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シェリーさんと新しい日々

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お久しぶりです、皆さん!シェリーです!
あの日より、旦那様は毎日帰ってくるようになりました。一人で食事をとり、一人で庭を散歩する事は無くなり、代わりに旦那様との幸せな日々が続いています。

旦那様が私の料理をいたく気に入ってくれたので、夕食の一品を任されるようになりました。もちろん冷え性が辛いので、料理長やルルリアの補助が入ります。

今日は、シチューにします。
まずは野菜や肉などを刻み…あれ?

「包丁と、踏み台が、無い?」

ルルリアと料理長が用意してくれた、私専用の包丁と、踏み台がなくなっています。いつも収納されている場所にもありません。

「おかしいですね…先刻まであったのに…」

「誰かが誤って移動させた?」

「いえ、そんなはずないです。奥様がこの時間に来るのは周知の事実ですから。」

二人の視線と表情が厳しくなっていきます。
誰かが意図的に移動させた、もしくは隠したと考えているのでしょう。

「ルルリア。リッテに一報入れなさい。旦那様に伝えるかはリッテに任せる。あと、理由がわかり次第、私に教えて。料理長、この事は出来るだけ伏せなさい。」

「「承りました」」

そう言いつつも、微かに不安げな表情をする二人。公爵家の女主人の前では、使用人の命さえ吹き飛ぶ可能性があるからです。私は二人を安心させたくて、微笑みかけました。

「何もしませんよ。ですが、私はここの女主人で、家を守る義務がある。誰がなぜこの様な事をしたのかを知り、対策を練らねばなりません。それに悪意や害意は一瞬にして広がります。それを防ぐためにも。」

ここは公爵家。旦那様が帰ってくる場所。
だから私は、安心と安全を約束したい。

「いいですね?」

今度こそはっきりと頷き、ルルリアはリッテの元へ駆けていきました。

料理長は果物が入っていた箱と小さめのナイフを持ってきてくれました。これで料理をする事ができます。消えた包丁と踏み台の事は一旦忘れて、私は料理へと意識を向けました。


「シェリー!!ただいまー!」

旦那様は、玄関で出迎えた私を、ぎゅっと抱きしめてくれました。私は小さいので、旦那様の腕の中にぽすんと収まります。

「お帰りなさいませ、旦那様!お夕飯はもう出来ているので、支度が出来ましたら食堂へいらして下さい!」

と言っても、旦那様の腕の中が心地よくて離れられません。そのまま抱きしめ合う私達を、メイド達が生暖かい目で見てきます。

「はいはい、仲がいいのはわかりましたから、旦那様は早く着替えて下さい。」

べりべりぃっ!と引き剥がされた私達。

「シェリィィィ!すぐ食堂行くからねええええええ!!!」

旦那様はリッテに引きずられていきました。
その姿を見送り…

「シチュー、美味しいって言ってくれますかね。」

シチューを頬張る旦那様の姿が目に浮かび、ふっと笑みが零れます。軽い足取りで鼻歌交じりに食堂へと向かいました。



…そんな私を後ろからじっとりとした視線で睨む影に気付かずに。
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