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第十三章 悪役を演じきってみせましょう
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シナリオ通りにメラルーシィを体育館倉庫の中へと閉じ込める事に成功したリリアーナは何食わぬ顔で学校に登校する。
「テストが始まろうとしているのに一向に登校してくることのないメルの事を心配したルーティーとマノンが彼女を探しに向かい、そこでメルが倉庫に閉じ込められたところを目撃していたリックと双子が出会いアルベルトやルシフェル、フレア王女と共にヒロインが閉じ込められている体育館倉庫に向かい救出、ぎりぎりのところでテストを受ける事に成功。その後でリリアーナ率いるいじめっ子グループが様子を見に行ったところを待ち構えてメルにした仕打ちのお返しだと言ってコテンパンにやっつけられるのよね」
小声で独り言を零すと早くテストが終わらないかなと思いながら授業を受け放課後再び体育館倉庫へと向かっていった。
「さて、と……そろそろアルベルト達が姿を現すはず」
「ちょっと、あんた達。話があるんだけど」
倉庫の中を確認しようと扉に手をかけたリリアーナが呟くのと共に凛とした声が聞こえてくる。
「フレア様?」
「お前達メルを倉庫に閉じ込めるなんて……さすがにやりすぎだろうが」
「貴様等を許すことはできない。エルシアと生徒会がこの件に絡んでいることも知っている」
あえて驚いた声をあげるリリアーナへ向けてではなく、なぜかモブ令嬢達だけを睨み付けアルベルトとルシフェルが鋭い声をあげた。
「お優しいお姉様を脅して利用し、悪だくみするだなんて……私もさすがに許せませんわ」
「そんな汚い手を使ってまでしてメルさんを退学させようとするなんて、いくらなんでも酷すぎます」
閉じ込められた本人であるメラルーシィも怖い顔でモブ令嬢達を睨み付けながら言うとルーティーも鋭い口調で話す。
「それが生徒会と王家の親戚である貴族のやる事とは思えない」
「よって僕達はまず君達からリリアを奪還するべくここで来るのを待ち構えていたのさ」
怒りで低い声になっているマノンが言った言葉に続けてリックがそう高らかに宣言した。
(あれ、なんかシナリオ通りじゃない気がするんだけど……とりあえずここは悪役を演じ切ってみせましょう!)
「あなた達何をおっしゃっているのか分かりませんわ。私が利用されてメラルーシィさんを閉じ込める様にエル様や生徒会に言われたからだと思っていますの? おっほっほ。可笑しくて笑いが止まりませんわ。私は命令されたからやったのではなくてよ。私はあなた達の敵ですわ。ですから、エル様や生徒会の言いなりになったのではなく、私の意志でメラルーシィさんを閉じ込めたのですわ。テストが終わるまでの間閉じ込めておくつもりでしたのに……予定が狂ってしまいましたわね」
彼女達の言葉に疑問を抱いたが悪人面を意識し薄い笑みを浮かべるとそう言い放った。
「まぁ、お姉様お可哀そうに……本心ではそんなこと思ってもいないというのに、そのような事を言うようにと言われて仕方なく……お姉様すぐに助けて差し上げますからね」
「エルに弱みを握られてるのか? それとも脅迫されているんだろう。無理矢理ゆうことを聞かされてるんだってことは分かっている」
メラルーシィが瞳を潤ませながら言うとアルベルトもリリアーナへと語りかける。
「わたしは知ってるのよ。貴女のお父様の借金をエルのお父様が肩代わりしてあげた事。それでエルに逆らえないでいる事も」
「まったく、人の弱みに付け込んで無理矢理従わせるなんて何て酷い奴だ……」
フレアの言葉にルシフェルが腕を組み苛立たし気に呟くとここにはいないエルシアを睨むように空を見た。
「リリアさんが悪いんじゃなくてエルさんと生徒会が悪いんです」
「ぼく達はエルと生徒会と全面的に戦うつもりです。たとえ退学になろうとも、これ以上間違ったことをさせないために」
「リリアだって本当はこんなことしたくないんだよね。大丈夫君の事は僕達が守って見せるから、だからそんな奴等とつるむのなんかやめて僕達の方においでよ」
ルーティーが言うとマノンもそう話す。リックがリリアーナへと向けて手を差し伸べ微笑む。
(あれ? 私何か間違ったこと言ったかな? それともまた悪人面が出来てなかったとか?)
