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第十章 まさかまさかの好かれポジ?!
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メラルーシィの手作りお弁当を食べてから一週間が経った頃。リリアーナは苦悩していた。
「……なんで、どうしてこうなったの?」
事の始まりは朝からであった。いつものように寮を出て学校へと登校中の事。
「あ、いたいた。いましたわ!」
「目標人物確認……作戦を開始する」
リリアーナを見つけたルーティーが笑顔になると、相変わらずの無表情で淡々とした口調でマノンが言う。
「リリアさん」
「一緒に登校しましょう」
「きぁあっ!?」
双子に背後から抱きつかれ盛大に悲鳴をあげた彼女は何事かと思い二人の顔を見やった。
「る、ルーティーさんにマノンさん。……いったい何のまねですの」
「私達リリアさんとお友達になりたいんです」
「だから今日から一緒に登校しましょう」
驚いたもののなんとか表面では冷静さを装い、睨み付けるように意識しながら双子を見やり尋ねた。その言葉にルーティーとマノンは素直に答える。
「はい!?」
(なに、今何て? ルーティーとマノンが私と友達になりたいって言った?)
二人の言葉にもはや驚きを隠すことが出来ずに素っ頓狂な声をあげる。と同時に内心で意味を理解しようと呟く。
「まぁ。お姉様の取り合いなんて……そ、そんなのよくありませんわ」
「あ、メルさんおはよう御座います」
「おはよう。それから取り合いじゃない。皆で仲良く登校しようとしていたところだ」
背後から聞こえてきた声にそちらを見やるとメラルーシィとアルベルトが立っていた。そんな彼女へとルーティーとマノンがそれぞれ話しかける。
(なんかまた面倒な展開になりそうな予感が……)
そんな中二人の登場に面倒な事になりそうだと危惧する。
「お、それはいいな。メル、リリアと仲良くなれるチャンスじゃないか」
「そうですね。お姉様とご一緒に登校できるなんて、私嬉しいです」
「ちょっと、勝手なこと言っているんじゃありませんことよ。あなた達リリアから早く離れなさい」
アルベルトの言葉にメラルーシィもその通りだと言わんばかりに微笑みリリアーナの隣を確保する。するとそこにまたまた新たな人物の声がかけられた。
「エル様……」
「リリアが嫌がっているじゃありませんの。それにリリアがあなた達と友達になるわけないじゃありませんか、お退きなさい。リリアは私と一緒に登校するんですわ」
「マノン。エルさんにとられないようにしっかりガードするわよ」
「了解」
「エルさんにこそお姉様は嫌がっているんですわ。無理矢理一緒に登校させられてお姉様がかわいそうです」
「リリア、はっきりと言っていいんだぞ。エルと一緒に登校するなんて嫌だって」
「ひ、一人で登校したいです~」
リリアーナはもみくちゃにされる中何とか声を発したがその言葉は小さすぎた為誰の耳にも届かず彼女の取り合いはしばらく続いた。
「も、もうだめ……」
「お姉様!?」
「ちょっと、リリア?」
「お、おい。これやばいんじゃないのか?」
「リリアさん、しっかりして下さい」
「とりあえず保健室に……」
そしてリリアーナが力尽きたところでようやく周りも彼女の様子に気付き慌てて保健室へと連れて行く。
「しばらく休んだら大丈夫よ。それよりもあなた達この学園に通う者としてはしたないことは今後はしないようにね」
「「「「「はい……」」」」」
倒れてしまったリリアーナを保健室に連れて行くと担当の先生がそう言ってメラルーシィ達を諫めた。それに彼女等は素直に返事をするしかなくしょぼくれた顔で答える。
「……と、いう感じで大変だったんです」
「まったく。リリアの取り合いだなんてはしたないですわね」
「エルさんがそんなはしたない事をするとは……よっぽどメラルーシィさん達に君を取られたくなかったようだな」
放課後生徒会室に呼び出された彼女は元気がないことに気付かれ事のあらましを説明していた。
それを聞いたセレスが怒りを覚える横でエドワードがふむといった感じに呟く。
「で、フレンさんは先ほどから何をなさっているんですか?」
「……」
生徒会室に来てからというものずっとリリアーナの頭を撫ぜ続けるフレンの様子に彼女は疑問をぶつける。しかしそれに返事はない。
