57 / 95
第五章 『キスが落ちる』
9
しおりを挟む守屋君と部屋の前で別れると、私は急いでエレベーターに乗り、中に設置してあった大きな鏡で顔を確認すると、顔は思っていた通り真っ赤だった。
「キ……キス……した」
守屋君と……キス、した。
唇に残る生温かい感触を思い出し、私はぶんぶん首を振る。
これまでの25年、色恋沙汰がただの一つもなかった私にとってはとても大きな出来事で、守屋君にとっては流れでしたとしても、私にとっては、本当に大きくて。
キス……したんだ。
私は火照る頬を両手で包むと、もう一度鏡に目をやる。
やっぱり私の顔は林檎のように赤くて、でも、こんな時に浮かんだのは奈古君の顔で、何が一体どうしたいのか、ちっともよく分からなかった。
そしてトボトボアパートに帰る中、私はアパートの敷地の前で、意味が分からず顔が浮かんだ奈古君と、バッタリ会ってしまったのだ。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました
ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら……
という、とんでもないお話を書きました。
ぜひ読んでください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる