エタニティ・イエロー

第八章 『ブルージェット』

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「……美野田さんと離婚してから……私、時間、完全に止まってました」

　でも、今は違う。時間が戻ることはなく、前に進むのみなんだ。

　過去は変えることができなくても、未来を変えることはできる。

　今から、自分がどんな人生を歩みたいのか、選べるのは自分自身。

「私……篝さんと、ずっと一緒にいたいです……」

　いきなり誰もを信じなくていい、信じれる、信じたいと思える人を信じればいい。

　私は、過去と離れ、新しい人生を歩んでいきたい。

「篝さん、気付くの……遅くなってしまってごめんなさい」

　──私、私は。

「好きです」

　この人のことが、私は。

「篝さんのこと……好きです」

　シンと静まったロビーは物音一つせず、私の言葉が響いた。

「幸さん、ありがとう。俺も、幸さんのことが好きですよ」

「……あ、ありがとう……ございます」

「俺ともう一度、新しい人生歩んでくれますか」

「……こちらこそ、お願いします」

　ゆっくり頷くと、真っ赤な顔の篝さんが本当に嬉しそうに笑顔を見せ、その顔が徐々に迫ってきて、私達の唇は重なった。

　今度はちゃんと、相手を確かめるように。

　誰かを想い、想われる感覚は久しく、心がじんわり温かくなって、私の瞳は再び潤みだした。

　胸が、ドキドキする。

　でもこれは、もう嫌なドキドキじゃない。

　大丈夫だ、篝さんとなら、離れ離れになっても、きっと大丈夫。

　私の氷のような心をじんわり溶かしてくれた篝さんとなら、幸せになれる。幸せに……なりたい。

　篝さんのことが……好きだ。

「……好きです」

「俺もですよ。俺の方が好きですよー……あーっはっず！」