(寡黙なのは知っているけどせめて何か説明してよ)
「……したから」
「はい?」
ようやく口を開いた彼の言葉が聞き取れなくてリリアーナは首をかしげる。
「……約束したから」
「?」
小さな声で言われた言葉に彼女は意味が理解できずさらにきょとんとした顔をした。
「……」
しかしそれ以上フレンが何か言うことはなく疑問だけを残してこの会話は終了する。
「フレン、いい加減に止めてくれないかな。彼女も困っている」
「……」
そこにキールが口を開くと彼は名残惜しそうにしながらもリリアーナから離れた。
「リリアさんももう少しメラルーシィさん達が近付けないようにと警戒しておくべきですよ。君までこの学園に波乱を起こす存在になってほしくはないですからね」
「以後気を付けます……」
困った顔で会長が言うと彼女は面目ないといった感じに返事をする。
「でも、メラルーシィ達にとられるなんて癪ですわね。リリア、今日からわたくしが貴女を守って差し上げましてよ」
「では、私も今まで以上に君の側にいるように心がけましょう」
「会長がそうするなら俺も異論はない。リリアを守る為に尽力しよう」
「……俺も」
「え? ええっ?」
生徒会の面々の言葉にリリアーナは面食らって驚きの声を発した。
(生徒会ってこんなキャラだったけ? てか、今日は何かがおかしい。朝から思っていたけれどモブキャラであるリリアーナに対しての対応がおかしすぎる)
頭の中が混乱でぐちゃぐちゃになる中何とか内心で声をあげ考えようとする。
(これ以上ここにいちゃいけない。超えてはいけないラインを超えてしまいそう。シナリオ通りのストーリーにしないといけないのだから。私が関与したことで変わってしまっては良くないわ!)
変な使命感にかられた彼女は椅子から立ち上がり逃げるように生徒会室を出て行った。
「あれれ? リリア、廊下を走っちゃってどうしたの?」
「リックさん?」
逃げるように生徒会室から出た彼女に誰かが声をかけてきたので振り返るとそこには不思議そうな顔をしたリックがいてリリアーナは慌てて立ち止まる。
「その、急いでいて……廊下を走ってしまったんですわ」
「ふ~ん。リリアって前から思っていたけどやることも可愛いよね」
「は、可愛い?!」
お嬢様が廊下を走るなんてそんなことしちゃいけないと分かっていたが慌てていたためそれが頭から抜けていたことに弁解の余地などなく素直に答える。
その言葉を聞いた彼がにこりと笑い言った言葉に衝撃を受けた。
「リリアってなんかお嬢様っぽくないっていうか、だから他の生徒達と比べたら庶民的で、僕そういう子のほうのが好きだな」
「あら、貴方もそう思う。わたしもリリアってなんか抜けててかわいいって思うのよね」
「ふ、フレア様」
リックの言葉に同意する声が聞こえて来たかと思うといつの間にか側にフレアが立っていてリリアーナは驚く。
「フレア様もそう思う。リリアって抜けててかわいいからエル様達にいじめられてないか僕心配でさ~」
「あんたに言われたんじゃエル達も可哀そうだけど、でも確かにね。リリア困った事があったらいつでもわたしに相談しなさいね」
「ねぇ、リリア。今度僕と一緒にお茶でもどう?」
「リリア今度あんたに似合うファッションをコーディネートしてあげるからわたしの部屋にきて」
リリアーナの前でリックとフレアが笑顔で話しかけてくる言葉なんてもう聞こえておらずとにかくこれ以上は何か取り返しのつかない展開を招いてしまうそう思った。
(主人公達に嫌われてコテンパンにやられるだけのモブキャラなんだからこれ以上は聞いてはダメ! 逃げなくちゃ)
これ以上ここに留まってはいけないそう思うと二人を振り切るように慌てて逃げ出そうとする。
「お前達……なにをしている?」
「ルシフェルさん?」
(なんかわかんないけど、一番まともそうなルシフェルさんが来たから大丈夫かな……)
呆れた声をかけられそちらを見ると不機嫌そうな顔に見えるルシフェルが立っていた。
リリアーナは内心で声をあげるとこの状況を打開して欲しいと願いを込めて彼を見詰めた。
「なるほど……承知した」
(おぉ~)
その視線の意味を汲み取り頷いてくれたことに彼女は歓喜する。
「どんな理由であれ彼女が困っている。リリアの事が好きなのはわかるが、困らせることはよくない。でないと……おれも黙って事を見守るつもりはない」
(ん? なんか今変なこと言ったような気がするけど、気のせいだよね?)
