわいい、好きです、愛してます)
(誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?)
二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない!
ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。
(まさか。もしかして、心の声が聞こえている?)
リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる?
二人の恋の結末はどうなっちゃうの?!
心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。
✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。
✳︎小説家になろうにも投稿しています♪
異世界のんびり料理屋経営
芽狐
ファンタジー
主人公は日本で料理屋を経営している35歳の新垣拓哉(あらかき たくや)。
ある日、体が思うように動かず今にも倒れそうになり、病院で検査した結果末期癌と診断される。
それなら最後の最後まで料理をお客様に提供しようと厨房に立つ。しかし体は限界を迎え死が訪れる・・・
次の瞬間目の前には神様がおり「異世界に赴いてこちらの住人に地球の料理を食べさせてほしいのじゃよ」と言われる。
人間・エルフ・ドワーフ・竜人・獣人・妖精・精霊などなどあらゆる種族が訪れ食でみんなが幸せな顔になる物語です。
「面白ければ、お気に入り登録お願いします」
溺愛の始まりは魔眼でした。騎士団事務員の貧乏令嬢、片想いの騎士団長と婚約?!
参
恋愛
男爵令嬢ミナは実家が貧乏で騎士団の事務員と騎士団寮の炊事洗濯を掛け持ちして働いていた。ミナは騎士団長オレンに片想いしている。バレないようにしつつ長年真面目に働きオレンの信頼も得、休憩のお茶まで一緒にするようになった。
ある日、謎の香料を口にしてミナは魔法が宿る眼、魔眼に目覚める。魔眼のスキルは、筋肉のステータスが見え、良い筋肉が目の前にあると相手の服が破けてしまうものだった。ミナは無類の筋肉好きで、筋肉が近くで見られる騎士団は彼女にとっては天職だ。魔眼のせいでクビにされるわけにはいかない。なのにオレンの服をびりびりに破いてしまい魔眼のスキルを話さなければいけない状況になった。
全てを話すと、オレンはミナと協力して魔眼を治そうと提案する。対処法で筋肉を見たり触ったりすることから始まった。ミナが長い間封印していた絵描きの趣味も魔眼対策で復活し、よりオレンとの時間が増えていく。片想いがバレないようにするも何故か魔眼がバレてからオレンが好意的で距離も近くなり甘やかされてばかりでミナは戸惑う。別の日には我慢しすぎて自分の服を魔眼で破り真っ裸になった所をオレンに見られ彼は責任を取るとまで言いだして?!
※結構ふざけたラブコメです。
恋愛が苦手な女性シリーズ、前作と同じ世界線で描かれた2作品目です(続きものではなく単品で読めます)。今回は無自覚系恋愛苦手女性。
ヒロインによる一人称視点。全56話、一話あたり概ね1000~2000字程度で公開。
前々作「訳あり女装夫は契約結婚した副業男装妻の推し」前作「身体強化魔法で拳交える外交令嬢の拗らせ恋愛~隣国の悪役令嬢を妻にと連れてきた王子に本来の婚約者がいないとでも?~」と同じ時代・世界です。
※小説家になろう、ノベルアップ+にも投稿しています。※R15は保険です。
料理スキルで完璧な料理が作れるようになったから、異世界を満喫します
黒木 楓
恋愛
隣の部屋の住人というだけで、女子高生2人が行った異世界転移の儀式に私、アカネは巻き込まれてしまう。
どうやら儀式は成功したみたいで、女子高生2人は聖女や賢者といったスキルを手に入れたらしい。
巻き込まれた私のスキルは「料理」スキルだけど、それは手順を省略して完璧な料理が作れる凄いスキルだった。
転生者で1人だけ立場が悪かった私は、こき使われることを恐れてスキルの力を隠しながら過ごしていた。
そうしていたら「お前は不要だ」と言われて城から追い出されたけど――こうなったらもう、異世界を満喫するしかないでしょう。
異世界に来たようですが何も分かりません ~【買い物履歴】スキルでぼちぼち生活しています~
ぱつきんすきー
ファンタジー
突然「神」により異世界転移させられたワタシ
以前の記憶と知識をなくし、右も左も分からないワタシ
唯一の武器【買い物履歴】スキルを利用して異世界でぼちぼち生活
かつてオッサンだった少女による、異世界生活のおはなし
ぽっちゃりな私は妹に婚約者を取られましたが、嫁ぎ先での溺愛がとまりません~冷酷な伯爵様とは誰のこと?~
柊木 ひなき
恋愛
「メリーナ、お前との婚約を破棄する!」夜会の最中に婚約者の第一王子から婚約破棄を告げられ、妹からは馬鹿にされ、貴族達の笑い者になった。
その時、思い出したのだ。(私の前世、美容部員だった!)この体型、ドレス、確かにやばい!
この世界の美の基準は、スリム体型が前提。まずはダイエットを……え、もう次の結婚? お相手は、超絶美形の伯爵様!? からの溺愛!? なんで!?
※シリアス展開もわりとあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる