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第3章

3-63決意 ☆

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「今後のこと、考えてみるね」

 昼休み。幸恵さんが油井にそう言うのを廊下で見かけた。
 ……ええ!? 今後!? 昨日そんなところまで!?

「ああ。それが良い」

 分かっていたけど油井はいつも通りだからそういう状態なのか分からないし。

「西沖の様子をお前に伝えようとここに来たわけだが……」

「まさかこうなってるなんてな」
 僕の背後から新城が話しかけてきた。木庭もいた。

「昨日天文台に行ったところまでは知っていたけどね……」

「何!? なかなかやるな!」

「その口振りからするに、君島はここまでするとは聴いてなかったわけか」

「うん」

「まあいいじゃん。こんなに早く元気になったんだし」

「それはそうだね」

「世の中は油井みたいなのが巧く立ち回るだろうしな」

「それは……そうかもね」

「なんの話だろうか」
 今度は横から油井の声がした。

 僕はすぐには油井の方を向けなかった。
 木庭は少し首を回して油井の方を向いた。
 新城は「うわびっくりした!」と言って体ごと油井の方を向いた。

「……西沖の調子が良さそうだと話していた」
 木庭の冷静さがありがたい。

「ああ。おかげ様で」

「それどころか今後の話もしてもらえるようになっちゃって」

「そうだな。どちらを選ぶのだろうか」

 僕は背筋が冷たくなった。
 え? どちら? まさか油井か僕? 今幸恵さんは油井との今後のことを考えるって言ったんじゃないの?

「天文学か、考古学か」

 …………。
 もう何も考えられなかった。

「今後って、進路の話なん?」

「それ以外に何か?」

「あ、ああ、いや」

「多くの人のためになる、自分のため・・・・・の選択さ」

 冴羅さんの話を聴いていた木庭と新城にとっても驚きだったと思うけど、僕にとってはより多くの要素が繋がる発言だった。

「油井、まず自分の進路の話からお願いできる?」



 昨日天文台に行って、福成くんと話して、自分の夢がはっきりした。
 さらには思い出せたこともあった。
 それは冴羅ちゃんが奏向くんと付き合うって聴いてから抑え込んでいた想い。
 私、奏向くんも福成くんも好きなんだ。だけど――

 ……すごいところ見ちゃった。
 幸恵、油井くんと付き合うんだ。
 そうだよね。私は優哉も君島も新城くんも好きだけど、いつまでもこうしているわけにはいかないから――


 ――本当の気持ち、決めなきゃなんだ。
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