ルシフェルの言葉に引っかかりを覚えたが気のせいだと思うことにした。
「なになに、あんたもリリアのこと好きなの? く~。敵は多いなぁ」
「おもしろい。その勝負受けてたつわ」
(気のせいじゃなかった!)
しかし気のせいではないということをリックとフレアの言葉で確信することとなる。
「これ以上は聞いてはダメ……逃げるよ、私」
「あ、リリア?」
「待て、まだ話は解決していないぞ」
「リリアは恥ずかしがり屋さんなんだから」
背後から三人の声が聞こえてきたがそれを振り切るように急いで寮へと戻って行った。
「……なんで、どうしてこうなったの?」
そうして今に至る。今日一日の流れを見てメラルーシィ達に好かれているということを理解してしまったために自分の立場的にどうなのかと苦悩していたのだ。
「なに、まさか私みんなに好かれてるの? 好かれポジなんて期待してない! 嫌われポジを求めて頑張って来たって言うのにどうしてこうなったの?」
嘆いたところで現実が変わるはずもなくリリアーナは肩をおとす。
「もしかして、私知らず知らずのうちに何かやらかしていて、それでゲームの展開とは違う展開にしてしまったの? それじゃあメルが誰ともくっつかない未来になっちゃうとか? ルーティーやフレアとの友情エンドは? 攻略対象者とのあれやこれやもなくなってしまうの?」
頭を抱えて考え込むも打開策も解決策も見えてはこない。
「い、いや。待て、落ち着こう。メルと攻略対象者達との出会いイベントは全て果たせているじゃない。生徒会との衝突も発生したし、きっと大丈夫よ」
そう言い聞かせてみるしかなく早鐘のように鼓動する心音を落ち着かせようと必死に深呼吸する。
「とにかく、しばらくは様子見……そうだ、そうしよう。で、私も変な言動しないように気を付けていれば大丈夫なはずよ」
そう結論付けこの日はこれ以上の事を考えるのを止めた。
「……なんで、どうしてこうなったの?」
事の始まりは朝からであった。いつものように寮を出て学校へと登校中の事。
「あ、いたいた。いましたわ!」
「目標人物確認……作戦を開始する」
リリアーナを見つけたルーティーが笑顔になると、相変わらずの無表情で淡々とした口調でマノンが言う。
「リリアさん」
「一緒に登校しましょう」
「きぁあっ!?」
双子に背後から抱きつかれ盛大に悲鳴をあげた彼女は何事かと思い二人の顔を見やった。
「る、ルーティーさんにマノンさん。……いったい何のまねですの」
「私達リリアさんとお友達になりたいんです」
「だから今日から一緒に登校しましょう」
驚いたもののなんとか表面では冷静さを装い、睨み付けるように意識しながら双子を見やり尋ねた。その言葉にルーティーとマノンは素直に答える。
「はい!?」
(なに、今何て? ルーティーとマノンが私と友達になりたいって言った?)
