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第一章 『花びら落ちた』

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「こんな年下な俺ですが、お友達になってもらえますか?」

「に、入学……したばかりなんですよね。お友達できるの……こ、これからですよ」

 そうは俺も思うが、人懐っこい桃園はお構いなしでニコニコ。

「でも、お姉さん可愛いから、是非仲良くなりたいんです。こういうの、迷惑?」

「いや……め、迷惑とかじゃ」

「じゃー問題なしだっ」

 押す桃園に、見るからに押しに弱そうな鳰都。

 ──鳰都、か……。

「おい、奈古もみやちゃんに自己紹介」

「……あぁ、奈古です。どうも」

「ど……どうも、鳰です」

 ぬぼっと背が高く、愛想も良くなく基本反応も薄いため、学生の頃はただ道端に立ってる電柱……とよく言われていた。

 電柱とか、全然誉め言葉じゃないだろ。爆笑してたし。

「ちなみにみやちゃんは、彼氏はいるんですか?」

「えっそんな……彼氏なんて、いません。い、いたことないです」

「えーっ、マジっすか。超可愛いのに」

 褒める桃園に、鳰都は顔の前で手を振って頬を赤くする。

 ──綺麗なのに、何でいないんだろ。

 単純に素朴な感想だったが、凄く整ってモテそう顔つきとは違って、性格が大人しいのは見るからに判断できた。

 鳰都はクリームパンを食べた後、ワタワタしながら中央会館へ戻って行った。

 何なんだろ、あのワタワタ。人が怖いのか……?

「いやぁ、みやちゃん可愛かったね」

「……迷惑って、さ。思われてる気がするんだけど」

「そうかぁ?」

「うん、かなり」

 桃園の空気の読めなさは、良いようで悪いようで。

 俺は鳰都が通って行った道を、暫く黙って見つめた。





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