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猫毛の彼女は露地裏暮らし
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「ごらぁぁぁ!!このドブネズミが!!とっとと失せろ!!!」
お店の裏でゴミ箱を漁り、やっと食べられるものが見つけたと思ったら、店の主人に水をかけられた。頭から被っていた布が冷たい水を吸ってさらに重くなる。
見つけた食べ物を胸に駆け抜ける。店の主人が何か後ろで叫んでいたが、構うもんか。私を見た人々は一斉に顔をしかめて鼻を覆った。でもそんなの気にしない。生きるためだもの。
走って、走って…やがて裏路地についた。
右へ左へと出来るだけ安全な道を進み、やっと住処に辿り着く。
そこは廃墟。屋根はあってないようなもの、中はボロ切れのような布が1枚転がっているだけ。そこにどさりと腰掛けて、今日の戦利品をいそいそと取り出した。
腐ってカビが生えたパン。でもこれならまだ食べられる。ゆっくりと味わうようにして口に含む。美味しくはない。でも何も食べられないよりはマシだ。ましてや、あの場所なんかより。
私に親はいない。ある寒い日の朝、孤児院の前におくるみがぽつんと置かれていたらしい。それが私。院長や職員はそこら辺に捨てられるよりマシだと笑っていたが、私はそうは思わない。
孤児院は人身売買と横領で酷い有様だった。院長と職員達は儲けた金でギャンブル、女遊び、酒、麻薬に浸っていた。
子供達はろくに世話をされず、数日に一度ばら撒かれる残飯を奪い合う。そして奴らは気まぐれに子供達を殴り飛ばした。
そうして壊れた子供達は見目が麗しければ娼館や薄汚い貴族へと売り飛ばされるか、違法な競売にかけられた。そうでなければモルモットにされた。
私も彼らの玩具にされた一人。今でも覚えている。背や腹を蹴られ、殴られ、髪を引っ張られた痛みを。怒りを。憎しみを!!!!
「こんな所より外のほうが幾分マシだ!!」
私は孤児院から抜け出した。
それからはゴミの中から食べ物をあさり、金目のものがあれば裏路地の怪しいお店に売り払う。そうして生きていた。
盗みや人を騙すことも考えないわけではなかった。だが…あの院長や職員達と同類になってしまう恐怖で出来なかった。
地獄の日々を思い出しながら、パンを食べた。それから、雨漏り…というか滝を受け止めていたバケツの前に座り、頭から被っていた布を取った。
溢れるのは傷んで汚れた髪。
しかし、よく見るとその色は銀色。バケツの中に映る瞳は左目は黄、右目は青と変わった色彩だった。
裏路地にはたくさんの危険が潜んでいる。私は自分が珍しい色彩を持っていることを理解していた。
この顔のせいで巻き起こるだろう面倒事を避けるため、顔と髪を念入りに汚し、汚い布をかぶっている。
臭くて汚い、ボロ雑巾をかぶった痩せたガキなんて、誰も手を出さないだろうから。
だが私の日常は破られた。いつものようにゴミを漁っていた時のことだ。言いしれぬ悪寒を感じ後ろを振り向くと、覆面
の男が立っていた。急いでその場を離れようとしたが、無駄だった。男は私をあっさりと捕まえて、何処かへと運んだ。
「起きろ!!」
久方ぶりに聞く声に叩き起こされた。
目を開けると、あの憎き院長と職員が立っていた。ぐわんと腹の底から煮えくり返るような怒りと憎しみがわく。動こうとして気づく。手足は重い鎖で拘束されていた。
「はは!!まーさかこんなドブネズミになっていたとは。必死に逃げた先がこれか。憐れだなぁ…そう思わんかね?」
