上 下
4 / 17
始まり

3【改稿】

しおりを挟む
 料理の許可をルカが貰って来てくれたから早速作ってみたいな。

 オムライスを作りたいけど、お兄様もルカもデミグラスソースとかの濃い味も好きそうだけど、今回はシンプルにケチャップソースのを作ってみようかな。

 でもミキサーなんてないわよね……。そんな事を考えつつ、ゆるやかなカーブを描いている腰まである銀髪を一つに束ねながら、厨房へと進む。

 欲しい材料が足りない場合もあるから、慎重に確認していく。

 前世ではラーメンとかチャーシューとか、麺やスープから作っていたからだろうか。まだ色々と作り方は覚えてる。

 あ、ミキサーらしきものもある! 魔力を使って動かすタイプのようだわ。私にも使えそうね。

 トマトを湯剥きしてザク切りにして、ニンニクと玉ねぎを入れてミキサーヘかける。それを裏ごししてお酢や調味料やスパイスを入れてグツグツ焦がさない様に煮込む事1時間。

 私が何をしてるのか興味深そうにみていた、厨房の人達も時間が空いているからと手伝いを申し出てくれたので、火の番は厨房の人に任せて私はマヨネーズ作りを始めた。

 いくつかの卵に浄化の魔法をかけてボウルへと割り入れると、塩やコショウを入れて混ぜる。

 なんの料理に使用する為の物かは、良く分からなかったけどブレンダーらしきものもあったので、油を足しながら撹拌する。

「何を作っているのですか?」

 迷いなく料理をしている姿に面をくらったのか、そばで見ていたルカが聞いてくる。

「今作っているのは、ケチャップソースとマヨネーズかしら?」

 味を整えつつ、レモン果汁とお酢を加えながら撹拌することを繰り返して、マヨネーズとケチャップの出来上がり。

「空いた時間に、キャベツの千切りを用意したのにつけて食べてみて?」

 そう言って見本の様にして、ルカに渡すと他の人達も怖怖小皿に盛り付けつつも見慣れない調味料に逡巡する。

 私はそんなことはお構いなしに、チキンライスを作るべく、鶏肉、玉ねぎ、パプリカを切り分け、味付けして炒める。お米も少し多めにして、水で研いでからピラフのように炒める。
そこに具材を足してケチャップ共に炊き上げるのだ。

『炊飯器があれば良いのに…』

 お鍋に蓋をして火加減を見ながら、私もマヨネーズをかけて野菜をいただく。

「どうかしら?」

 自分では上出来の味付けだと思ってたのに、みんなまだ口にしていない。

『合わないのか~。仕方ないから一人で消費しなきゃかなぁ』

 そうしょんぼりしていると、意を決したようにルカが一口。パラパラと厨房の人達も口にし始める。

「レモンの爽やかな香りがして美味しいです! それでいてまろやかというか……、好みの味です」

 ルカも気に入ってくれたみたいで、お野菜のおかわりまでしてくれて、しょんぼりした気分が嘘みたいに幸せな気分になった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

美しい公爵様の、凄まじい独占欲と溺れるほどの愛

らがまふぃん
恋愛
 こちらは以前投稿いたしました、 美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛 の続編となっております。前作よりマイルドな作品に仕上がっておりますが、内面のダークさが前作よりはあるのではなかろうかと。こちらのみでも楽しめるとは思いますが、わかりづらいかもしれません。よろしかったら前作をお読みいただいた方が、より楽しんでいただけるかと思いますので、お時間の都合のつく方は、是非。時々予告なく残酷な表現が入りますので、苦手な方はお控えください。 *早速のお気に入り登録、しおり、エールをありがとうございます。とても励みになります。前作もお読みくださっている方々にも、多大なる感謝を! ※R5.7/23本編完結いたしました。たくさんの方々に支えられ、ここまで続けることが出来ました。本当にありがとうございます。ばんがいへんを数話投稿いたしますので、引き続きお付き合いくださるとありがたいです。この作品の前作が、お気に入り登録をしてくださった方が、ありがたいことに200を超えておりました。感謝を込めて、前作の方に一話、近日中にお届けいたします。よろしかったらお付き合いください。 ※R5.8/6ばんがいへん終了いたしました。長い間お付き合いくださり、また、たくさんのお気に入り登録、しおり、エールを、本当にありがとうございました。 ※R5.9/3お気に入り登録200になっていました。本当にありがとうございます(泣)。嬉しかったので、一話書いてみました。 ※R5.10/30らがまふぃん活動一周年記念として、一話お届けいたします。 ※R6.1/27美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛(前作) と、こちらの作品の間のお話し 美しく冷酷な公爵令息様の、狂おしい熱情に彩られた愛 始めました。お時間の都合のつく方は、是非ご一読くださると嬉しいです。 *らがまふぃん活動二周年記念として、R6.11/4に一話お届けいたします。少しでも楽しんでいただけますように。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る

家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。 しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。 仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。 そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。

鶯埜 餡
恋愛
 ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。  しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが

身分差婚~あなたの妻になれないはずだった~

椿蛍
恋愛
「息子と別れていただけないかしら?」 私を脅して、別れを決断させた彼の両親。 彼は高級住宅地『都久山』で王子様と呼ばれる存在。 私とは住む世界が違った…… 別れを命じられ、私の恋が終わった。 叶わない身分差の恋だったはずが―― ※R-15くらいなので※マークはありません。 ※視点切り替えあり。 ※2日間は1日3回更新、3日目から1日2回更新となります。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

処理中です...