9 / 17
始まり
8【改稿】
しおりを挟む
美味しくクリームだらけのプリン・ア・ラ・モードもどきを頂いて家族で舌鼓をうった後、私は一人で部屋に戻ってきた。
いつもならルカも一緒だけど、今日はやり遂げたい事があった。
お料理をもっと楽しみたいけれど、お好み焼き用の甘いソースやらチリソースやらお醤油やお味噌など、自分で作れるとは限らない。
お店から勝手に持ってくるわけには行かないけど、元の世界から調達する術はないか。私はそんな事を考えたわけだ。
多分、小説で読んだ事のある、式神みたいな生物を作り出して、闇の魔法を上手く使いこなせればきっと出来るはず。式は…、私の姿に因んで文鳥とか? 喋ったり動いたりしたら可愛いなぁ。
私本当は前世で頬黒文鳥を飼いたかったのよね。出会う機会がなかったけれど。
名前はクロムとつけたかったなぁ。ぬいぐるみみたいにボリュームがあったら絶対に可愛い!
イメージを固めていき、魔力を捏ね上げる。フォルムは可愛くできたと思うの! 30センチはありそうなぬいぐるみみたい!
この子が動いて喋ったらどんなに可愛いだろう。レベル設定つけて、可愛がったらいつか褐色おショタになれば良いのに!
それは願望でしかないけれど、いつか実現したい。
私の呪いだって、半日だけなら弾き返せてるんだもの! いつかこの子もルカと一緒に遊べる弟分にしたいなぁ。
ぬいぐるみみたいな身体に魔力を少しずつ 少しずつ込めていく、けれど途中から魔力をグーンと吸い取られるような感覚がし、部屋が眩しい光に満たされた。
「お嬢様!?」
漏れ出ていた光に驚いたみたいに、ルカが申し訳程度のノックをして部屋に飛び込んで来た。
魔力を使いすぎたのか、私はシルバー文鳥の様な姿に戻り、作りかけのぬいぐるみ、もとい後のクロムの前に、佇んでいる。
「うぬー、悔しいなぁ。まだ魔力足りなかったのかなぁ……。魔力量には自信あったのに…」
「夕食まで大人しくしてるかと思えば! 何をやっていたのですか!?」
身体に異変がないか、文鳥の姿になった私を手のひらに乗せて確認するルカ。
「とりあえずシェフに、アンジェ様は今晩の夕食はお食べになれないとお伝えしなければ……。今日はおとなしく粟穂でも食べて下さい?」
心配の為か少しお怒り気味なルカ。
『はぁい』
別に小鳥用のご飯も嫌いじゃないもの。
以前はもっと、呪いの影響で鳥の姿から戻れなかったのだし、頻繁に口にしていたのだから。
そう思い、風の魔術に乗せて言葉をルカに返す私。
『主…』
ぬいぐるみみたいな、丸い形をした物から聞こえた気がする。
眩く光った後、私の姿が呪いの姿に戻ったから、失敗したかと思ってた。頬黒文鳥の様なフォルムをした式は、普通に動いて喋っているようだ。
私のそばへと雀やフィンチのみたいにぴょんぴょんと飛び跳ねながら、こちらへと向かって来る。魔法の1段階目は成功していたみたいだ。
『我が名はアンジェ……。式として我が命に従え。汝の名はクロム…』
嬉しさのあまり何も考えずに契約を果たしたは良いけれど、そこからの記憶がない。魔力を使いすぎて倒れたみたいだ。
その後。意識を取り戻し家族やルカにすごく怒られた事だけここに印しておこうかな…、はぁ。
いつもならルカも一緒だけど、今日はやり遂げたい事があった。
お料理をもっと楽しみたいけれど、お好み焼き用の甘いソースやらチリソースやらお醤油やお味噌など、自分で作れるとは限らない。
お店から勝手に持ってくるわけには行かないけど、元の世界から調達する術はないか。私はそんな事を考えたわけだ。
多分、小説で読んだ事のある、式神みたいな生物を作り出して、闇の魔法を上手く使いこなせればきっと出来るはず。式は…、私の姿に因んで文鳥とか? 喋ったり動いたりしたら可愛いなぁ。
私本当は前世で頬黒文鳥を飼いたかったのよね。出会う機会がなかったけれど。
名前はクロムとつけたかったなぁ。ぬいぐるみみたいにボリュームがあったら絶対に可愛い!
イメージを固めていき、魔力を捏ね上げる。フォルムは可愛くできたと思うの! 30センチはありそうなぬいぐるみみたい!
この子が動いて喋ったらどんなに可愛いだろう。レベル設定つけて、可愛がったらいつか褐色おショタになれば良いのに!
それは願望でしかないけれど、いつか実現したい。
私の呪いだって、半日だけなら弾き返せてるんだもの! いつかこの子もルカと一緒に遊べる弟分にしたいなぁ。
ぬいぐるみみたいな身体に魔力を少しずつ 少しずつ込めていく、けれど途中から魔力をグーンと吸い取られるような感覚がし、部屋が眩しい光に満たされた。
「お嬢様!?」
漏れ出ていた光に驚いたみたいに、ルカが申し訳程度のノックをして部屋に飛び込んで来た。
魔力を使いすぎたのか、私はシルバー文鳥の様な姿に戻り、作りかけのぬいぐるみ、もとい後のクロムの前に、佇んでいる。
「うぬー、悔しいなぁ。まだ魔力足りなかったのかなぁ……。魔力量には自信あったのに…」
「夕食まで大人しくしてるかと思えば! 何をやっていたのですか!?」
身体に異変がないか、文鳥の姿になった私を手のひらに乗せて確認するルカ。
「とりあえずシェフに、アンジェ様は今晩の夕食はお食べになれないとお伝えしなければ……。今日はおとなしく粟穂でも食べて下さい?」
心配の為か少しお怒り気味なルカ。
『はぁい』
別に小鳥用のご飯も嫌いじゃないもの。
以前はもっと、呪いの影響で鳥の姿から戻れなかったのだし、頻繁に口にしていたのだから。
そう思い、風の魔術に乗せて言葉をルカに返す私。
『主…』
ぬいぐるみみたいな、丸い形をした物から聞こえた気がする。
眩く光った後、私の姿が呪いの姿に戻ったから、失敗したかと思ってた。頬黒文鳥の様なフォルムをした式は、普通に動いて喋っているようだ。
私のそばへと雀やフィンチのみたいにぴょんぴょんと飛び跳ねながら、こちらへと向かって来る。魔法の1段階目は成功していたみたいだ。
『我が名はアンジェ……。式として我が命に従え。汝の名はクロム…』
嬉しさのあまり何も考えずに契約を果たしたは良いけれど、そこからの記憶がない。魔力を使いすぎて倒れたみたいだ。
その後。意識を取り戻し家族やルカにすごく怒られた事だけここに印しておこうかな…、はぁ。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる