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【第2部】第4章 相思相愛

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「お帰りなさい、クレイン殿下」

私は、王宮から帰ってきたクレイン殿下を玄関で出迎える。

「クレイン殿下、着替えを終えたら食堂に来てもらえますか」

私は、クレイン殿下にお願いをして、先に食堂へと向かった。

しばらくすると、着替えを終えたクレイン殿下が食堂へとやってくる。

「どうしたんだ、マーレット」

鶏肉を野菜と一緒に煮込んだ鍋を前にして立っている私の姿を見た、クレイン殿下が言った。

「クレイン殿下、私はクレイン殿下と結婚するまでは、自分で料理をすることもございました。今日は、私がクレイン殿下のために心を込めて料理を致しました」

クレイン殿下は、驚いた顔をしている。

私は、クレイン殿下と結婚してから、一度も料理をしていなかった。

離宮には、専属の料理人がいるので、私が敢えて料理をすることはなかったのである。

今日は、料理人にお願いをして、調理場を借りたのだ。

私は、クレイン殿下にお伺いをたてる。

「もし、よろしければ、……私の作った料理を、食べて欲しいのですが」

「もちろんだ、是非食べさせてくれ。まさかマーレットの料理が食べられるなんて。実はな、先日の晩餐会の時、リブート殿に自慢されていたのだ。リブート殿は、マーレットの料理はすごく美味しいのだと言っていた」

私は、何回かおじい様に料理を作ってあげたことがあった。

おじい様は、私の料理を毎回残さず全部食べてくれている。

そして、いつも美味しいと言ってくれていたのだ。

私は、クレイン殿下の皿に料理を注いだ。

「クレイン殿下の、お口に合うといいのですが……」

クレイン殿下は、最初の一口を頬張った。

「美味しい、マーレット、リブート殿の言う通り、本当に美味しい」

クレイン殿下は、私の料理を残さずに食べてくれた。

久しぶりに料理を作ったが、やっぱり、美味しいと言ってもらえると嬉しい。

クレイン殿下が、私に聞いてくる。

「でもマーレット、どうして急に私に料理を作ってくれたのだ」

「晩餐会の後、お義母さんのスープを飲んだ時に、私もクレイン殿下に手料理を食べて欲しいと思ったのです」

私の答えに、クレイン殿下は笑って言う。

「私は、幸せ者だな」

私は、クレイン殿下が喜んでくれていることがとても嬉しかった。

クレイン殿下は、今度おじい様に会った時、今日のことを自慢すると言っていた。

おじい様が悔しがるかもしれないと、私は思った。

クレイン殿下は、優しく微笑みながら言う。

「マーレット、久しぶりに踊らないか」

私は、クレイン殿下の差し出した手を掴んで頷いた。
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