二人の言葉にもはや驚きを隠すことが出来ずに素っ頓狂な声をあげる。と同時に内心で意味を理解しようと呟く。
「まぁ。お姉様の取り合いなんて……そ、そんなのよくありませんわ」
「あ、メルさんおはよう御座います」
「おはよう。それから取り合いじゃない。皆で仲良く登校しようとしていたところだ」
背後から聞こえてきた声にそちらを見やるとメラルーシィとアルベルトが立っていた。そんな彼女へとルーティーとマノンがそれぞれ話しかける。
(なんかまた面倒な展開になりそうな予感が……)
そんな中二人の登場に面倒な事になりそうだと危惧する。
「お、それはいいな。メル、リリアと仲良くなれるチャンスじゃないか」
「そうですね。お姉様とご一緒に登校できるなんて、私嬉しいです」
「ちょっと、勝手なこと言っているんじゃありませんことよ。あなた達リリアから早く離れなさい」
アルベルトの言葉にメラルーシィもその通りだと言わんばかりに微笑みリリアーナの隣を確保する。するとそこにまたまた新たな人物の声がかけられた。
「エル様……」
「リリアが嫌がっているじゃありませんの。それにリリアがあなた達と友達になるわけないじゃありませんか、お退きなさい。リリアは私と一緒に登校するんですわ」
「マノン。エルさんにとられないようにしっかりガードするわよ」
「了解」
「エルさんにこそお姉様は嫌がっているんですわ。無理矢理一緒に登校させられてお姉様がかわいそうです」
「リリア、はっきりと言っていいんだぞ。エルと一緒に登校するなんて嫌だって」
「ひ、一人で登校したいです~」
リリアーナはもみくちゃにされる中何とか声を発したがその言葉は小さすぎた為誰の耳にも届かず彼女の取り合いはしばらく続いた。
「も、もうだめ……」
「お姉様!?」
「ちょっと、リリア?」
「お、おい。これやばいんじゃないのか?」
「リリアさん、しっかりして下さい」
「とりあえず保健室に……」
そしてリリアーナが力尽きたところでようやく周りも彼女の様子に気付き慌てて保健室へと連れて行く。
「しばらく休んだら大丈夫よ。それよりもあなた達この学園に通う者としてはしたないことは今後はしないようにね」
「「「「「はい……」」」」」
倒れてしまったリリアーナを保健室に連れて行くと担当の先生がそう言ってメラルーシィ達を諫めた。それに彼女等は素直に返事をするしかなくしょぼくれた顔で答える。
「……と、いう感じで大変だったんです」
「まったく。リリアの取り合いだなんてはしたないですわね」
「エルさんがそんなはしたない事をするとは……よっぽどメラルーシィさん達に君を取られたくなかったようだな」
放課後生徒会室に呼び出された彼女は元気がないことに気付かれ事のあらましを説明していた。
それを聞いたセレスが怒りを覚える横でエドワードがふむといった感じに呟く。
「で、フレンさんは先ほどから何をなさっているんですか?」
「……」
生徒会室に来てからというものずっとリリアーナの頭を撫ぜ続けるフレンの様子に彼女は疑問をぶつける。しかしそれに返事はない。
(寡黙なのは知っているけどせめて何か説明してよ)
「……したから」
「はい?」
ようやく口を開いた彼の言葉が聞き取れなくてリリアーナは首をかしげる。
「……約束したから」
「?」
小さな声で言われた言葉に彼女は意味が理解できずさらにきょとんとした顔をした。
「……」
しかしそれ以上フレンが何か言うことはなく疑問だけを残してこの会話は終了する。
「フレン、いい加減に止めてくれないかな。彼女も困っている」
「……」
そこにキールが口を開くと彼は名残惜しそうにしながらもリリアーナから離れた。
「リリアさんももう少しメラルーシィさん達が近付けないようにと警戒しておくべきですよ。君までこの学園に波乱を起こす存在になってほしくはないですからね」
「以後気を付けます……」
困った顔で会長が言うと彼女は面目ないといった感じに返事をする。
「でも、メラルーシィ達にとられるなんて癪ですわね。リリア、今日からわたくしが貴女を守って差し上げましてよ」
「では、私も今まで以上に君の側にいるように心がけましょう」
「会長がそうするなら俺も異論はない。リリアを守る為に尽力しよう」
「……俺も」
「え? ええっ?」
生徒会の面々の言葉にリリアーナは面食らって驚きの声を発した。
(生徒会ってこんなキャラだったけ? てか、今日は何かがおかしい。朝から思っていたけれどモブキャラであるリリアーナに対しての対応がおかしすぎる)
頭の中が混乱でぐちゃぐちゃになる中何とか内心で声をあげ考えようとする。
(これ以上ここにいちゃいけない。超えてはいけないラインを超えてしまいそう。シナリオ通りのストーリーにしないといけないのだから。私が関与したことで変わってしまっては良くないわ!)