思っていた展開と違う流れになっていることに困惑して考えてみるも台詞は完璧だったはずだし、悪人面だって何度も練習してきたのでできてるはずだと思う。
「いいわ。リリアは怯えて動けないって言うんなら私達が動けばいい事よ」
「そうだな。お前等、怪我したくなかったらとっとと尻尾撒いて逃げな」
「きゃあ、お、女に暴力振うだなんて、伯爵家の御子息として最低ですわ」
フレアがこのままでは埒が明かないと思ったのかそう宣言する。
それにアルベルトが頷くとリリアーナの近くにいたモブ令嬢の一人に掴みかかった。その様子に彼女は悲鳴をあげ喚く。
「先にメルに酷い事散々してきたのはそっちだろうが。自業自得だ」
「僕も女の子を怪我させるのは好きじゃないけど、怪我しないやり方ならなにやったっていいよね」
「きぁあ、冷たい」
リックが言うと側に置いておいたバケツの水をモブ令嬢達へと浴びせた。
「お前達エルシアに伝えておくことだな。次は貴様の番だと……」
「ひっ」
ルシフェルがただ冷たい言葉を吐き睨み付けているだけだというのに、その冷殺に怯えたモブ令嬢達が一歩後ずさる。
「私も今回ばかりは怒ってるんです。ひっぱたいて差し上げたいけれど、そんなことしたら貴女達のした事と変わらない。だから……」
「メルさんはそこにいて、メルさんができないなら私が代わりにやってあげます」
「メルは突き倒されて青あざが出来たんだからさ。それくらいいいよね。まぁ、顔は流石に止めておいてあげるけど、それ以外ならどこひっぱたいたって問題ないよね」
怒りとためらいで震えるからだで両手を握りしめ堪えているメラルーシィの姿に双子がそう言うと前へと出て近くにいたモブ令嬢へと平手打ちを食らわせた。
「引きなさい! さもないとあんた達全員痛い目見るわよ」
凛としたフレアの言葉にモブ令嬢達は恐怖を覚えたのか我先にと逃げだす。
「お姉様、もう大丈夫ですよ」
「はっ……」
(しまった。あまりに衝撃的過ぎて考え込んでいるうちに逃げ損ねちゃった)
優しく声をかけられようやく現実に引き戻されたリリアーナは焦りながら内心で呟く。
(これから、どうしよう。この状況じゃ逃げ出せるとも思えないし……面倒な展開になりませんように)
必死に願いながらこれからどうしようかと考える。
「さ、お姉様。お辛かったでしょう、でも、これからはそんな思いしなくてもいいんですよ」
「怖かったでしょ。でも、もう大丈夫よ」
「お前には俺達がついている。だからもう心配しなくてもいい」
メラルーシィが微笑みリリアーナの右手を取った。フレアとアルベルトが優しい瞳で笑うとそう言って聞かせる。
「もしエルシアや生徒会がお前に何かしてきたとしたら、おれが助けてやる」
「リリアさん、もうエルさんの言いなりになんかならなくたっていいんですよ」
ルシフェルが穏やかな口調で言うとルーティーが笑顔で語りかけた。
「今日からはぼく達と一緒にいればいい」
「リリアを困らせる人から僕達が必ず守って見せるから、だから、もう嘘なんかつかなくてもいいし、エルに怯えて過ごさなくたってもういいんだ」
マノンも初めて見せる微笑みで言うとリックが優しく笑いそう話す。
(いや、そういうことじゃなくて……)
苦悩する彼女の様子など気付いていないのかメラルーシィ達はリリアーナの側でただ安心させるように優しく微笑む。
(ほんとにどうしよう! こんな展開になるなんて……どこから間違えていたの? 私これからどうなってしまうの?)
コテンパンにやられて主人公達の前から消え去るはずの展開が変わってしまった事に彼女は如何しようと冷汗を流すのであった。
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「ちょっと、あんた達。話があるんだけど」
倉庫の中を確認しようと扉に手をかけたリリアーナが呟くのと共に凛とした声が聞こえてくる。
「フレア様?」
「お前達メルを倉庫に閉じ込めるなんて……さすがにやりすぎだろうが」
「貴様等を許すことはできない。エルシアと生徒会がこの件に絡んでいることも知っている」
あえて驚いた声をあげるリリアーナへ向けてではなく、なぜかモブ令嬢達だけを睨み付けアルベルトとルシフェルが鋭い声をあげた。
「お優しいお姉様を脅して利用し、悪だくみするだなんて……私もさすがに許せませんわ」
「そんな汚い手を使ってまでしてメルさんを退学させようとするなんて、いくらなんでも酷すぎます」
閉じ込められた本人であるメラルーシィも怖い顔でモブ令嬢達を睨み付けながら言うとルーティーも鋭い口調で話す。
「それが生徒会と王家の親戚である貴族のやる事とは思えない」
「よって僕達はまず君達からリリアを奪還するべくここで来るのを待ち構えていたのさ」
怒りで低い声になっているマノンが言った言葉に続けてリックがそう高らかに宣言した。
(あれ、なんかシナリオ通りじゃない気がするんだけど……とりあえずここは悪役を演じ切ってみせましょう!)