「全くです。ったく…お前が逃げなきゃ今頃大金持ちだったのに!!くそ!!!ここで取り返してもらうからな!!その珍しい色彩でせいぜい稼いでくるんだな!!」
ガンッと頭を蹴り付けられグリグリと床に押し付けられる。屈辱と痛みで頭がどうにかなりそうだった。
「やめたまえ。大事な商品だ。顔に傷がついたらどうしてくれる。」
「ああ。そうですね…ったく…小汚いドブネズミなんぞになり下がりやがって。おい、起きろ!!出品前に風呂に入れ。そのなりじゃ売れねぇだろうが!!」
痛みで起き上がれない私に焦れて、職員が引きずるようにして風呂に叩き込んだ。中には見知らぬ女たちが立っていた。
「そいつを見れるようにしてくれ。」
そう1言残し、職員は去っていた。
それから私は上から下までゴリゴリと磨き上げられ、香油を叩き込まれた。最後の仕上げに髪を整えられる。そうして現れたのは…
美しい白銀の髪。金と青の美しいオッドアイ。ミルク色の肌にバラ色の唇。
どこをとっても美しく、優美な白猫のような娘だった。
さすがのが院長と職員も想像していなかったのだろう。小汚いドブネズミが血統書付きの美しい白猫になるなんて。
「なんと…」
「こりゃたまげた…院長、出品を取りやめましょう。こいつは俺達で可愛がってやりましょうよ。」
「駄目だ。もう契約してしまった。出品の取りやめは不可能だ。もし取り戻したいなら競り落とすしかない。」
院長と職員は険しい顔で私を見る。惜しいものを手放してしまった。どうにかまた自分達の物にできないだろうか、と…その表情がありありと語っていた。
だが、競売の時間が迫って来ていたのだろう。彼らは早々に切り上げて、私を競売会場へと連れて行った。
競売会場は手元さえまともに見えない薄暗さだった。これで誰がいたかをわからなくするのだろう。そうして、競売が始まった。
妖精、獣人、人魚に珍しい動物、エルフ。はたまた呪われた王冠や亡き作家の遺書。宝石。どんどん競売にかけられ、目玉が飛び出るような値段がつけられていく。
そうして遂に私の番が来た。私には一体いくらかけられる事やら。
『さあさあ、続きましては世にも珍しい銀髪オッドアイの少女!!最低金額は1億から!!』
一瞬会場が静まり返り…それからドンドン値段が釣り上げられていった。
2億、2億5千、3億5千…
そうして私は最終的に10億で競り落とされた。はずだった。
私が競り落とされた瞬間、完全に会場が暗転した。動揺とざわめきが徐々に悲鳴、怒声へと変わっていく。何が起こっているかわからない。悲鳴がどんどん近づいていく。遂に司会が悶え苦しむ声がマイクを通じて爆音で流れた。つまり私のすぐそこまで何かが迫っているのだ。
そうして…暗闇の中、誰かが私を抱き上げた。暴れ藻掻き、抵抗する。
「すまない!安全な所に移動するから少しだけ我慢してくれ!!」
低い女性の声。不思議と落ち着く声。信じたわけではない、だが抵抗しても無駄なのだろう。私は仕方なく体の力を抜いた。
彼女は物凄い勢いではしっていく。やがて明るい場所に来た。そこにはたくさんの大人がいた。
「隊長!!制圧完了しました!」
「ご苦労。」
セイアツ…意味はわからないが、なんとなく助かったということだけはわかった。そっと見上げると、至近距離で目があってしまう。真っ赤な目。絶えず燃え上がり、決して屈しない炎の瞳だった。黒髪は肩口で切り揃えられている。精悍な顔はこの場にいる誰よりも凛々しい。
「さて、白猫ちゃん。君のお名前は?」
「…………ネネ。」
名乗ったのは久しぶりだった。
「そう、ネネ。いい名前じゃん。」
呼ばれたのも久しぶりだった。