変な使命感にかられた彼女は椅子から立ち上がり逃げるように生徒会室を出て行った。
「あれれ? リリア、廊下を走っちゃってどうしたの?」
「リックさん?」
逃げるように生徒会室から出た彼女に誰かが声をかけてきたので振り返るとそこには不思議そうな顔をしたリックがいてリリアーナは慌てて立ち止まる。
「その、急いでいて……廊下を走ってしまったんですわ」
「ふ~ん。リリアって前から思っていたけどやることも可愛いよね」
「は、可愛い?!」
お嬢様が廊下を走るなんてそんなことしちゃいけないと分かっていたが慌てていたためそれが頭から抜けていたことに弁解の余地などなく素直に答える。
その言葉を聞いた彼がにこりと笑い言った言葉に衝撃を受けた。
「リリアってなんかお嬢様っぽくないっていうか、だから他の生徒達と比べたら庶民的で、僕そういう子のほうのが好きだな」
「あら、貴方もそう思う。わたしもリリアってなんか抜けててかわいいって思うのよね」
「ふ、フレア様」
リックの言葉に同意する声が聞こえて来たかと思うといつの間にか側にフレアが立っていてリリアーナは驚く。
「フレア様もそう思う。リリアって抜けててかわいいからエル様達にいじめられてないか僕心配でさ~」
「あんたに言われたんじゃエル達も可哀そうだけど、でも確かにね。リリア困った事があったらいつでもわたしに相談しなさいね」
「ねぇ、リリア。今度僕と一緒にお茶でもどう?」
「リリア今度あんたに似合うファッションをコーディネートしてあげるからわたしの部屋にきて」
リリアーナの前でリックとフレアが笑顔で話しかけてくる言葉なんてもう聞こえておらずとにかくこれ以上は何か取り返しのつかない展開を招いてしまうそう思った。
(主人公達に嫌われてコテンパンにやられるだけのモブキャラなんだからこれ以上は聞いてはダメ! 逃げなくちゃ)
これ以上ここに留まってはいけないそう思うと二人を振り切るように慌てて逃げ出そうとする。
「お前達……なにをしている?」
「ルシフェルさん?」
(なんかわかんないけど、一番まともそうなルシフェルさんが来たから大丈夫かな……)
呆れた声をかけられそちらを見ると不機嫌そうな顔に見えるルシフェルが立っていた。
リリアーナは内心で声をあげるとこの状況を打開して欲しいと願いを込めて彼を見詰めた。
「なるほど……承知した」
(おぉ~)
その視線の意味を汲み取り頷いてくれたことに彼女は歓喜する。
「どんな理由であれ彼女が困っている。リリアの事が好きなのはわかるが、困らせることはよくない。でないと……おれも黙って事を見守るつもりはない」
(ん? なんか今変なこと言ったような気がするけど、気のせいだよね?)
ルシフェルの言葉に引っかかりを覚えたが気のせいだと思うことにした。
「なになに、あんたもリリアのこと好きなの? く~。敵は多いなぁ」
「おもしろい。その勝負受けてたつわ」
(気のせいじゃなかった!)
しかし気のせいではないということをリックとフレアの言葉で確信することとなる。
「これ以上は聞いてはダメ……逃げるよ、私」
「あ、リリア?」
「待て、まだ話は解決していないぞ」
「リリアは恥ずかしがり屋さんなんだから」
背後から三人の声が聞こえてきたがそれを振り切るように急いで寮へと戻って行った。
「……なんで、どうしてこうなったの?」
そうして今に至る。今日一日の流れを見てメラルーシィ達に好かれているということを理解してしまったために自分の立場的にどうなのかと苦悩していたのだ。
「なに、まさか私みんなに好かれてるの? 好かれポジなんて期待してない! 嫌われポジを求めて頑張って来たって言うのにどうしてこうなったの?」
嘆いたところで現実が変わるはずもなくリリアーナは肩をおとす。
「もしかして、私知らず知らずのうちに何かやらかしていて、それでゲームの展開とは違う展開にしてしまったの? それじゃあメルが誰ともくっつかない未来になっちゃうとか? ルーティーやフレアとの友情エンドは? 攻略対象者とのあれやこれやもなくなってしまうの?」
頭を抱えて考え込むも打開策も解決策も見えてはこない。
「い、いや。待て、落ち着こう。メルと攻略対象者達との出会いイベントは全て果たせているじゃない。生徒会との衝突も発生したし、きっと大丈夫よ」
そう言い聞かせてみるしかなく早鐘のように鼓動する心音を落ち着かせようと必死に深呼吸する。
「とにかく、しばらくは様子見……そうだ、そうしよう。で、私も変な言動しないように気を付けていれば大丈夫なはずよ」
そう結論付けこの日はこれ以上の事を考えるのを止めた。
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