「あなた達何をおっしゃっているのか分かりませんわ。私が利用されてメラルーシィさんを閉じ込める様にエル様や生徒会に言われたからだと思っていますの? おっほっほ。可笑しくて笑いが止まりませんわ。私は命令されたからやったのではなくてよ。私はあなた達の敵ですわ。ですから、エル様や生徒会の言いなりになったのではなく、私の意志でメラルーシィさんを閉じ込めたのですわ。テストが終わるまでの間閉じ込めておくつもりでしたのに……予定が狂ってしまいましたわね」
彼女達の言葉に疑問を抱いたが悪人面を意識し薄い笑みを浮かべるとそう言い放った。
「まぁ、お姉様お可哀そうに……本心ではそんなこと思ってもいないというのに、そのような事を言うようにと言われて仕方なく……お姉様すぐに助けて差し上げますからね」
「エルに弱みを握られてるのか? それとも脅迫されているんだろう。無理矢理ゆうことを聞かされてるんだってことは分かっている」
メラルーシィが瞳を潤ませながら言うとアルベルトもリリアーナへと語りかける。
「わたしは知ってるのよ。貴女のお父様の借金をエルのお父様が肩代わりしてあげた事。それでエルに逆らえないでいる事も」
「まったく、人の弱みに付け込んで無理矢理従わせるなんて何て酷い奴だ……」
フレアの言葉にルシフェルが腕を組み苛立たし気に呟くとここにはいないエルシアを睨むように空を見た。
「リリアさんが悪いんじゃなくてエルさんと生徒会が悪いんです」
「ぼく達はエルと生徒会と全面的に戦うつもりです。たとえ退学になろうとも、これ以上間違ったことをさせないために」
「リリアだって本当はこんなことしたくないんだよね。大丈夫君の事は僕達が守って見せるから、だからそんな奴等とつるむのなんかやめて僕達の方においでよ」
ルーティーが言うとマノンもそう話す。リックがリリアーナへと向けて手を差し伸べ微笑む。
(あれ? 私何か間違ったこと言ったかな? それともまた悪人面が出来てなかったとか?)
思っていた展開と違う流れになっていることに困惑して考えてみるも台詞は完璧だったはずだし、悪人面だって何度も練習してきたのでできてるはずだと思う。
「いいわ。リリアは怯えて動けないって言うんなら私達が動けばいい事よ」
「そうだな。お前等、怪我したくなかったらとっとと尻尾撒いて逃げな」
「きゃあ、お、女に暴力振うだなんて、伯爵家の御子息として最低ですわ」
フレアがこのままでは埒が明かないと思ったのかそう宣言する。
それにアルベルトが頷くとリリアーナの近くにいたモブ令嬢の一人に掴みかかった。その様子に彼女は悲鳴をあげ喚く。
「先にメルに酷い事散々してきたのはそっちだろうが。自業自得だ」
「僕も女の子を怪我させるのは好きじゃないけど、怪我しないやり方ならなにやったっていいよね」
「きぁあ、冷たい」
リックが言うと側に置いておいたバケツの水をモブ令嬢達へと浴びせた。
「お前達エルシアに伝えておくことだな。次は貴様の番だと……」
「ひっ」
ルシフェルがただ冷たい言葉を吐き睨み付けているだけだというのに、その冷殺に怯えたモブ令嬢達が一歩後ずさる。
「私も今回ばかりは怒ってるんです。ひっぱたいて差し上げたいけれど、そんなことしたら貴女達のした事と変わらない。だから……」
「メルさんはそこにいて、メルさんができないなら私が代わりにやってあげます」
「メルは突き倒されて青あざが出来たんだからさ。それくらいいいよね。まぁ、顔は流石に止めておいてあげるけど、それ以外ならどこひっぱたいたって問題ないよね」
怒りとためらいで震えるからだで両手を握りしめ堪えているメラルーシィの姿に双子がそう言うと前へと出て近くにいたモブ令嬢へと平手打ちを食らわせた。
「引きなさい! さもないとあんた達全員痛い目見るわよ」
凛としたフレアの言葉にモブ令嬢達は恐怖を覚えたのか我先にと逃げだす。
「お姉様、もう大丈夫ですよ」
「はっ……」
(しまった。あまりに衝撃的過ぎて考え込んでいるうちに逃げ損ねちゃった)
優しく声をかけられようやく現実に引き戻されたリリアーナは焦りながら内心で呟く。
(これから、どうしよう。この状況じゃ逃げ出せるとも思えないし……面倒な展開になりませんように)
必死に願いながらこれからどうしようかと考える。
「さ、お姉様。お辛かったでしょう、でも、これからはそんな思いしなくてもいいんですよ」
「怖かったでしょ。でも、もう大丈夫よ」
「お前には俺達がついている。だからもう心配しなくてもいい」
メラルーシィが微笑みリリアーナの右手を取った。フレアとアルベルトが優しい瞳で笑うとそう言って聞かせる。
「もしエルシアや生徒会がお前に何かしてきたとしたら、おれが助けてやる」
「リリアさん、もうエルさんの言いなりになんかならなくたっていいんですよ」
ルシフェルが穏やかな口調で言うとルーティーが笑顔で語りかけた。
「今日からはぼく達と一緒にいればいい」
「リリアを困らせる人から僕達が必ず守って見せるから、だから、もう嘘なんかつかなくてもいいし、エルに怯えて過ごさなくたってもういいんだ」
マノンも初めて見せる微笑みで言うとリックが優しく笑いそう話す。
(いや、そういうことじゃなくて……)
苦悩する彼女の様子など気付いていないのかメラルーシィ達はリリアーナの側でただ安心させるように優しく微笑む。
(ほんとにどうしよう! こんな展開になるなんて……どこから間違えていたの? 私これからどうなってしまうの?)
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