「さて、ネネ。お前はクソみたいな孤児院から逃げ出した。だが奴らに捕まり違法競売にかけられていた。そうだね?」
こくりと頷く。
「おっけー、じゃあ孤児院と競売、それに連なる虫にも劣るド腐れ外道を地獄に叩き落とす手伝いをしてくれないか?なーに簡単な事さ。お前が見たこと聞いたこと、全部話すだけ。」
「………その後、私はどうなるの。」
「ん?そうだな…あたしのパン屋で働いてもらおうかな。ああ、安心しろ。部屋もつけるし、3食おやつ付きだ。給料も出る。平日は学校にも行かせてやろう。」
その言葉に後ろの男達がざわめく。
「隊長!?そんな、勝手に!!!」
「いいんだよ!上の爺婆共も笑って許すさ。」
一方私は全力で頭を回していた。破格の条件だった。おかしい。何か裏がある気がする。
「何が目的?」
「んあ??」
「出会ったばかりのドブネズミを拾うのはなぜ??それに条件が良すぎる。胡散臭い。」
彼女は思いっきり顔をしかめた。面倒くせーというのが全面に出ている。
「はーーー???別になんもないよ。」
尚も警戒したように見る私にため息をつき、しばらく考えてから彼女はこう言った。
「んじゃ…あたしの息子の手助けをしてよ。あいつは良い奴だし、馬鹿でも鈍感でもないんだが、たまに抜けてることがあってな。お前は頭がいいし、鼻が聞く。なんかあったら助けてやってくれ。」
「わかった。」
「それから!!」
鼻先三寸に彼女の顔があった。目を逸らすのは許さないとばかりに睨めつけれる。
「お前はドブネズミじゃない。二度と自分のことを卑下するな。お前はネネだ。それ以上でもそれ以下でもない!!!」
「は………」
怒っているような悲しんでるような、よくわからない顔をしていた。
「二度と言うな!!わかったか!!」
「うん。」
ーその日、彼女は重い鎖を引きちぎり、私を自由にしてくれた。
彼女の名はカガリ•ロティーニ。
警官隊隊長にして、パン屋の嫁であった。
お店の裏でゴミ箱を漁り、やっと食べられるものが見つけたと思ったら、店の主人に水をかけられた。頭から被っていた布が冷たい水を吸ってさらに重くなる。
見つけた食べ物を胸に駆け抜ける。店の主人が何か後ろで叫んでいたが、構うもんか。私を見た人々は一斉に顔をしかめて鼻を覆った。でもそんなの気にしない。生きるためだもの。
走って、走って…やがて裏路地についた。
右へ左へと出来るだけ安全な道を進み、やっと住処に辿り着く。
そこは廃墟。屋根はあってないようなもの、中はボロ切れのような布が1枚転がっているだけ。そこにどさりと腰掛けて、今日の戦利品をいそいそと取り出した。
腐ってカビが生えたパン。でもこれならまだ食べられる。ゆっくりと味わうようにして口に含む。美味しくはない。でも何も食べられないよりはマシだ。ましてや、あの場所なんかより。
私に親はいない。ある寒い日の朝、孤児院の前におくるみがぽつんと置かれていたらしい。それが私。院長や職員はそこら辺に捨てられるよりマシだと笑っていたが、私はそうは思わない。
孤児院は人身売買と横領で酷い有様だった。院長と職員達は儲けた金でギャンブル、女遊び、酒、麻薬に浸っていた。
子供達はろくに世話をされず、数日に一度ばら撒かれる残飯を奪い合う。そして奴らは気まぐれに子供達を殴り飛ばした。
そうして壊れた子供達は見目が麗しければ娼館や薄汚い貴族へと売り飛ばされるか、違法な競売にかけられた。そうでなければモルモットにされた。
私も彼らの玩具にされた一人。今でも覚えている。背や腹を蹴られ、殴られ、髪を引っ張られた痛みを。怒りを。憎しみを!!!!
