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シェリーさんは爆発5秒前
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皆さんこんにちは、シェリーです。
物を隠されると同時に視線を感じるようになりました。廊下を歩いている時、料理をしている時、庭にいる時…どこかで見られています。最近はエスカレートして、毎日のように脅迫文が送られてきたり、どこからともなく石礫や泥が飛んでくるようになりました。
誰なのかは検討がついていますが、このまま放置します。
「奥様、旦那様がお帰りになりました。」
「今行きます!!」
ルルリアの告げる声に、私は一気に張り詰めていた緊張を解きました。
「ただいまシェリー!」
「おかえりなさい、旦那様!」
ぼふん!!と旦那様に抱きつきます。すると…
ピシッ…
後ろから刺さるような視線が飛んできました。それも複数。
「今日の夕食は何?」
旦那様もお気付きになられていますが、あえて触れずにいます。
「今日は大蒜のスープですよ!寒い冬にはぴったりです!」
和やかに会話をしつつ、その場からゆっくり離れました。
「さてシェリー。屋敷を這い回る虫は何匹かわかったかい?」
夕食後、旦那様のお部屋にてお茶をしながら、おもむろに問われました。
「4人です。」
あの日から続く嫌がらせ、視線の正体のあぶり出しが終わりました。
「僕の方で確認できたのは3人だったよ?」
「…主犯の後ろに立つ人物を入れれば4人です。そうですよね?」
「へぇ、よくわかったじゃねーか。」
鍵をかけたはずのドアが開き、執事服を着た少年が入ってきました。
「レニエス、か。」
彼はリッテの息子で、若くして旦那様の左腕となった人物です。その後ろには見覚えのある顔が並んでいます。顔色が青く、小刻みに震えているのが、ここからでもわかります。
「この3人はさ、屋敷の物をくすねたり、横領したりしてたし、どうせ消えるんだから、うってつけだと思ったんだよね~。思ったより見つかるの早かったけど!」
聞いてもいないのに、ぺらぺら喋り始めます。
「そんな事は聞いてません。なぜこのような事を?私は貴方に何かしましたか?」
「何かしたか、だって??」
途端に彼の表情が消えました。でもそれは一瞬。歪な笑みを浮かばせました。
「お前のせいでグレイは変わった。強くて毒も爪も鋭い、いい男だったのに!今は腑抜けた野郎に成り下がった。お前のせいだ!ちょっと脅かせば帰ると思ったのに…しぶとい小娘だ。手紙を読まなかったわけではないだろう?」
「手紙?ああ、あの苔脅しですか。しょうもない事をする人もいるのだと、呆れましたよ?」
毎晩届く手紙の事でしょう。ちなみに、この事は旦那様にもルルリアにも言っていません。
『公爵家にお前はふさわしくない。ここから出ていけ。出ていかなければ、お前の命の保証はしない。お前の家族を地獄の底に突き落とす。』
「お前そんな事までしてたのか!?恥をしれ!!」
「おめーは黙ってろ腰抜け!!」
だん!!!!!!!
机の上のカップが高い声を上げて震えました。
「ここは口論の場ではありません。」
今、私はきっと凍えるような微笑みを浮かべているのでしょう。
「レニエス…貴方、旦那様の傍にいたくせに、ここがどこか私が誰なのかよくわかっていないようですね?」
さあ、お説教のお時間です。手加減はしませんよ?北の冷華をみせてあげる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
昨日更新だったはずのものです。
ちょっと改稿するするつもりが、かなり違うものになりました。しかし、次話に影響はありませんので…
物を隠されると同時に視線を感じるようになりました。廊下を歩いている時、料理をしている時、庭にいる時…どこかで見られています。最近はエスカレートして、毎日のように脅迫文が送られてきたり、どこからともなく石礫や泥が飛んでくるようになりました。
誰なのかは検討がついていますが、このまま放置します。
「奥様、旦那様がお帰りになりました。」
「今行きます!!」
ルルリアの告げる声に、私は一気に張り詰めていた緊張を解きました。
「ただいまシェリー!」
「おかえりなさい、旦那様!」
ぼふん!!と旦那様に抱きつきます。すると…
ピシッ…
後ろから刺さるような視線が飛んできました。それも複数。
「今日の夕食は何?」
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「今日は大蒜のスープですよ!寒い冬にはぴったりです!」
和やかに会話をしつつ、その場からゆっくり離れました。
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あの日から続く嫌がらせ、視線の正体のあぶり出しが終わりました。
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「…主犯の後ろに立つ人物を入れれば4人です。そうですよね?」
「へぇ、よくわかったじゃねーか。」
鍵をかけたはずのドアが開き、執事服を着た少年が入ってきました。
「レニエス、か。」
彼はリッテの息子で、若くして旦那様の左腕となった人物です。その後ろには見覚えのある顔が並んでいます。顔色が青く、小刻みに震えているのが、ここからでもわかります。
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聞いてもいないのに、ぺらぺら喋り始めます。
「そんな事は聞いてません。なぜこのような事を?私は貴方に何かしましたか?」
「何かしたか、だって??」
途端に彼の表情が消えました。でもそれは一瞬。歪な笑みを浮かばせました。
「お前のせいでグレイは変わった。強くて毒も爪も鋭い、いい男だったのに!今は腑抜けた野郎に成り下がった。お前のせいだ!ちょっと脅かせば帰ると思ったのに…しぶとい小娘だ。手紙を読まなかったわけではないだろう?」
「手紙?ああ、あの苔脅しですか。しょうもない事をする人もいるのだと、呆れましたよ?」
毎晩届く手紙の事でしょう。ちなみに、この事は旦那様にもルルリアにも言っていません。
『公爵家にお前はふさわしくない。ここから出ていけ。出ていかなければ、お前の命の保証はしない。お前の家族を地獄の底に突き落とす。』
「お前そんな事までしてたのか!?恥をしれ!!」
「おめーは黙ってろ腰抜け!!」
だん!!!!!!!
机の上のカップが高い声を上げて震えました。
「ここは口論の場ではありません。」
今、私はきっと凍えるような微笑みを浮かべているのでしょう。
「レニエス…貴方、旦那様の傍にいたくせに、ここがどこか私が誰なのかよくわかっていないようですね?」
さあ、お説教のお時間です。手加減はしませんよ?北の冷華をみせてあげる。
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昨日更新だったはずのものです。
ちょっと改稿するするつもりが、かなり違うものになりました。しかし、次話に影響はありませんので…
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