「こんな所より外のほうが幾分マシだ!!」
私は孤児院から抜け出した。
それからはゴミの中から食べ物をあさり、金目のものがあれば裏路地の怪しいお店に売り払う。そうして生きていた。
盗みや人を騙すことも考えないわけではなかった。だが…あの院長や職員達と同類になってしまう恐怖で出来なかった。
地獄の日々を思い出しながら、パンを食べた。それから、雨漏り…というか滝を受け止めていたバケツの前に座り、頭から被っていた布を取った。
溢れるのは傷んで汚れた髪。
しかし、よく見るとその色は銀色。バケツの中に映る瞳は左目は黄、右目は青と変わった色彩だった。
裏路地にはたくさんの危険が潜んでいる。私は自分が珍しい色彩を持っていることを理解していた。
この顔のせいで巻き起こるだろう面倒事を避けるため、顔と髪を念入りに汚し、汚い布をかぶっている。
臭くて汚い、ボロ雑巾をかぶった痩せたガキなんて、誰も手を出さないだろうから。
だが私の日常は破られた。いつものようにゴミを漁っていた時のことだ。言いしれぬ悪寒を感じ後ろを振り向くと、覆面
の男が立っていた。急いでその場を離れようとしたが、無駄だった。男は私をあっさりと捕まえて、何処かへと運んだ。
「起きろ!!」
久方ぶりに聞く声に叩き起こされた。
目を開けると、あの憎き院長と職員が立っていた。ぐわんと腹の底から煮えくり返るような怒りと憎しみがわく。動こうとして気づく。手足は重い鎖で拘束されていた。
「はは!!まーさかこんなドブネズミになっていたとは。必死に逃げた先がこれか。憐れだなぁ…そう思わんかね?」
「全くです。ったく…お前が逃げなきゃ今頃大金持ちだったのに!!くそ!!!ここで取り返してもらうからな!!その珍しい色彩でせいぜい稼いでくるんだな!!」
ガンッと頭を蹴り付けられグリグリと床に押し付けられる。屈辱と痛みで頭がどうにかなりそうだった。
「やめたまえ。大事な商品だ。顔に傷がついたらどうしてくれる。」
「ああ。そうですね…ったく…小汚いドブネズミなんぞになり下がりやがって。おい、起きろ!!出品前に風呂に入れ。そのなりじゃ売れねぇだろうが!!」
痛みで起き上がれない私に焦れて、職員が引きずるようにして風呂に叩き込んだ。中には見知らぬ女たちが立っていた。
「そいつを見れるようにしてくれ。」
そう1言残し、職員は去っていた。
それから私は上から下までゴリゴリと磨き上げられ、香油を叩き込まれた。最後の仕上げに髪を整えられる。そうして現れたのは…
美しい白銀の髪。金と青の美しいオッドアイ。ミルク色の肌にバラ色の唇。
どこをとっても美しく、優美な白猫のような娘だった。
さすがのが院長と職員も想像していなかったのだろう。小汚いドブネズミが血統書付きの美しい白猫になるなんて。
「なんと…」
「こりゃたまげた…院長、出品を取りやめましょう。こいつは俺達で可愛がってやりましょうよ。」
「駄目だ。もう契約してしまった。出品の取りやめは不可能だ。もし取り戻したいなら競り落とすしかない。」
院長と職員は険しい顔で私を見る。惜しいものを手放してしまった。どうにかまた自分達の物にできないだろうか、と…その表情がありありと語っていた。
だが、競売の時間が迫って来ていたのだろう。彼らは早々に切り上げて、私を競売会場へと連れて行った。
競売会場は手元さえまともに見えない薄暗さだった。これで誰がいたかをわからなくするのだろう。そうして、競売が始まった。
妖精、獣人、人魚に珍しい動物、エルフ。はたまた呪われた王冠や亡き作家の遺書。宝石。どんどん競売にかけられ、目玉が飛び出るような値段がつけられていく。
そうして遂に私の番が来た。私には一体いくらかけられる事やら。
『さあさあ、続きましては世にも珍しい銀髪オッドアイの少女!!最低金額は1億から!!』
一瞬会場が静まり返り…それからドンドン値段が釣り上げられていった。
2億、2億5千、3億5千…
そうして私は最終的に10億で競り落とされた。はずだった。
私が競り落とされた瞬間、完全に会場が暗転した。動揺とざわめきが徐々に悲鳴、怒声へと変わっていく。何が起こっているかわからない。悲鳴がどんどん近づいていく。遂に司会が悶え苦しむ声がマイクを通じて爆音で流れた。つまり私のすぐそこまで何かが迫っているのだ。
そうして…暗闇の中、誰かが私を抱き上げた。暴れ藻掻き、抵抗する。
「すまない!安全な所に移動するから少しだけ我慢してくれ!!」
低い女性の声。不思議と落ち着く声。信じたわけではない、だが抵抗しても無駄なのだろう。私は仕方なく体の力を抜いた。
彼女は物凄い勢いではしっていく。やがて明るい場所に来た。そこにはたくさんの大人がいた。
「隊長!!制圧完了しました!」
「ご苦労。」
セイアツ…意味はわからないが、なんとなく助かったということだけはわかった。そっと見上げると、至近距離で目があってしまう。真っ赤な目。絶えず燃え上がり、決して屈しない炎の瞳だった。黒髪は肩口で切り揃えられている。精悍な顔はこの場にいる誰よりも凛々しい。
「さて、白猫ちゃん。君のお名前は?」
「…………ネネ。」
名乗ったのは久しぶりだった。
「そう、ネネ。いい名前じゃん。」
呼ばれたのも久しぶりだった。
「さて、ネネ。お前はクソみたいな孤児院から逃げ出した。だが奴らに捕まり違法競売にかけられていた。そうだね?」
こくりと頷く。
「おっけー、じゃあ孤児院と競売、それに連なる虫にも劣るド腐れ外道を地獄に叩き落とす手伝いをしてくれないか?なーに簡単な事さ。お前が見たこと聞いたこと、全部話すだけ。」
「………その後、私はどうなるの。」
「ん?そうだな…あたしのパン屋で働いてもらおうかな。ああ、安心しろ。部屋もつけるし、3食おやつ付きだ。給料も出る。平日は学校にも行かせてやろう。」
その言葉に後ろの男達がざわめく。
「隊長!?そんな、勝手に!!!」
「いいんだよ!上の爺婆共も笑って許すさ。」
一方私は全力で頭を回していた。破格の条件だった。おかしい。何か裏がある気がする。
「何が目的?」
「んあ??」
「出会ったばかりのドブネズミを拾うのはなぜ??それに条件が良すぎる。胡散臭い。」
彼女は思いっきり顔をしかめた。面倒くせーというのが全面に出ている。
「はーーー???別になんもないよ。」
尚も警戒したように見る私にため息をつき、しばらく考えてから彼女はこう言った。
「んじゃ…あたしの息子の手助けをしてよ。あいつは良い奴だし、馬鹿でも鈍感でもないんだが、たまに抜けてることがあってな。お前は頭がいいし、鼻が聞く。なんかあったら助けてやってくれ。」
「わかった。」
「それから!!」
鼻先三寸に彼女の顔があった。目を逸らすのは許さないとばかりに睨めつけれる。
「お前はドブネズミじゃない。二度と自分のことを卑下するな。お前はネネだ。それ以上でもそれ以下でもない!!!」
「は………」
怒っているような悲しんでるような、よくわからない顔をしていた。
「二度と言うな!!わかったか!!」
「うん。」
ーその日、彼女は重い鎖を引きちぎり、私を自由にしてくれた。
彼女の名はカガリ•ロティーニ。
警官隊隊長にして、パン屋の嫁であった。
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